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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と攻城戦イベント 二十三月目

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偽善者と攻城戦後篇 その06



「というわけで、今からそっちに行く。全力で防衛してくれ」


『え、えっと……師匠は何を言っているのかな? 回線が悪いのかな? なんだか世界を滅ぼす宣言をされた気がする』


「ん? 聞こえなかったのか。もう一回言うぞ、今からそっちに行く。全力で防衛してくれ──眷属といっしょにな」


『だから最後! 師匠だけならどうにかなるかもしれないけど、ほかの人はぜーったいに無理だから!』



 クリスタルの通信機能を用いて、彼女たちの占領している場所に連絡を取る。

 軽い会話をしてから、続いてこの話を持ち出したのだが……うん、この反応だ。


 というか、俺だけなら対処できるとか言われたんだが……事実ですけども。

 それはそれで、(肩書上の)師匠としては少々落ち込みたくなる。



「ユウ、考えてみてくれ。ほかの場所に迷惑がかかるなんてことにはなってほしくない。そうなったら、選択肢は一つだろう? 安心して戦うことのできる場所に、送り込むしかない……分かってくれ」


『分かるかー! 師匠、師匠が言っていることは要するに、百のために一を殺すとかそういう感じのヤツだよ! 三原則を守らせるために、見本とばかりに核を撃つようなものだからね!』


「おいおい、核とはずいぶんと失礼な。それぐらいのこと、今のアルカとノロジーなら余裕でぶっ放せるだろう?」


『そ、それはそうだけど……で、でも、そんなレベルじゃないじゃん!』



 ごもっともで。

 最悪、核兵器よりも非道な攻撃をぶちまける眷属もいるからな。


 もちろん、このままでは眷属が楽しめないということは重々承知している。

 なので、とある提案をしてみよう──



「能力値、好きなだけ解放できるようにするなら……どうだ?」


『……それでも勝てそうはないんだけど。少しぐらいは、時間を稼げるのかな?』



 本来、眷属たちには俺の能力値の一部が補正として分け与えられる。

 しかし、その数値があまりに異常なものになったので……現在はその恩恵を停止した。


 だがまあ、眷属同士の戦いならば話は別となるだろう。

 実際、能力値を同じにして戦いたいとかそういう場合は、補正で調整しているし。



「これはある意味、そこにいる眷属への命令でもあるな。それと同時に、依頼でもある」


『つまり、報酬があるってこと?』


「なんかさ、アイテムばっかり渡していてほしいものも無くなってないか?」


『たしかに……それはまあ、あとでみんなと相談するよ』



 なかなかしない命令だからか、とりあえず受け入れてくれる。

 しかしまあ、本当にアイテムは結構渡しているからな……都合のいい奴みたいだな。



「──ほい。眷属がそっちの占領地に入った時から、能力値が解放されるようにしたぞ。体がついていくかどうか微妙だし、あとで絶対に戦わないことを条件に送るから、そのときに調整しておいてくれ」


『えっ、もう来ちゃうの!?』


「親切にも、魔物を退治しておいてくれるらしいぞ。いやー、よかったな!」


『……魔物にも守らせてたんだけど。あんまり嬉しくないかな?』



 うちもやっているからこそ、それは分かったうえでの話だ。

 しかしながら、いきなり眷属が攻めてくるのと比べれば……容易い代償である。



「クレームは後で聞くし、別にクリスタルを破壊したいわけでもない。ただ、眷属の息抜きがしたいんだよ……頼む、ユウ。協力してほしい」


『そ、そこまで言われれば仕方ないね! 分かった、僕たちもやれる範囲で頑張るよ!』


「ありがとう……じゃあ、よろしくな。この後は忙しくなるぞ、眷属の装備も万全にしておかないといけないし!」


『え゛っ!? ちょ、ちょっと待っ──!』



 クレームが来そうだったので、通信を切断して会話を終える。

 即座に向こうから連絡(コールバック)が来るが、無視して聞かなかったことにしておく。



「──というわけだな」


「お気づきになっていたのですね、わが君」



 そこに立っているのは、白黒の髪をした少女……その頭部では黒くて丸い獣耳がぴょこぴょこと動いている。


 聖武具の武具っ娘の中でも珍しく、獣耳少女でもあるチーだ。



「まあな。チー、そういうわけだから眷属全員で最南端の領域を攻めるぞ」


「分かりました。ですが……防衛する戦力も必要ですね? ならばわたくしは、この場からの支援に徹します」


「そうだな……ここからでも戦えるヤツ、また戦う気のない奴には防衛をしてもらう方がいいか。無理強いするよりは、そっちの方が楽だろうし」



 彼女は【救恤】の武具っ娘。

 その能力はあらゆる場所、どれだけ離れていても救いの手を伸ばす──つまり射程制限がいっさいない弓の力。


 なお、祈念者の眷属だとオブリが【救恤】の担い手(代理)となっている。

 前に聞いた話だと、チーっぽい人と眷属にしたときに接触していたらしい。



「オブリとは会わなくていいのか?」


「……会う気はない、といえば嘘になりますね。ですが、彼女が仮初の【救恤】を持ち続けるのであれば、いずれ繋ぐことができるかもしれません。できるならば、そちらに期待しているのです」


「えっと、つまり適性を上げれば例の場所とやらでまた会えると?」


「さすがはわが君、その通りですわ。わたくしたち武具っ娘の自我は、彼女たちと条件を満たせば接続することが可能です」



 その条件が、適正というか親和性……要するに与えたスキル『らしさ』を身に着けることなんだとか。


 あくまでそれは<美徳>系の話、<大罪>系は違うらしいが……まあ、アルカとかならその条件でもできたかもしれない。



「けど、俺は誰とも繋がらなかったな」


「わが君にはそもそも、自我が直接寄り添いますので。そして、影響を及ぼそうにも、より高位の存在が阻みますので不可能ですの」


「……良くも悪くも、{感情}は謎が多いってことか」


「ええ。ですが、そのお陰でわたしくたちはわが君と出会えました……」



 そう、{感情}が無ければ彼女たちと出会うこと……何より、ここまでの偽善はできていなかっただろう。


 一度調べてみたのだ、純粋な『俺』の場合どの{感情}系のスキルに適性を持つかを。

 その結果は当然のものだった……普通を語る者(モブ)に、想いの極致(オンリーワン)届か(にあわ)ない。




IFルートがあれば、偽善者は今のチートを一つも持ち合わせていない状態でプレイしていきます

種族も天使が順当に進化しますが、本人の技量が足りずに全然成長できない──モブです

純粋な性能だけを見れば、ハ°ハ°スみたいな感じです……退場のタイミングという意味でも


p.s.(※メロンブックスをご利用している方に尋ねています)

メロンブックスのさくっと注文を利用した作者──それが去年の9月のこと

しばらく放置して、久しぶりにサイトで注文確認をすると……バーコードがありました

これまでは無かったはずなんですが……いつの間にか出るようになったのでしょうか?

ちなみに届いたというメールは無く、会員のくせにログインを忘れて普通に注文したせいで状況確認もできません


分かる方、これはメールが届いていないだけなのかそういう仕様なのか──教えてください

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