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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と飛ばされて終焉の島 中篇 七月目

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偽善者と『最弱最強』 その01

『最弱最強』篇、始まります。



 滝の裏側には道が存在し、人一人が屈んでやっと通れる程の穴が一つ空いていた。

 穴は先が見えない程長く続いていて、この場から先にあるものを確認することはできなかったぞ。

 それでも、進まなければ強者に会うことはできないので、俺はその穴を屈みながら進んで行くことになったのである。




 グネグネと曲がり、デコボコとした岩場を進んでいくと、何も見えなかった洞窟に光が見えてきた。

 ……そろそろ着くのかな?

 何度探索に関わるスキルを発動させても無効化されるし、どうにも今回は嫌がらせが多いんだよな~。

 着いたら着いたで、スキル使用不可になっていなければいいけど……。


 そんなことを考えながらも、俺は黙々と光の元へと進んでいった――




『フハハハハハッ! よくぞ来たな! 我が領域h「すいません、間違えました」……って待って! お願い、無視しないで!!』


「……ハァ。最近、ため息を吐く機会が多くなった気がするな~。これもきっと、突然笑い声を上げて我がなんとか……とか言っている人の所為だな~」


『うぐぐっ!』


「大体、今時そんな出迎えの仕方、骨でもしなかったぞ。魔獣でもこちらが何もしないなら手を出してこなかったって言うのに……ここの住民はお客に騒音妨害で訴えられたいのかと思っちまうよ。骨よりも魔獣よりも人の方が丁寧な出迎えができると今まで思っていたよ……ここに来るまではな(笑)」


『……っ! (声にならない吐血音) orz』



 なんだろう……この感覚……。

 そうだ! まるでリーと話しているような気分だ!

 なんかこう、弄られオーラに満ち溢れているんだよ!


 って、危ない危ない。

 相手の機嫌を損ねて殺されたら、眷属たちがどういった行動に出ることやら……。


 おっと、今更だが俺の目の前でorzしている者を説明しておこう。

 身長は大体150ちょい、青色の瞳を持ち、ストロベリーブロンドの髪を肩ぐらいまで伸ばしている。

 ……うん、言わなくても分かると思うが、美少女だぞ(多分残念だけど)。西洋風だ。


 服は……いつものことだが良く分からないな(パクるのは得意だが一々女性服の名前を憶えているワケじゃ無いし)。

 水色の甘ロリ(?)と呼ばれる類のブラウスに、ハートやスペードや剣や聖杯など、世界中のトランプに使われているような絵柄マークの意匠が、所々にデザインされている物を着ているぞ。



「……それで、さっきは一体なんて言おうとしたんだ? 折角だからもう一回言ってみてくれ。あんまり覚えていないんだ」


『そ、それなら……コホンッ。フハ「ハハハハッ! よくぞ来たな! 我が領域へ……的な部分までは覚えているんだが……。それ以降の部分をしっかり言って欲しい」――完全に覚えてるじゃん!! アリィが言うところ、これっぽっちも残ってないじゃんかぁ……』



 一度は俺の言葉で復活した少女――アリィであったが、再び土下座をさせたのもまた、俺の言葉であった……嗚呼、実に面白い。



「え? もう止めちゃうのか? 領域へ! の後の部分は、何も言う予定が無かったのかよ。つまらないセリフだったんだな~。せめて自分の名前と二つ名(笑)でも叫ぶところまでやっておくのが普通だろうが!」


『なんで……なんでアリィが怒られなきゃいけないのさ! いいさ、やってあげるよ。やればいいんでしょ!! ……コホンッ。

 フハハハハハッ! よくぞ来たな! 我が領域へ! 我が名はアリィ、『最弱最強』と呼ばれしカルタ使いだ!! ……ハァ、ハァ。こ、これで、い、いいんでしょ……ってな、なにやってるのさ!?』


「何って……見て分からないのか?」


『分かるワケないっ! 何、その魔道具!』



 アリィは、俺が彼女に向けている『Wifone』にツッコむ。



「やれやれ、分からないことがあったら質問して良いといっても限度があると思うぞ。そうやって分からないことを◯iriやG。。glが必死に働く羽目になるんだ……気を付けろ!!」


『ご、ごめんなさい……って、アリィが謝る必要性、皆無じゃん! というか、S◯riとかG。。gleって誰?!』



 ユーザーのコアな要望にも応えてくれる、優秀な方々だよ。



「あの方々のことは今は置いておく。それより、これの説明だったな。……本当に訊きたいのか? 一生後悔するかもしれないぞ(――"不明の威圧")」


『……クッ! そ、それでも……き、訊きたいに決まってるじゃんか!』



 無駄な緊張感を出す為に威圧をしてみたのだが……ただのツッコミ役というワケでもないのか。



「…………フゥッ、分かったよ。先に一つだけ言っておくぞ――死ぬなよ」



 俺は先程まで『Wifone』で起動していたアプリ――録音アプリから録音していたデータを再生する。


 ――結果はもう分かるだろう?



◆   □   ◆   □   ◆



『……し、死にたい』


「俺は言ったはずだぞ、『一生後悔するかもしれない』『死ぬなよ』と。俺は、お前の要求に答えてこれが録音機であることを証明したんだ。お前もorzをするのは別に良いが、絶対に死ぬんじゃないぞ」


『お前じゃない! アリィ!! ア・リ・イ』


「はいはいアリィね。一人称はなんだ? 我なのか?」


『アリィはアリィ! あ、あれはそういう演技だから、その、演技なんだから!』



 や、やばい、マジ面白い。

 絶対さっきのことなんて忘れてるだろう。

 ……っと、ここまでは楽しめているが、この後もこの雰囲気のままで、というわけにはいかないんだろうな~。


『最弱最強』というぐらいだ。

 ステータスに関係無い力を持っているんだろう。今まで力でごり押ししてきた俺じゃあ……勝てるかどうか……。


 彼女との会話を思考の一部で楽しみながらも、俺はこの後に起こりうる可能性を余った演算領域で予測し始めた。




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