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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と天下無双 五月目

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05-09 報酬カタログ その03

加筆・修正しました(2025/05/14)



 まさしく、ウワサをすればというヤツだろうか。

 光の中から現れたのは、かつて俺が名前を与えた(ということになっている)女性だ。


 煌く金色の髪と瞳、そしてスラっとしたスタイル。

 女神のようだと昔は思ったが、再会した今も変わらずその感想を覚えた。


 先ほどから共に居るGM05──改めシンクの姉である、GM01ことレイさん。

 彼女は笑みを浮かべたまま、こちらに近づいてくる。


「お久しぶりですね、メルスさん」


「えっと、久しぶり……ですね、レイさん」


「そんな他人行儀じゃなくても構いません。もっと気安くレイ、と呼んでいただいてもいいんですから」


「あ、あははは……」


 蠱惑的な声にすぐさま呼び捨てにしたくなるが……後ろから漂うオーラ的なナニカに圧され、苦笑いを浮かべるだけに留まった。


 するとレイさんは視線を俺からシンクに向け、若干異なる種類の笑顔で話し始める。


「お、お姉様……ど、どうしてここに?」


「05、この場所がどういった用途で使われるのかは理解しているでしょう? ここが用いられた時、それはGM全員に連絡が入ります。何より、メルスさんは私の加護を持っていますので……すぐに気づきましたよ」


 たしか、加護の効果は光属性の適性が向上する他に、[GMコール]でのレイさんご指名ができるという機能だったっけ?


 それとこれがどう繋がるのかはさっぱりだが、上には上の事情があるのだろう。

 そんな話の中、シンクは突如ニヤリと笑い始める……ああうん、なんとなく分かった。


「05? いいえ、違うわお姉様。今の私はシンク! お姉様と同じ真名持ちなのよ!」


「なっ!? ……いえ、そうでした、メルスさんですもの。いづれこのような事態が来ることは、簡単に予測できました」


 おや、なんだか急に寒くなってきた。

 耐寒スキルが機能しない、つまり肉体的な冷えではないんだが……発生源のレイさんは寒くなさそうなので気のせいだろう。


 シンクはシンクで、髪からして赤いから問題ないな。

 というか、なぜか彼女の方からは熱波が送られてきている気がする。


「05……いえ、シンク。少し話したいことがあります、こちらに来てください」


「なんでよ。それならここで、メルスの隣で話せばいいじゃないの」


「め、メルス!? こ、この子は……いいから、早く来なさい! ──メルスさん、すみませんが少しだけお待ちください」


「わ、分かったわよ。じゃあメルス、すぐに戻ってくるから」


 そうして俺はこの場に取り残され、GM姉妹は離れた場所に向かった。

 さすがに盗聴はダメだと分かるし、スキルも魔法も使わずボーっとしている。


          ◆


 それから話は少しでは終わらず、かなりの時間が経過した。

 全然[ログアウト]に支障は出ないので構わないが、何やら苛烈に盛り上がっている。


「────、────ッ!」

「──、──────ッ!」


「……ハァ」


 嘆息をする声は、どこにも届かない。

 それ以上に大きな喧騒が、俺の視線の先で繰り広げられているのだから。


「どうして、こうなったんだろうか」


 視界に映るのは、二人の美少女(GM)

 レイさんとシンクは姉妹であり、シンクの語り方からしてそこまで仲が悪いということでも無かったはずだ。


 彼女たちが諍いを起こしている理由は、自意識過剰で無ければ俺が原因のはず。

 だがその原因である俺を差し置いて、省かれているのが現状である。


「えっと、なんでこうなったんだっけ……たしか、そうだカタログだ!」


 そう、今の状況とはまったく繋がりの無さそうなカタログという単語が、すべての始まりだったんだ。


 それが回りに回って、現在に至った。

 時間はたっぷりある……そうだな、少し思い返してみようか。


  ◆   □   ◆   □   ◆


「──なんてことがあったんだっけ?」


 なんだか文章にしたら、原稿用紙が十枚ぐらい使いそうな回想を終えて、改めて今という時間に目を向ける。


 姉妹水入らずで放っておいたのだが、彼女たちは今もなお口論を続けていた。

 やることもないので[メニュー]を弄ってしばらく、ようやく彼女たちが戻ってくる。


「お待たせしました、メルスさん」

「……悪かったわね、レイお姉様がしつこく聞いてくるから」


「──ここまでにしてほしい。それで、結論はどうなったんですか?」


 再び口論が始まりそうだったので、強引に中断させた。

 少々不服そうではあるが、二人ともに溜め息を吐いて話してくれる。


 そして、その内容は──


「──合成魔法? ああ、結構やっていたけど……それがどうかしたんですか?」


「メルスさんがイベントで行った、複数の魔法を束ね上げる技術のことです。難易度に合わせて合体、合一、合成とありまして……例の創造を行った魔法は、合成に該当します」


「ネタバレになっちゃうけど、その合成魔法に辿り着くのも、とあるイベントの一環だったのよ。だからそれができた方法を、少し上が気になっているの。スキルはまだ誰も習得していないのにって、てんやわんやよ」


「……まあ、誰でも頑張ればできると思うけど。やり方だけ言うと──」


 説明はとてもシンプルに済む。

 並列行動スキルで魔法を同時発動、力場支配スキルで強引に魔力を一つに束ね上げて新たな魔法にする……そんな感じだ。


「AFOってタイトルだし、創作物だとそういう合成って技術は定番ですよね?」


「……祈念者の方にもそういって個人、複数人で挑んだ方がいますが、例外なく最後は爆発オチです」


「擬似的にできる方法もあるけど、完全版はやっぱり合成魔法のスキルを持ってないとできないの。でもメルス、貴方はそれができている……だからこそ、それが問題になった」


「問題?」


 何やら雲行きが怪しくなってきた。

 彼女たちも冗談を感じさせる表情ではないし、直感スキルが危険だと警鐘を鳴らしてくれている。


「合成魔法は神代魔法というスキルの一種です。詳細は話せませんが……」

「要するに、チート乙って感じの魔法の集まりね。合成魔法はそれぐらいの代物なの」


「そのスキルを持っている、そう思った上が危険視していると?」


「その程度ならどれだけよかったことやら」

「すぐに上は、メルスさんの情報を開示するように命令しました。しかし、それはできませんでした」


「……できない? 隠蔽スキルとか、偽装スキルを使っているからか?」


 何でも自由なゲームとはいえ、まさか運営相手に守秘義務を確保できるとは。

 ゲームプレイ前の規定云々のアレ、流し読みしたからよく分からないんだよな。


「……できないわよ、普通」

「通常であれば、祈念者皆さんの情報は運営側に把握されております。ですが、それができないということは──」


「俺の情報を守ってくれるヤツがいる、とかか? たとえば……神様とか」


「「ッ!?」」


「まあ、いろいろとあってな。なんとなく、察しが付いてた。でもそうか……この世界、運営以上に権限を持ってる神様とかがいるのか。本当に何でもありなんだな……」


 そもそも、俺に{感情}なんてというハイパーにチートなスキルをくれることなど、通常のゲーム運営であればありえない。


 おまけに転職の時に出てきた『???』の干渉、アレが神様なのだろう。

 運営が把握していない以上、【生産神】も本当は俺が持っていてはいけないのか。


「……。とりあえず、そういった認識で構いません。外部からメルスさんに干渉できないことから、暫定的に特異点として私たちが監視することになっています」


「まあ、レイお姉様がこんな感じだから、そこまであれこれ報告する気は無いわ。暇な時に見る動画配信、ぐらいに考えておいてちょうだい」


「二人にだったら、別にいいんだが……いろいろとその、いいのか?」


「……何のことを心配しているのか知らないけど、少なくとも見てきた範囲で問題となることは無かったわ。メルスの野望も、私たちには関係ないもの」


 あっ、はい、バレてますねこれは。

 どうやら俺が創造した世界内部のことは分かっていないようだが、イベント中にフェニとレミル相手に話したことはバレバレだ。


 レイさんも顔が赤いし、シンクも顔を逸らしている……こりゃあ嫌われたか。


「そ、それで、監視してどうするんだ?」


「は、はい。上は、メルスさんを保護した神の所在を探っています」

「つまり、貴方は誘き寄せるための餌ってことね。分かるまでは手も出してこないわ」


 まあ、いずれ俺も会いたいとは思っているので、探してみようと考えてはいたが。

 その計画は無しにして、しばらくは内密に動いておくことにしよう。


「助かったよレイさん、それにシンクも」


「…………」

「なんか追加みたいで腹が立つわね。それに途中から、レイお姉様用の敬語が無くなっていたわよ」


「あっ、シンクと話してるとつい敬語を忘れててな。すみませんレイさん……どうしました、レイさん?」


 黙ってこちらを見ているレイさんだが、何やら意を決したようで……。

 その重圧感にごくりと唾を嚥下し、その瞬間を待つ。


「──レイ、で構いませんよ」


「……へっ?」


「それに、敬語も不要です。シンク同様、気安く話しかけてください……いえ、その方が嬉しいです」


「呼んでやりなさいよ、メルス」


 妹様のお許しも出ているし、何より彼女自身がそれを望んでいる。

 ならば、その方が良いのだろう……口調もこっちの方が聞きやすいこともあったし。


「レイさん……じゃなくて、レイ。一つ、聞きたいことがある」


「はい、なんでしょうか?」


「監視って、どこまで?」


「…………ふふふっ」


 これまででもっとも綺麗な笑みを浮かべたレイさん……じゃなかった、レイはそのまま沈黙を貫いた。


 今回は無理そうだな……仕方ない、別の話題にしようか。



この先も読んでいる方であれば、ある程度お察しではありましょう

本編での会話には、いろいろと情報が欠けているため考察は満点ではありません

一部は間違っていませんので、とりあえずの認識はアレで大丈夫です

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