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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と飛ばされて終焉の島 中篇 七月目

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偽善者とちょいデレ

(サブ)タイトル詐欺ですね



《う、う~ん……ハッ! ここは……》



 猿を仕舞い終わり、再び特殊フィールドを探してウロウロしていると……リーが意識を取り戻した。



「(やっと起きたか、この寝坊助。お前が気を失っている間に、一体どれだけの苦難困難が俺に襲い掛かったと思っているんだ)」


《え、ワタシが? ……ってそれもこれも、メルスがワタシにあんなことを言うから!》


「(おいおいリー、それはお前が感受性豊かなのが悪いんだろう。俺も【拈華微笑】が発動しないのは分かってたんだし、ドゥルもモザイク掛けていたんだから、グロいシーンは無かっただろうに)」


《そ、それは……。だ、だけど……わざわざあんな説明、しなくても良いじゃない!》


「(お前が訊いたんだろう? 『そんなにキツイの?』ってな。俺はそれに答えてどれだけキツかったかを言っただけだろ。やれやれ、リーは自分の発言に責任も持てないような娘だったのか。ちょっと残念だな)」


《だ、誰が残念ですか! メルスより残念な人なんて、眷属にはいません!》


「(……ほぅ、ツッコミもロクにできないリーさんがそれを言いますか。先に言っておくけど、残念な眷属ランキング1位さんに勝てるなんて、俺は思っていないからな)」



 ……ちょっと論点をズラしてみた。

 俺が残念なのは、自分でも偶に自覚できているから反論できないしな。



《な、何ですかそのいかにも怪しいランキングは! い、一体どこでそんなものを……》


「(俺の【完全記憶】と<千思万考>、あとはお前達との日々が作り出したランキングだ。1位と2位には超えられない壁的なものがあるし、多分ずっと首位確保だぞ)」


《2、2位は誰なの!?》


「(えぇと……リュシルだな。だけど、アイツはちゃんと解析の仕事とかやってるし……順位は変わらないよな。リーは、一体どんなことをやっているんだっけか?)」


《……魔法の練習ですよ》


「(うん、知ってるけどさ。リーが作ったオリジナルの魔法も、お前達と模擬戦する時だけは使ってるしな。……でも、プレイヤーにあれを使ったら、体が耐えられないだろう)」


《フフーン。メルスの能力値と[眷軍強化]があってこその魔法ですから、当然です。そもそも、メルスの力になりたくて創ったんですし、他の人は気にしなくても良いでしょう》



 だけど、さすがに強化されるステータスが異常すぎるんだよ!

 なんで擬似的な限界突破ができるんだよ!

 幾らなんでも跳ね上がり過ぎだぞ!


 ……だ、駄目だ。

 このままではただ俺の精神が疲労していくだけだ!

 せ、せめて癒しを――。



「(――まぁ、支援系の魔法は強化するもののパロメーターを弄るだけだし……少し劣化させればプレイヤーにも使えるか。むしろ過剰強化で強化じゃなくて狂化させる……リー、すまない! 俺はお前の真の考えを読み取ることができなかった!!)」


《え? べ、別にそんな考えは……》


「(みなまで言わなくていい! ――本当にすまない。お前のことを、残念なんて言ってしまって……。やはり本当に残念なのは……俺の方だったんだn――)」


《そんなことない!》



 おりょ? リー、テンション上げたか?

 指輪がリーの気持ちに合わせて、ピカピカ光ってやがるよ。



《メ、メルスは、ワタシたちに優しくしてくれる!》


「(そりゃあ……家族だしな)」


《メルスは残念なんかじゃ無い! だ、だって……メルスはワタシたちのことを思って行動してくれるもん!》



 もん! って……急なキャラ付けか?

 いや、可愛いから何も問題無いけどさ。



「(……悪かった悪かった、冗談冗談。そこまで自分を卑下しちゃいないよ。お前たちに信じられている分ぐらいは……自分を信じているさ)」


《……グズッ、それってどれくらい?》


「(その答えはさ、お前たちが一番分かっているんじゃないか?)」



 俺は指に嵌められた『神呪の指輪』を優しく撫でながら……リーにそう訊く。



「(お前たちは俺のことを信じてくれている。それは、今までの貢献を見ていれば良く分かることだ。だからこそ、俺は残念に思えるような行動が取れてる……そうでもなければ、異世界で命懸けのサバイバルをやっている最中に、人の心配なんてしていられないんだろうしな)」



 ――そう。

 正直全然実感を持っていないが、ここはAFOというVRMMOの中で、俺はログアウトもできずに多分召喚されたと思っているだけの一般プレイヤーだ。

 本来なら何もできず、ただ怯えて過ごすか狂っているかのどちらかのはずだ。


 ……だが、俺には眷属がいてくれた。

 俺に力を貸し、俺の意見に肯定してくれる――現実にはいなかった(・・・・・)存在が。



「(だからこそ、なのかな? 俺は、お前たちのことが……)」


《こ、ことが……》


「(…………お、特殊フィールドを発見した見つけたぞ! リー、一気に向かうぞ!)」


《メルス、続きを言ってよ! ことが、ことが一体何なの!?》



 絶対に言わないからな。

 もし言ったら、お前たちが迫ってくる頻度が上がっちゃうし……そして何より、恥ずかしいから!



「……言えるわけ無いだろう、みんなが大好きなんて正面向いて(ボソッ)」


《え、今なんて言ったの? もしかして、実は今言ってくれた?!》


「(言ってない、何も言ってないからな! ほらリー、さっさと行くぞ!!)」



 何度も何度も質問してくるリーを抑え込みながら、俺は特殊フィールドの入口へ向かっていった。




――と、いうわけで主人公のチョイデレでした。

作者にそういう甘酸っぱい経験は存在しないため、『こんなのありえねぇだろw』と言われても仕方がないんですけどね。



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