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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と飛ばされて終焉の島 前篇 六月目

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偽善者と反省

主人公視点での、この章の最終話です



夢現空間 居間



「たっだいま~……ってどったの?」



 居間に入った俺たちを待っていたのは、正座している眷属たちだった。



『おぉ、メルス。帰ったのか』


「いや、帰るって言ったじゃんか。……で、この状況は一体どういうことなんだ? クエラム」



 この場で正座をしていなかった数少ない人物の一人――クエラムに説明を求める。



『……反省の証だな』


「反省?」


『まぁ、それは本人たちに訊いた方が良いと思うぞ』



 そう言って、正座している眷属達の方を向くクエラム。

 ……いや、本当に何があったの?



「とりあえず……体勢を崩して良いぞ」


『いいえ、そういうワケにはいきません。わたしたちは、メルス様の意向に反ったのですから』


「へっ? ……反った? いつ?」



 ネロのことならもう終わらせただろう。

 まだあったのかよ……。



『いつって……さっきだよさっき』


『メルスがゴーレム……マシューだっけ? に攻撃されたのを見て、ぼくたちが転移しようとしたじゃないか』


「あぁ……」



 リアが言ってくれて、やっと分かった。

 嗚呼、本当に駄目なようだ。



「……つまり、俺が悪いってことか……。俺がダメージを受けるようなヘマをしなきゃ、みんながそんな風に心配しなくて済んだんだしな」


『『『っつ!?』』』



 そうだよな……。

 幾らカウンターアタックするって言ってもさ、もっと良い方法もあったのだろうに。

 馬で鹿な俺には思い付かない素晴らしい考えが、眷属たちにはあったんだろう。


 ……だが、中途半端にしか力を借りなかったから、こんなことになってしまった。

 意味の無い罪悪感を感じた眷属たちが、意味も無い正座をしている。

 こんな状況があっても良いのだろうか……いいや、良くない(反語)。


 俺もまた、眷属たちと同じように正座をして、話を続ける。



「例え、それにお前たちが何か思うところが有ろうと無かろうと……俺はそれを悪いことだとは思っていない。家族のことを思って動くことの、何処が悪いんだろうか。家族ってのは、どんなことでも笑って許せる関係だろう? 俺は……そんな家族を作っていきたいと思っている。お前たちは……どう思っているんだ?」


 ――眷属とは、家族と同等の者なり。


 俺の記憶を見た眷属たちは、俺がそう考えていることを知っている。

 繋がりの無い者達が誰かを起点に、家族として成立していく。

 俺がそんな者たちを、羨ましく感じていたことを(べ、別にアッチの意味でそう感じたワケじゃ、な、無いんだからね)。


 だからこそ俺は家族を求め、眷属を――犠牲となる者を増やし続ける。

 そうしていないと――――から。



『……私たちは、メルスと共にある』


『例え最初がどうだったとしても、今の私たちはメルス君と一緒にいたいと思っている』


『ごしゅじんさまと一緒が良い!』



 武具っ娘たちは……そう言う。



『メルスンと一緒にいると、毎日が楽しく感じられる。今までの退屈が嘘みたい』


『わ、吾は別に……悪くないと思うぞ』


『メルスさんは、私の質問に親身に答えてくれました。誰も教えてくれない寂しい日々より、貴方といた方が面白そうです』



 強者たちが……そう言う。



『そもそもね、それが嫌なら眷属を辞めているとは思わないの?』


「い、いやでも……」


『デモもメモも無いわよ。メルスは、私達のことを信じているんでしょ?』


「っ! 当然だ!」


『なら、それで良いじゃないの。話を逸らし過ぎよ。貴方は私たちを信用していて、私たちを貴方を信じ切ることができなかった。だからこそ、貴方を心配して、駆けつけようとしたのよ。……メルス、貴方の心は脆いって前に言ったわよね? 私たちは貴方がいつも頼ってくれないことが凄く不満なのよ……』



 ふ、不満?

 俺はただ、自分でやれることを自分の力だけでやろうと思っただけで……。



『だって、貴方が本当に力が必要な時に、誰かの力を借りようとしたことがある?』



 ……結構あるぞ。

 リアの時だって、ギーの力を借りて魔龍を倒したんだし。



『……そうね、なら質問を変えるわ。

 ――貴方は自分がピンチの時に、誰かに助力を求めたことがあるの?』



 ……いや、それは……無いけど。

 ほら、今は能力値に振り回されないように制御しているからあれだけど、その気になればアレだってさ。



『そうね、そもそも貴方がピンチになることは殆ど無かったしね。私達もここまで自分が取り乱すとは思ってもいなかったわ』



 そうなのか。

 俺としては、それはとても嬉しいことだから是非受け入れたいことだぞ。



『……わ、私が言いたいのは、いい加減頼りなさいってことよ。いつまでも貴方が自分だけでなんでもかんでも背負い込むから……私たちは、貴方を見ていることしかできない。見ていることしかできないからこそ、私たちは貴方を心配になってしまうのよ。

 ――お願い、分かって……』



 ティル……。

 俺を説得しようとする彼女は、最後には泣きながらの発言となった。

 周りを見ると、殆どの眷属が同じ気持ちなのか、目が潤んでいた(ネロだけは、何故自分がそんな状態にあるのかが不思議に思っているみたいだ)。



「毎回毎回みんなに言われても、俺が変われるかどうかは分からない。だけどその言葉達は……必ず俺の心に響いて来る。

 ――ありがとう、こんな俺に優しくしてくれて」


『……グスッ。貴方が変われるように、何度でも言ってあげるわ。

 ――貴方が心配だと』


「あぁ、よろしく頼む」



 これから俺はしばらく自粛して、眷属達に心配されないように夢現空間でのんびりしていようかな~……と思っていた。


 ――これから来る、祭りが無ければ。



主様(マイマスター)、少々良いでしょうか》


「(良いけど……何かあったのか?)」



 俺に念話を掛けてきたレンは、祭りを俺に知らせてくる。



《――運営が、イベントを始めました》




次回は掲示板を久しぶりに書いてみようかと……。

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[一言] ティルが正妻ムーヴしてる
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