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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と飛ばされて終焉の島 中篇 七月目

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偽善者と『最弱最強』 その12



《いや~、夏戦争のあの盛り上がりも理解できるってもんだよ!》


「(あぁ、あの連続でコールしていく感じ……控えめに言って最高だったな!)」



 第四回戦――『花札』を終えた俺たちの感想は、そんな感じだった。

 花札――別名『花かるた』――は1組48枚のカードを使用して行うゲームだ。


 人数によって行うゲームが異なる場合もあり、2人の今回は、『こいこい』を行った。


 ルールは簡単、場に出された8枚のカードと同じ種類のカードを出して、入手する。

 次に山札からカードをドローして、場にまた同じ種類が無いかを確かめる。

 ……この時、同じカードがあったならば、それもまた入手できるが、無かったならそのカードは場に置いてターン終了だ。


 ここからが大事だ。

 カードを取れた場合、『こいこい』と言うことでもう一度ドローできる。

 そうやって再びドローして、また場にあるカードを集めていく。


 そのターンに集めたカードによって、役というコンボが発動する。

 ……これ、ポイント制のゲームだからな。


 最終的にポイントの高い方が勝利だ。

 ……本当は相手の役をどれだけ防ぐか、とか、役のポイントについて、とか説明しなければならないが……もう終わったし。


 今回のゲーム……『こいこい』コールが楽しかったとだけ記しておこう。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「……なあ、もう大人しく眷属になれよ。今ならとっておきの飲むカントリーもくれてやるからさ」


『そ、そんな飲み物一つに、アリィが釣られると思っているの?』


「……なら、その手を外してくれないか? 要らないなら仕舞うから」


『い、要らないなんて言って無いでしょ! 本当にこれがアリィの口に合うのか、毒見をしないといけないんだし……』



 お嬢さん、それは最後まで飲んだり食ったりする人の常套句ですよ。

 結局、アリィは俺が諦めるまで手を離さずにいたので、ただでさえ貴重なドリンク版を入手できましたとさ。



「……それじゃあ、最後のゲームをやるか」


『……アリィもちゃんと分かってはいる。もう負けたんだって。×××されたり、×まされたりするんだって……』


「おい、風評被害は止めろ」


《そうだそうだ! そんな気がメルスにあるなら、クーたちは苦労しない!》


「(クーさんは何を言ってるの!? もうちょっとマシな批判の仕方は無かったのかい!?)」


『でも……眷属って、そういうものなんじゃないの?』


「(そういえば、業務内容しか説明してなかったな)……いいか、眷属ってのは……」



 カクカクシカジカ マルマルヘマヘマ



『……ハーレム?』


「いや、男もいるからな」


『え゛っ!? メルスって、そっちの気もあったの?!』


「ないない(……TSしたなら、別に構わないけど)」



 全く、なんでそうなるんだ。

 確かに、基本的に女性しか集めてないけどさ、ちゃんとアマルみたいな()も眷属にしたんだからな。



「とにかく、眷属ってのは家族だ。足りないものを補ったり、必要なものを求めたりする関係だ……多分」


『……なんで多分って付けたの? かなり心配になるんだけど』


「少なくとも、創設者はそう思っているってわけだ。後から入って来た者がどう考えてくれるかまでは、別に考えていないからな」



 かつて崇高な目的で創られたグループも、創設時初期のメンバーがいなくなり形骸化してしまえば少しずつ狂っていくだろう。


 ま、俺が存命の間は大丈夫だろうと思うけどな。



 閑話休題(いつ死ぬんだろう)



「それにしても意外だな~。アリィ、ちゃんと負けたって分かってたんだな。俺はてっきりまだ不正がーとか、降伏~とか言うと思ってたんだが……」


『4回も圧倒的な差を見せつけられて……どうやったら勝てると思うの? もう凄過ぎて反骨精神も折れるよ』


「そ、そうなのか……」



 やっべーよ。

 それやったの、俺じゃ無くてクーだから。

 バレたらまた反骨精神が復活しちまうよ。


 ……ま、バレたら説明するとしよう。



「……うん、最後の5回戦目ももう決まってるのか?」


『それが……その、()きてきまして……』



 ……ちょっと休憩を挟んでいるとはいえ、ぶっ続けでカードゲームばっかりだしな。

 しかも全部負けともなれば……そうもなるのか。



「なら、最後はババ抜き――それも、3枚しか使わない奴をやろうか。それならすぐ終わるしな」


『……面白いの?』



 まあ、直ぐに終わるってことから、そういう質問があることは分かっていたさ。



「話は最後まで聴けって。これには、相手の裏をどこまで読んで、どこまで隠せるかの対決だ。相手に騙され相手を騙す……ちょっとブラックな内容っぽいが、面白くないか?」


『そんなことは全然感じないけど……まあ、別に良いと思うよ』


「それじゃあ、俺がジョーカーを持つ方で、アリィは1枚しか持ってない側な。アリィ次第ですぐに終れるぞ」


『ふふん、その余裕。一瞬で叩き折ってあげるんだから』



 と、いうわけで、第五回戦スタートだ。



◆   □   ◆   □   ◆


『じゃあ、アリィから行くね』


「……(ジョーカーを上にして持つ)」


『むむっ(普通ならこっちを引いて欲しいんだから……これがジョーカーのはず。だけど敢えて、そこに欲しいカードを置いて誘導している? どっち? どっちなの?)』


「ふっ、果たしてアリィに分かるかな?」


◆   □   ◆   □   ◆



 この後アリィは下のカードを選び、今回初の勝利を手に入れた。




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