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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者なしの迷宮創壊 六月目

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偽善者なしのダンジョンイベント その03



 ピンポンパンポーン

≪――さて、10分経ちましたわ。

 それでは貴方達は、チームごとにイベント用のエリアに転送されますので、じっとしていていなさいね≫


 その言葉の最後と共に、プレイヤーたちの足元へ、幾何学な魔方陣が展開されていく。

 魔方陣が白色の光を放ち始める中、声の主は更に言葉を綴った――。


≪……そうそう、忘れていましたわ。

 一・二段階の制限時間は、メニュー上に表示されるようになっている砂時計を見て確認しなさい。

 あと、ダンジョンコアを失ったとしても、別のダンジョンコアを台座に置くことで、再びダンジョンを再び改変することが可能ですわ。ただし、設置できるのはそのダンジョンコアで設置できた物のみ、もちろんDPもそのダンジョンコアに貯まっていなければ再充填しなければなりませんので、注意してくださいね≫


 一度息を吐いて……続ける。


≪もし、優秀なダンジョンを作ったチームが現れた場合、その者達には【ダンジョンマスター】が転職リストに出現しますわ。これは今イベントの成績とは関係無く、ダンジョンの評価で決まりますので、創意工夫を凝らしたダンジョンをお待ちしております≫


 その言葉に、プレイヤー達は息を呑んだ。

 【ダンジョンマスター】といえば、創作物でも最強の職業の一つに挙げられるロマン職である。

 そんな職業に就ける可能性を告げられたプレイヤーたちは、イベントへの考え方を改めて動こうと決意した。


≪それでは、皆様お気をつけて!≫


 そして、魔方陣の輝きがプレイヤーたちの視界を奪い、始まりの草原が白い光の包まれていく。

 光が治まった時には、草原に存在していたプレイヤーたちは一人もいなくなっていた。




≪……結局、彼の姿はありませんでした≫


 無人の草原に、それでも声は響いていく。


≪レイお姉様とシンクに名を与え、運営に追放された異端者。今までの慮外な行動から、念の為に捜索してみましたが……やはり終焉の島から戻って来ていませんか。

 一度は会って話してみたかったのですが、少々残念ですね。

 今回のイベントもまた、従魔の功績が主に反映される。もし彼の眷属が紛れているのならば……会うこともあるかもしれませんね≫


 最後に声の主がそう言うと、草原は完全に静まり返った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 光に包まれたユウたちを待っていたのは、先程の草原に類似した広い平原であった。

 一部違う点があるとすれば、不自然な程に景観に合わない洞窟が、その平原の真ん中にポツンと存在していることであろう。

 草原の中に地下へと続く洞窟……それが、土壁も何も無い草むらの中央にあるのだから間違いない。


「とりあえず、あそこに行ってみようか」


 ユウのその言葉に反対の意思を持つ者もいなかったため、彼女たちは不自然な洞窟の中へと向かっていった。


◆   □   ◆   □   ◆


「これ……ダンジョンコアだよね?」


「そりゃそうでしょ。こんな洞窟の真ん中に一つだけ置いてあって……これがダンジョンコアじゃなきゃ、一体何なのよ」


 アルカの言う通り、小さな洞窟の中には、ダンジョンコアとそれが鎮座する為の台座がポツンとあるだけであった。


「……ギーさんかしら?」


「確かに、形状だけは似ているわね……大きさは全然違うけれど」


 ギーとは、彼女達の主が持つ神器"模倣玉"の愛称である。

 その名の通り形状が玉であるため、彼女たちはそんなことを考えた。


「ん? オブリは一体何をやってるんだ?」


「レンちゃんに頼まれたことだよ」


 オブリはそう言うと、アイテムボックスの中からあるものを取り出す。


「ユウちゃん、そこのコアを外して」


「わ、分かった」


「――よっこらしょ。うん、できた」


 オブリはダンジョンコアに似た……いや、ダンジョンコアと瓜二つの球体を、コアが嵌められていた台座に設置する。


「……ねぇ、一応確認するけど。オブリ、それは一体何なの?」


「これはね、レンちゃんが用意したダミーコアだよ」


 アルカの質問に、オブリはそう答える。


「レンちゃんはこう言ってたの――

『良いですかオブリ。これを設置すれば、私たちが貴女たちの居る場所が分かるようになり、そこに移動できるようになります。ですがこのことは、このコアを設置するまでは決して誰にも言わないでください。もしかすると、向こう側ががチャットのログからこちらに気付くかも知れませんので』――だって」


 つまり今設置されたダミーコアには、発信機のような機能が備わっている――そう理解した彼女たちは、オブリの行ったことを納得する。


「それで、レンさんはどれくらいしたら来ると言っていたの?」


「えっと……確か「すぐですよ」」


 オブリの声を遮るように、女性の声が何処からか聞こえてくる。


「――座標は直ぐに分かりましたので、そちらのダミーコアに干渉して転移門を購入、設置、接続を行いました。オブリもご苦労様でした。お蔭様で、安全に(・・・)移動することができました」


「……非合法でもできたんだね」


「貴女たちを座標代わりに使えば、時間は掛かりますがここの所在が分かりますので」


 実際、とある眷属たちはその方法を使って主の元へ馳せ参じようとしていた。

 だが、普段から座標を確認している主と違い、全然気にしていないプレイヤー側の眷属となると、座標を特定するのに少々時間が掛かるのだ。


 今回は、少女の分身でもあるダミーコアを印にしたため、迅速な特定が可能であった。


「……ティンスとオブリは久しぶりですね。

 ユウとアルカは、主様との決闘を見ていましたが気が付きましたか?

 リアとシャインは……声だけでしか私を知りませんし、挨拶が必要ですね。


 初めまして、私は主様の眷属。ダンジョンコアが人化体――レンと申します。以後お見知りおきを」


 蒼銀色の髪と無機質な黄金の瞳を持つ少女は、彼女達にそう告げる。



===============================


メルス「……今更だが、レンの容姿について語るの、初めてだな」


レミル『メルス様、草原での声は……』


メルス「場所の特定も大変なんだな。自分の分身を目印にするってのも良い方法だな」


レミル『アナウンs……』


メルス「にしても、やっぱり【ダンジョンマスター】はロマン職だよな。劣化再現しても意味が無いから今は使えないけど、いつか取り戻したいな」


レミル『……もう良いです』


メルス「アナウンス? あぁ、気にするな。あの名を知ってるんだ。問題無いだろう」


レミル『分かっているなら、もっと早く答えてくださいよ……もう……』


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