表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と攻城戦イベント 二十三月目

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1536/2526

偽善者と攻城戦後篇 その09



 大きく息を吸い、全身を巡らせるようにして三つの身力を操作する。

 礼装から送り込まれる竜族の力──竜丹は凄まじく、本来人族で扱えない。


 俺は今回それを無理やり引きだし、使用した……その代償を支払った場合、俺の体は大幅な弱体化を受けてしまう。


 なので、それを踏み倒すべく行動する。

 集めた身力を今度は自身の心臓へ送ると、脈動と共に束ねていく。


 それが本来人族が扱う『人丹』を生み、体中に浸透する。

 こちらは比較的安全なもので……正直効果は薄いのだが、安定していると言えよう。


 あとは人丹の量を竜丹よりも高め、それを以って礼装から送り返されてきたエネルギーの塊を押し返す。


 代わりにそれは掌に集めて、外に放出……しようとしたのだが──



「主様、それを頂けないかのう?」


「まあ、お前の礼装から集めた力だから別にいいけど……なんで?」


「なぜと問われても……欲しているから、という理由ではダメかのう?」


「ん、それならいいぞ」



 欲しいと言われて、俺にあげられるモノならば渡したい。

 そう思わせるぐらいに、この世界で眷属たちと共にいる。


 いろいろとやらかしてはいるが、ソウもまた眷属……別に拒む理由もない。

 というわけで、さっそく実行する──単純に手を繋いでそこから流し込むだけだ。



「んっ……ぅっ……!」


「──“風力操作”」



 なんだか変な声を出し始めたので、風を操作して俺とソウの間に壁を作る。

 音漏れが無くなり、俺が認識するのはやけに淫靡な顔をしたソウだけ……アウトだな。


 俺は目を閉じ、別の作業に集中する。

 ちょうど発動した風力操作スキルを使い、周囲に風を当てていくだけの単純な作業。


 脳裏には風を当てた場所が浮かび上がり、それが何なのかすら認識できる。

 ただひたすらそんな作業を繰り返すと……生命体との接触を確認した。



「解除っと。ソウ、次に行くぞ」


「ほ、ほぉちぷれぇ……」


「…………はあ、仕方ないか」



 またまた出番な風力操作さん。

 ソウを包み込むように風を作り上げると、そのまま俺に移動に合わせて動かしておく。


 燃費の悪いソウの礼装、そして竜丹とその相殺まで実行しているが……上位の身体系スキルで回復を行えば、帳尻が合うぐらいには戻せている。



「ソウ、そろそろ気は済んだか?」


「……ふぅ。主様の気は、未だに儂の体中を巡っておるがのう」


「そこじゃないだろう。次の相手、そんな状態で充分に戦えるのか?」


「それであったか。主様をここで感じているのじゃ、負けるはずがなかろう」



 ここ、というのがどこなのか……は知る気にはならなかったので目を向けない。

 代わりに視界に移すのは、遠くで発見してやっと目で捉えられるようになった者たち。


 風を当てることで速度を読み取り、体の向きで行き先はなんとなく当てられた。

 まもなく到着するお客様、目的はこの領域の何なのか……という点はどうでもいい。


 今回の眷属は攻城を行なう者──つまりは襲撃者だ。

 もし、その情報を外部に漏れすような外因があるのであれば、それは消して当然。



「どうやって倒すんだ?」


「儂と主様の愛に満ちたコンビネーションをするのもまたよいが──」


「そんな事実あったか?」


「うむ、合ったぞ。とはいえ、それでは先ほどまでとは変わらん。相手は死なぬ人形、正面から向かい合う必要などなかろう。主様、今しばらく儂を固定しておいてくれ」



 言われるがままソウを支える……が、この先の展開がなんとなく分かってしまった。

 その後始末……というか、処理ができるぐらいに被害に留めるべく準備を行う。


 いかに祈念者が蘇える存在とはいえ、ソウの攻撃が綺麗に祈念者だけを穿てるわけではない……うん、つまりはそういうことだ。



「やるなら一瞬で済ませてくれ。俺はお前が撃ったらすぐに止めて、被害が出ないように抑え込むから」


「なるほどのう、それならば儂も安心して放つことができる。主様の世界で言うところの『背中は任せた』というところかのう?」


「いや、全然意味が違うからな」



 単独でも世界を滅ぼせるヤツの背中を任されて、俺は何をすればいいのだろうか。

 まあ、今回のような場合なら、滅ぼされないように四苦八苦するだけだな。



「行くぞ、主様」


「──“魂魄強化”、“並速思考”」


「スゥウウウ……ガァ──ッ!」


「──“緊急脱出”」



 ソウが行ったのは竜族の定番である息吹(ブレス)

 ただし威力がデカすぎるため、そのまま撃てば核兵器以上の惨劇を生み出す。


 ということで、俺は口から少しだけ息吹が出たら緊急脱出スキルを使い、自分たちの向きを傾けたうえでその場から転移する。


 飛び出るのはほんの僅かなエネルギーのみとなり、あとは移動先から上空に向けて放たれるという、誤魔化し方であった。


 移動したソウは。空へ向けて息吹を吹き切る……そして、何事もなく口を閉じる。

 つまりは成功、見事俺は人々の平和を守ることができた──(ドォオオオオオンッ!)



「……なあなあ、ソウさんや」


「どうしたんじゃ、主様よ」


「お前、力は自分の方でも押さえておいてくれたんだろうな?」


「いや、主様に言われた通り一瞬で済ませるための火力にしておいたぞ」



 つまり、何はどうあれ結果は変わらなかったというわけか……先ほど響いた天地を揺るがすような震動は、つまりほんの僅かな息吹が引き起こしたものということだ。


 どんだけ凄いんだよ、コイツ。

 創作物のチート系主人公とタメを張れる銀髪美女を眺め、ただただ呆れしか浮かばない俺なのだった。




最凶は伊達ではない、ソウの無双(?)回でした

本気の火力ではありませんでしたが、もともと真正面から戦える存在が五指程度しかいませんので、手抜きでもバトル漫画並みの戦闘能力を誇ります

なお、この五指は眷属を含まないで五指です


p.s.

そういえば、まだまだ一話目のアンケートは募集中です

作者がその話を書こうかと思い、実行に移し……最後の最後まで書ききったところで割烹に移す予定です

現在──王道:5 邪道:2 となっております

……感想に入れられた票が消されていた場合は、無効票となりますのであしからず

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ