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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と攻城戦イベント 二十三月目

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偽善者と攻城戦終篇 その06

みどりの日記念──連続更新二話目です



 攻城戦イベントは時間制限がある。

 時間中はどれだけPKを行っても、それは許されてしまう。


 いちおうでも、目の前のツンドラ少女は合法PK──対犯罪者限定──以外はしたことのない女の子。


 今さら腹が立つ男のためだけに、延長戦を申し込んだりはしない。

 そのはずなんだけどな……。



「あの時間が止まる魔導を使いなさいよ!」


「魔導は使えない縛りだからな」


「チッ、使えないわね本当に……まだ完成してないのに」


「おいおい、さすがに時間干渉だけは止めた方がいいぞ。死に戻りできる祈念者でも、デメリットがあるぐらいだからな」



 時間とは不干渉のもので、その影響を他者に及ぼすことは固く禁じられている。

 俺の場合、自分の世界内でという制約が設けられていたからこそ、できたことだ。


 しかしアルカは、このままだとそれを無視した魔法を完成させてしまうだろう。

 できないとは言わない……あらゆる不可能が、これまで可能になってきたのだから。



「ふんっ、分かっているわよ……あの感覚を忘れない内に、完璧にものにしないと」


「それは今じゃないぞ。決着はまだ、これからだし──『止まぬ溶雨』」


「人のものを……請求するわよ」


「なんだ、欲しいものがあるならそう言ってくれればいいのに。俺を倒せたなら、大抵のものならくれてやるよ──『凍える白雷』」



 現在、俺とアルカは『憤怒纏魔』というオリジナル魔法の効果で、発動した魔力攻撃すべてに火属性を付与している。


 ただし、それは【憤怒】の一端を触媒としたもの。

 アルカは金髪青目だったそれらを真紅に染め上げ、がむしゃらに魔法を放つ。


 対して俺はいつも通り、黒目とやや白髪の多い黒髪という至ってモブな姿。

 纏う礼服だけは違和感を覚えられるかもしれないが、あとは本当にただの一般人だ。


 そんな俺が放つのは、天才ツンドラ少女アルカが作り上げたオリジナルの魔法。

 白い雷……のはずだった真紅の雷が迸り、空気を通してアルカを襲う。



「なら──[波打つ時雨]!」


「本当、凄いよな……それ、[傀児の書]」



 雷を雨のように放たれた水玉が阻み、そのまま地面に誘導させる。

 そのまま地面に命中し──激しく炎が燃え盛る中、俺は異なるページを開く。


 飛び出す大量の傀児の数々。

 それぞれ火属性への耐性を与えており、少しだけアルカの魔法にも耐えられる。


 その間に、[魔法の書]から高度な魔法陣が刻まれたページを選択。

 縛りである魔力関係のスキルの中から、精度の高い操作能力で魔法を起動させる。



「[魔法の書]──“滅葬紫焔(パープルブレイズ)”」


「させないわよ──『不進の豪雪』!」


「魔法を減衰させる魔法か……うぅ、寒い。耐寒魔法は……あれ、無いな」



 魔法を探してみても、求めるような魔法を発揮するモノは存在しなかった。

 よくよく考えてみれば、スキルがあるからとすっかり忘れてしまう。



「鑑定ならまだしも、そっちは別にいいやって考えてたな。うん、ポーションもあるから忘れてたよ」


「……ずいぶんと余裕ね」


「そりゃあ──もう終わったし」


「ッ!? しまっ──」



 俺は時間を確認しながら戦っていた。

 一方、いかにアルカとて思考詠唱を使いながらの戦闘、彼女は時間を気にする意識も忘れて俺と戦ってくれたわけだ。



≪──じゅうにかいめのこうじょうせんがしゅうりょうしました。みなさん、おつかれさまでした。ただいまをもって、つうじょうのこうじょうせんイベントはしゅうりょうとなります、よくがんばりました≫


≪しょうごにおこなわれるじゅうさんかいめのこうじょうせんは、これまでとはことなりぜんプレイヤーがきょうりょくしていどむことになります。しょうさいはしょうご、さいしゅうせんのさいにおしらせします≫



 そして、GM06ことリウのアナウンスが終わりを告げた。

 アルカも仕方なく魔法を解除して、戦闘の意志がないことを示す。



「また殺し損ねた……!」


「そんな物騒なこと言うなよ。アルカ、早く次の準備をしようぜ──“空間収納(ボックス)”。魔力回復のポーションはサービスだ」


「ふーん、なかなか気が利いているわね」



 すぐさま飲む……のではなく、割って体にぶちまけるアルカ。

 中に変なものを盛ってあるなら、飲むより浴びる方が対応しやすくはあるけどな。



「……って、なんで飲んでないのに全回復しているのよ。私の魔力が全回復って、秘薬でも今は無理よ?」


「俺の特製ポーションだからな。欲しいときは、俺の願いを叶えてくれたら一定量贈らせてもらおう。有料での販売もOK」


「……言い値で買うわよ」


「はい、毎度あり♪」



 元【錬金神】で【生産神】な俺の作るポーションなので、性能は抜群である。

 ちなみに材料は水と葉っぱ(ユラル協力)だけ、非常にお安く作れます。


 そんなポーションを一ダース購入してくれたお大臣様。

 祈念者の権能[トレード]を使って、すぐさま取引を済ませる。



「本当に凄いわね。どうせぼったくってるんでしょうけど、この程度ならどうってことないわよ」


「……俺もそうだけど、現実換算してみろ。若干、後悔することになるぞ」


「…………無性に腹が立ってきたわ。やっぱりもう一発ぐらい」



 怒りが再発したアルカをどうにか宥め、俺たちは解散するのだった。




次回更新は12:00となります

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