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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と天下無双 五月目

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167/2525

05-06 第一層 後篇

加筆・修正(2025/05/09)


※注意

作者なりの精一杯です

……読み漁った方がいいかしら?



 大量の虫が飛び交う中、俺は魔力を展開することで確保した安全空間から抜け出す。

 当然、そうなれば隙を見せた俺にその虫たちが向けられる。


「──“空間歪曲(ディストーション)”」


 それは俺の誘導。

 空間魔法を自分の向かう先に使うと、虫たちのど真ん中を突っ切る。


 虫たちは俺を襲おうとする……が、それはできない。

 空間を捻じ曲げて、俺の進む方向へ来れないようにしたのだ。


 そのことに焦ってか、質ではなく量で補うように更なる虫が投入される。

 ある意味、雲のように真っ黒の虫の団塊が生みだされるが──それでも先へ進んだ。


「見ーつけた」


  ◆   □   ◆   □   ◆


 彼女に触れ、ようやく模擬戦は終了。

 いろんな意味で捕まえるのが難しかった彼女だが、それでもスキルで指の筋肉をコントロールすることでどうにか成功した。


「うぅ、やっぱりまだパパには勝てないよ」


「ふっふっふ。俺に勝とうざなんて、数百年は早いかな。まあ、探索者たちを退場させるには充分なやり方だ。今度は魔物の姿と人の姿を使い分けて、戦う方法を考えてみるのがいいかもな」


「は~い!」


 彼女──ミントは10cmもない美少女であり微少女(大きさが)なので、そりゃあ捕まえるのも大変である。


 俺の言葉を聞き、ミントはレミルと共に特訓を開始する。

 そうして残された俺の下に、フェニがやってきた。


「ふむ、さすがはご主人だな」


「……だいぶ苦戦したがな。虫魔法で用意した虫で時間を稼ぎ、瞑想をして魔力を、体力譲渡で生命力を確保する。これだけでも、長期戦をできるんだよな」


「最後の手には驚いたぞ。あの霧は、いったいどのようにしてミント殿のみを生かして勝利したのだ?」


「殺虫剤だ。ミントは異常耐性スキルがあるから、問題ないって分かっていたしな。多少強引だったが、そういう部分も含めて圧倒的な勝ち方っぽいだろう?」


 クラン『ユニーク』のノロジーが有していた、固有魔法【科学魔法】。

 アレからいろいろと試して、現実で得た知識を基にやってみたのが──殺虫剤の生成。


 特に過去の代物は、人体にもかなりの悪影響が残るため禁止されているほど、凶悪な物が多い……それらを科学と魔法の力を掛け合わせて、生みだそうとしていたのだ。


 結果としては成功。

 ただし、この世界では耐性スキルというものが存在するため、それらの保持者には通じないことが判明。


 それでも有象無象には通用するので、今回のように大量の虫を駆除するという状況においては、適した使い方であった。


「そうだ、フェニ。少し大切な話があるんだが……いいか?」


「ふむ……話してほしい」


 唐突に、話題を切り替える。

 だがフェニは俺の表情から、真面目な内容だと察してくれた。


「レミルの……指輪ができたんだ」


「ほぉ、それは行幸。ならば早く渡してあげると良い。それで、どうしたのだ?」


「…………今ので重要な部分は終わったな。俺の感覚からすると、こういうのはフェニに言うべきことかなと感じていたんだが」


 暴走時の俺は、フェニをハーレムの一員として誘った。

 なので、究極的に言えば事前報告など不要だが……そうもいかんだろう。


 フェニの反応は、とても穏やかだった。

 激情するでも冷ややかになるでもなく、ただ素直にそれを喜んでいる。


 俺がその反応を不思議に思っていると理解したのか、あっさりと理由を教えてくれた。


「……ご主人。我はもう一人のご主人から、

ご主人が餓えて欠けていると言われた」


「…………本心から答えるが、その意味は全然分からない。ただ、俺はお前たちを家族だと思っている。けど、ただの家族以上に繋がりが欲しい……指輪にはきっと、そんな俺の欲深さが籠もっているのかもな」


 指輪を創る際、俺は彼女たちのことを想って製作に当たっている。

 だがそれが、百パーセント純粋な恋だの愛だのといった想いかと訊かれれば……否だ。


 聖人なんて心清らかな人種ではないので、そういった邪な心ぐらい持ち合わせている。

 眷族たちは美(少)女揃い……俺だって、劣情を抱いているはずだ。


「ただ、分からないんだよな。こっちの世界だと俺は、{感情}スキルの影響であのときみたいな状況以外だと、基本的にこんな精神状態のままだ。だから、俺には絶対という保証ができない」


「いや、ご主人はいつも我らに親身だぞ。それは接している我らが、ご主人以上に感じていること。だから何の気兼ねも要らない、望むままに……どうか、レミルを」


「ああ、分かっている」


 俺以上に、彼女は俺のことを理解しているのだろう。

 少なくとも俺は、自分の望むままにという考えが持てない……だからこその偽善者だ。


 でも、フェニは肯定している。

 ならば、自分の望みを訴えよう……ただ、想いを伝えるために。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 フェニがミントの下へ向かい、代わりにレミルがこちらへやってくる。

 特に何も聞かされていないようで、少々戸惑った顔をしていた。


「お呼びでしょうか、メルス様」


「その……だな、レミル。お前に、渡したい物があるんだ」


「渡したい物……ですか?」


「ああ。大切な物なんだ──これを、受け入れてほしい」


 空間から取り出す演出を交え、小さな箱から指輪を取りだす。

 ……フェニの時と似た感じなのだが、そういった部分を考える脳が無いんだよ。


「これは……メルス様」


「これが俺の、レミルに対する想いだ。共に居てくれ、ハーレムに加わってくれ……そして、家族になってくれ」


 あの時と違い、異様な精神の高揚などは感じられない……そして、必要ともしない。

 自分の拙い言葉だが、それでも俺なりに考えて言葉を綴る。


 言っていることは屑同然、正直ぶん殴られてもまったく不思議ではない。

 ……残念なことに、俺の話術はこれを最高の告白だと認識しているようだ。


 彼女は一連の流れを、ただ無機質な光を帯びない目で見ていた。

 そしてしばらくして、やがてポツポツと語りだす。


「…………メルス様」


「なんだ、レミル?」


「私は言いました。私にできることは、メルス様にこの身を捧げることだと。そして、メルス様は私の思うが儘に振る舞うことをお許しくださいました」


「そ、そう……だな」


 それは撲滅イベントの際、非リアたちが妬むようなことをしながら話したこと。

 それを思い出して少々顔が赤くなるのを感じながら、彼女の話を聞いていく。


「私の覚悟はすべて決まっています。どのような形であれ、私はメルス様と共にありたいのです。そして、メルス様が私にそのようなことを求めていただけることを……大変喜ばしく思います」


「レミル……」


「メルス様、厚かましいお願いではありますが……どうか、それを私に付けてください」


「わ、分かった……やるぞ」


 差し出された左手、そしてその薬指。

 相変わらずのお節介のせいで、嵌める場所はそこ一箇所のみ。


 緊張で震える指を抑え込み、ゆっくりと彼女に触れる。

 俺とは違い、柔らかなその手を掴み……指輪を通した。


「ど、どうだ?」


「凄く、嬉しいです」


「そうか……なら、俺も創った甲斐があったな。レミル、ふつつか者だがこれからもよろしく頼む」


「はい、こちらこそです!」


 この後、フェニが来て……いろいろと交わすことになる。

 が、それは俺と眷族たちの秘密ということにしておこう。



なお、第二層の予定は今のところありません

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[一言] レープ!レープ! ...ドイツかな?
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