表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
第〇二章 過去は可変と簒奪し嗤う

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/2526

02-03 実験【怠惰】



「うーん、なんとも調整が難しいな。これって、普通に(手加減)的なスキルを探した方が良かったかもしれない」


 ワンパンで吹っ飛ぶ王都周辺の魔物を眺めながら、ふとそう呟く。

 ……いちおう、普通のプレイヤーであれば逆にキルされる可能すらある魔物だったんだけどな。


 最近の闘技大会を経て、俺の戦闘力はさらに向上していた。

 スキルによる補正をOFFにしていたとしても、素の能力値だけで惨劇を生みだせるぐらいにはな。



 現在の俺は、神呪の指輪──リーの使用実験を行っていた。

 能力値を目分量で調整し、魔物たちが死なない限界を見極めるためだ。

 リーという名前は結構安直で、リングから取っている……俺としては簡単に覚えられるから良いと思っているがな。


「けど、こっちの(行動補助)はまだ謎だな。意思ってのも感じ取れないし……」


 適性の問題かもしれないな。

 聖具と魔具はそれぞれの固有職の影響で僅かながらの適性を得ているが、神器に関する適性はまだ得ていない。


 ……だが、それも実験に使えるか。

 聖具と魔具に宿る意思とやらを、適性がある者が感じ取れるのか。

 そうでなく、また別の要素が武具に宿る意思を感じるためのトリガーになるのかを調べておける。


「(経験貯蓄)は……うん、マジ便利」


 装備して以降、いっさいの種族・職業・スキルレベルの上昇が停止した。

 それによって、俺が普通から逸脱することに悩むことも無くなったわけだ。


 指輪に意識を向けて(経験貯蓄)を念じてみれば、どの程度の経験値が溜まっていて、それをどこに割り振るかというカーソルが表示される。

 今はまだどこにも割り振っていないが、これがあれば水晶の間でレベリング(?)をすることもできるな。


「……さて、そろそろ転職をするかな?」


 前回の鍛冶を経て、『鍛冶師』と『鍛冶槌士』のレベルがカンストした。

 カンストすればするほど補正の恩恵を受ける【経験者】、それに就いている俺はできるだけ早く職業を変えた方が得をする。


「あっ、でも先にリョクに連絡しておいた方がいいか。リーンに行ってから、水晶の間に行こう」


 堕落の寝具──スーの実証実験は、リーンの住民たちに協力してもらう予定だ。

 攻撃を(結界魔法)で防ぎ、ダメージの回復速度がどれくらいかを試すぐらいだが。

 ……あ、名前は【怠惰(スロウス)】から取ったぞ。


「……立ち止まってるわけにはいかないか。さっさと移動しよう」


 空間魔法“空間転位(リロケーション)”を発動して、王都へ移動する──どんな職業に就こうかな?


  ◆   □   ◆   □   ◆


 水晶の間


「でも、なんだかここまで来るのも面倒臭くなってきたなー。……水晶って、作ろうと思えば作れるのか?」


 それがアイテムとして存在するのなら、あらゆることを許容してくれるこの世界は製作の術を残しているかもしれない。

 ……それならやりがいも感じられるし、その可能性も高く思えてきた。


「まあ、早く始めよう」


 いくつか心当たりもあるが、今は早急に転職をするべきだろう。

 使うことにもだいぶ慣れた水晶に触れ、強く転職を念じると──


***********************************************************

転職 [絞り込み:適職]


槍士・投擲師・【?界??士】・【闘?】・【?中?王】・【?器?い】・【鍛冶?】

***********************************************************


 うん、物凄くフラグが立っている。

 つい最近見たことのある『器』を使う二文字の熟語があるし、わざわざ鍛冶系の職業を固有職として表示するのも怪しい。


「けどまあ、鍛冶の方は気になるな。まだやりたい鍛冶作業もあるし、補正は多い方が助かるか……」


 空いている枠は二つ。

 一つを指輪の経験値ブーストに使って、もう片方を鍛冶の固有職に使えばいいと思う。


 そんな甘い考えを持って、転職する職業を決めた結果──



 ピコーン

《加護:鍛冶神の加護)を授かりました》



「…………」


 絶句するしかなかった。

 突然知った加護のシステムもそうだが、どうしてそうなったかが凄く気になる。

 即座に【思考詠唱】で鑑定を発動し、自身のステータスを確認してみると──


---------------------------------------------------------

ステータス

名前:メルス (男)

種族:【天魔】 Lv50

職業:【経験者】Lv30・召喚師Lv30・中忍Lv40・弓士Lv1・暗殺者Lv1・【聖具使い】Lv1・【魔具使い】Lv1

NEW

槍士Lv1・【鍛冶神】Lv-


二つ名:『模倣者』


HP:1200

MP:1350

AP:1250


ATK:175→180

VIT:155

AGI:155

DEX:215

LUC:155

BP:0


スキルリスト

特殊 NEW

(槍の心得Lv1:職業)


加護 NEW

(鍛冶神の加護:職業)


SP:831

---------------------------------------------------------


 俺、神様になりました……ってなんでだ!?

 思い当たる節は神鉄の神器化だが、それぐらいで神関係の職業に就けるのか?


「説明を、説明を求む!」


 今の鑑定は上級まで達している。

 魔力を注いでブーストを行うことで……どうにか情報を開示させられた──


---------------------------------------------------------

【鍛冶神】Lv- 職業保有者:1/1


職業スキル:加護(鍛冶神の加護)


鍛冶関連の神業を奉納し、鍛冶神を満足させた者が就くことができる固有職

鍛冶に関するあらゆる行動に補正があり、望むままに鍛冶を行うことが可能

また、作りだしたアイテムの品質が高くなりやすく、特殊効果が付きやすくなる

---------------------------------------------------------


 つまり……神鉄を弄った時点でそのフラグが立っていた。

 それを神様が見ており、俺を【鍛冶神】になるよう仕掛けたのか。


 いろいろと疑問はあるが、今一番脳裏に過ぎるのは一つ。


「──神様って、ここまで分かりやすく居ることを教えてくれるんだな」


 地球において、神様の話は文字通り神話として今なお残っているが、実際に神を見たという者はいない(居てもカルト教団か狂った奴扱いだ)。


 だがこの世界では、そうでもないようだ。

 俺たち祈念者の存在も神様からの通達で知らされたと言っていたし、神が身近な存在となっているのだろう。


 ……こっちでの神頼みは、本当に神に頼むことになるのか。

 対価もありそうだし、必要以上に祈るのは止めておこう。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 瞳の裏にさまざまな色の光が映る。

 その眩しさにほんの少し不快感を感じるのだが……どうにも目を開ける気がしない。


 状態異常が効きづらくなっている俺に、眠りの状態異常など通用しない。

 それでもひどく重たい瞼は、俺の意思に反してピクリとも動けずにいる。


(そろそろ、起きなきゃいけないんだが……どうにも起きられない)


 俺の理想を突き詰めた、究極の布団。

 しかも(快適調整)の範囲内なのか、今は寝袋のような形になっている。

 嗚呼、堕落してしまう……まさに【怠惰】の力は恐ろしい。




 そう、俺は今スーを使っての睡眠中だ。

 実証実験のために結界を展開し、寝袋に包まって寝ているだけの簡単なお仕事。


 周りでは魔子鬼(デミゴブリン)たちがリョクの指示の元攻撃を行い、どうにか結界を破壊しようと尽力している……それでも結界はビクともしないのだから凄まじさがよく分かる。


(しかもこれ、相手の魔力で使用魔力を自動的に補給しているし。これが(行動補助)の効果なのか?)


 本来であれば、(結界魔法)の中にそんな効果を持つ魔法は存在しない(使用可能な魔法のリストを確認した)。

 それが実際に起きているのだから、平凡な頭脳で思い当たることは一つだけだった。


「け、けど……まあ、そろ、そろ起き上がる必要が……ある、かな」


 この世界でもっとも気力を使い、どうにか寝袋から這い出る。

 それが検証終了の合図となり、魔子鬼たちの攻撃もこのタイミングで止む。


「ハァ、ハァ……使用にも一苦労だな」


 使用者を虜にする大罪を誇る魔の布団。

 もしこれが、炬燵にでもなったら……二度と出られないんじゃないか?

 倒せない存在の封殺方法として、少し覚えておこう。


「──リョク。もういいぞ、ありがとうな」


「いえ。これぐらいのことであれば、いつでも問題ありませんよ我が主」


 いくつかの修業の果てに──魔中鬼王デミホブゴブリンキングとなったリョクに礼を述べるとそう返される。

 そう、称号から分かった指導の成果がこの劇的な成長であった。

 

「しかし、ただ働かせたのに何もしないのはどうかと思うな。何か贈り物をした方がいいかも──」


「い、いえそんな! ワレらは我が主のために働くことこそが至福でございます!!」


 その言葉に嘘偽りが無いのか、周りの者たちも同様に激しく首を縦に振っている。

 ……ブラック企業なんて、こっちでも生んで堪るか! 俺はホワイトな主としてお前たちに接するんだよ!


「いや、俺がやりたいんだ。お前たちは俺の命令でそれを仕方なく受け取る……命令だ、甘んじてこれを受け取るんだ」


 この場に居る全員にポーションを渡す。

 味付けはバッチリしてあるので、今回の実証実験で疲弊した体を癒せるだろう。


 その後、中でも特に俺のためと貢献してくれた忠臣の元へ近づく。


「そしてリョク、お前にはこれを授けよう」


「こ、これは!?」


 なんてことはない、従魔に相応の武器を与えようと思った所存だ。

 これまでリョクが使っていたのは、俺がレベリングに用いていた初心者用の大剣。


「俺が鍛えた大剣だ。少しばかり呪いが籠められているが、お前への影響はない。あくまで敵対者への呪いだからな」


 情報を纏めるなら、こんな感じ──


---------------------------------------------------------

死懺血牙 製作者:(メルス)


呪具:大剣

RANK:A 耐久値:300/300


生きとし生きる者すべてを恨み、生き血を啜るために生みだされた業血の大剣

血を吸うことで所持者に能力値補正を与え、自らの耐久値を回復する

また、この剣が認めた者以外が使用しようとすると血を吸われる


装備スキル

(自動識別)(血液吸収)(血液修復)(能力向上:血液)(?)(?)


STR+30 DEX+10

---------------------------------------------------------


 製作者名が無いのは、上級の隠蔽スキルによって隠すことができたからだ。

 一度魔法の発動者を隠したことがあったんだが、まさか武器の方までできるとは……。


 どれだけ使っても壊れない武器を求めた結果、このような呪われた一品となってしまった──ただまあ、後悔はしていない。

 鬼が持つ剣であれば、これぐらいの性能は無いと駄目だろうし。


「こ、このような品をワレに……」


「期待しているぞ、リョク──この大剣に似合うだけの成果を、魅せてくれることを」


「っ……! お任せください、我が主! 必ず、必ずや証明してみせましょう!!」


 気に入ってくれたようで何より。

 リーを作る試作品として作ってみた一品だが、俺は大剣をあまり使わないのでぜひ使いこなしてもらいたい。


「──さて、そろそろ終わりにしよう。リョク、全員を一ヶ所に集めてくれ。街に送り返してやろう」


「ハッ、承知しました」


 その後、全員を時空魔法で送還し、本日のところはログアウトを行う。

 ……一度あの心地を知ってしまったし、今日は寝れないかもしれないな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ