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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と飛ばされて終焉の島 前篇 六月目

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偽善者と素振り

途中の効果音は、『ぶんぶんぶん~蜂が飛ぶ』をイメージしてください



夢現空間 生産室



 彼らの今後の活動方針を決め、とある裏技とも言える方法で"始まりの町"に送り出した後、俺は一人で生産を行っていた。


 ……うん、島からの脱出はできるんだよ、ここに封じられていた人達と俺以外は。

 正規の方法でここに飛ばされた場合、島の外に出られないようになるのだが、それ以外の場合で来た者には影響がないらしい。


 一度だけ試してみたのだ――レンに部屋の一部をダンジョン化してもらい、外部にある(俺の)ダンジョンと繋げれるかどうかを。


 結果は成功。

 造られた転移門から別のダンジョンへ移動が可能であった。

 俺も久しぶりに帰ろうかと思って通ろうとしたのだが、バチッとか、そんな感じで拒絶されたよ。


 そして詳しく調べたところ、上記のことが判明した(最初に試したのは外側の眷属だったので、成功したのだろう)。

 そんなこんなで、俺には無理だが彼らは可能なことを任せ、俺は一人で生産に打ち込んでいるというワケだ。



「……とは言っても、遠隔兵器やアプリを増やすぐらいしか、やることが無いんだよな」



 機人を通して入手したスキルを新たに組み込むことで、遠隔兵器達はさらに強力な力を手に入れることとなった……使う機会なんて無いんだが。

 また、演算機能の向上も『WifoneVer2.0』として配信予定だ。

 これでネットもサクサクだな……繋がらないけど。


 ――にしても暇だ。

 どうやら今回のスキル作成会議はかなり難航しているようだ。


 全員が(並速思考)を使いながら話し合っている筈なんだが、それでも終わらないとなると……どんだけ凄いスキルを創ろうとしているんだろうか。



「う~ん……武術の練習でもするか」



 そう考えて俺は、先程まで使っていた物を仕舞い、再び修練場へと向かった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



修練場



 ブンッ ブンッ ブンッ ブンッ


 軽快に剣を振り回す音が、修練場に木霊していく。

 ティルに教えて貰った基本の構えを取りながら、俺はひたすら剣を振り続けていた。

 【完全記憶】に残るティルの動きを<澄心体認>で理解しながら振ることで、俺でもある程度、剣士のような技術を体得できるのだ。


 派手な大技より、地味な小技。

 最近はちょくちょく武技を使っている俺には、身に染みる言葉だ……武技は無くても武技は使えるのにな。


 例えば【剣聖】の"聖剣空斬撃"。

 これは剣に聖氣を流し、聖氣ごと斬撃を空に飛ばすだけ(・・)の武技だ。

 いやいや、斬撃を飛ばすなんて不可能だろう、という考えは、ステータスが今の状態(化物級)になった時に捨てた……実際にできたのだからな。


 いや、ビックリしたぞ。

 ――それを見たティルが、一瞬でそれを再現したことに。


 さすが剣神から加護を授かった剣聖だなって思ったよ。

 紛い者である俺とは違う、本当の才能の持ち主ってのを見た気分だったな。


 前にも言ったが、基本的に俺の戦闘はスキルの補正を受けた状態の体の動きをなぞっているだけだ。

 行動がワンパターンだと怒られたこともある為、少しは別の動きを取り入れようと思ってはいるのだが、一度見た動きで無いとできない。

 ……何故なら、どんな動きをすれば良いのか分からないから。



 問題です。

 Q.ごく普通の――それこそ武術の心得を全く持っていないモブ野郎に武器を渡したとして、ソイツが熟練の戦士のような動きを取れる能性はあるのか?


 A.ほぼありえない。


 そんな奴は普通とは言わないだろう。

 間違いなく選ばれし者確定ルートだろ。

 突然力が目覚めてピンチを乗り越える? いつの時代の少年漫画なんだよ、今時不遇系の方が多いわ!


 そんなワケで基礎から学ぼうと、俺は素振りから始めているのだ。


 ブンッ ブンッ ブンッ ブブブブブンッ


 ブブブブブブブブブブブブブブブブ


 ブンッ ブンッ ブンッ ブブブブブンッ


 おっと、あまりに暇だったから加速しながらやってしまった。


 傍から見たら気持ち悪いだろうな……。

 ヌルヌルとした動きで、剣を振り回している様子なんて――。



『メルスー、ここにいるわよ――ヒッ!』


「……あっ」



 ――まるでGを見た少女のような反応をしたティルが、そこには立っていた。


 いやいや待ってくれ、悪気は無いんだよ。

 ちょっと作業効率を高めようとして、物理限界を超えた動きをしていただけなんだよ。



『ほ、本当に驚いたんだから。あ、あんなヌルヌルとした動き……気を付けなさいよね』



 すいませんでした。

 まさか、念話での連絡も無く突然人が入って来るなんて、思ってもいなかったからさ。



『気配の感知ぐらい、いつでもしなさいよ。それに念話だって、したのに反応が無いから連絡に来たのよ』



 あー、またやっちゃったか。

 よくあるんだよな~、誰かが俺を呼びに来ること。

 ……で、スキルが完成したのか?



『えぇ、そうだけど……いい加減、自分で喋りなさいよ』



 ほ、ほら、俺口下手だし?

 ティルなら俺の思考を読んで話してくれるじゃん?



『……面倒って言ってるのがバレバレよ。それにメルスって、一度に色々と考えている時があるから大変なのよ。一気に情報が流れて来て、頭がパンクしそうになるんだから』



 え? 並列で思考できてるのか?

 自分だと全然気付かないもんだな。



『……とは言っても、主になっている思考以外は大体希薄なものよ。何故かアニメの記憶の再生だけは、しっかりとやっているけど』



 良くないか?

 アニメから何かヒントを掴めないかとずっと再生しているけど、結構な量の情報が手に入るぞ。

 最近はずっと六畳間を見てるけどさ、主人公が古流の騎士剣術を作中で習得してるし、参考になるぞ。



『……ふ~ん、面白そうじゃ無い。映像の魔道具は、あくまでそれを媒体にしてるから見辛いのが多いのよ。それはもう、図書館に置かれているの?』



 あぁ、半分ぐらいだったらもう置かれているぞ。


 今度一緒に見るか?

 ポップコーンでも摘まみながら、二人っきりで視聴しようぜ。



『お、お願いするわ』



 そうかそうか、楽しみだ……って、話を戻さないとな。




次回、あぁ懐かしのステータス。


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