表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/2524

01-14 初転職



「おっはよー! いやー、いい朝だな。朝日が目に染みてくるぜ!!」


 ログインしてベッドから起き上がり、始めて見たものは――太陽(?)だった。

 眩しく目を照らす輝きは太陽そのものなんだが……いろいろと疑問点がな。


「とりあえず、今日も一日頑張るか」


 色が若干異なっていようと気にしない、そう思考を放棄して外へ向かう。




 リカルドさんに鍵を返して最初に行ったのは、冒険者ギルドだ。

 ――そう、ゲームの王道ギルドだぜ!!


 中に入ってみると、大勢の人々が並び滅茶苦茶混んでいた。


 ……そうだよな。みんな、普通同じことを考えるはずだよな。


 受付までをいろんなことを考えながら待っていると――やっと俺の前がいなくなった。


「ようこそ冒険者ギルドへ、ご用件はなんでしょうか?」


「はい、冒険者登録をしに来ました」


「では、こちらに記入をお願いします」


 慣れた感じで、そう伝えてくる受付嬢。


 今はプレイヤーがルールも知らずに入ってくるから、どこの部署で云々などとやることもできなかったのだろう。

 実際全ての受付にプレイヤーが並び、それぞれで冒険者登録をしていた。


 受け取った紙を確認する。

 えーと、何々……名前・種族・職業・得意なスキルかー。


 なら、これをこうしてーっと。


「――はい、受け賜りました。名前は『メルス』さん。種族は天使。職業は旅人ですね」


 種族と職業を言った時、テンションに変動があったのは気のせいだろうか。


 種族で下に、職業でなお下に、であるが。

 ……『種族:天使』は堕天する可能性を極力控えるだろうし、旅人も冒険者には向かないからだろうか。


「では、こちらのプレートに血液をお願いします」


 はいはい、血を垂らす必要があるのね。


 渡された針でチクッと指を刺し、名刺サイズの石版に流れ出した血を零す。


 一瞬淡く光ったそれを見ると、受付嬢は針とプレートを回収して奥の部屋に下がる。


「少々お待ちください」


 待ち時間、これが俺を今まで待たせていた原因だな。


 ただやることもないので、設定から戦闘中のステータス表記などを弄っていた。

 HP系の減る物をバーで表示するなど、俺なりに工夫を凝らした仕様にしておく。


 そうした暇潰しも、受付嬢が一分程で戻ってきたためすぐに終わる。


 やはり待ち時間に先輩冒険者に絡まれる、などといったイベントは発生しなかった。

 ……つまらないな、俺に主人公の素質(カリスマ)などやはり無かったのだ。


「──はい、お待たせしました。こちらがギルドカードでございます。ギルドの説明は必要ですか?」


「いいえ、あらかじめ学んできましたので大丈夫です」


 予習はバッチリだ、普段のゲームでは見ない掲示板をわざわざ見てまで調べておいた。

 あ、でも訊きたいことが――


「すみませんが、こちらで転職をすることはできますか?」


「いいえ、こちらでは転職はできません。転職――そして進化は、神殿でのみ可能です」


「……そうですか、ありがとうございます」


 ギルドに転職用のアイテムが置いてある、そういう創作物もあったんだけどな。


「はい。メルスさんは現在ランクF-ですので……残り10QP(クエストポイント)──ランクFとなります。頑張ってくださいね」


「はい、頑張ります」


 ギルドで頭角を現すイベント……これは主人公っぽい奴に任せておこう。


 俺は裏で暗躍し、こそこそと活動する方がベストなんだ。




 ギルドを出た俺は転職と進化を行うため、さっそく神殿に向かった。


 神殿は……なんかこう、神々しいオーラで溢れていた。

 床までピカピカだったので、少し怯えながら中に入る。


 神官っぽい人を発見、男の人だったので安心して目的地を尋ねた。


「すいませーん」


「はい、なんでしょうか?」


「転職……をしたいんですけど」


「分かりました。では、こちらに」


 種族進化はとりあえず隠しておく。


 周りにプレイヤーがいないのは話しかける前に確認していたが、それでも隠れているかもしれないし……。



 連れてこられた先には、巨大な水晶が置かれていた。


「こちらの水晶に触れることで、職業を変えられますよ。同様に、種族の進化にもこちらの水晶を使用します」


「助かりました、ありがとうございます。俺は、メルスと申します。あなたは?」


「これは、自己紹介が遅れましたね。神殿司祭の『チャーリー』と申します……では、私はこれで失礼を」


 そう言ってチャーリーさんは、水晶の間を出ていった。


「……さて、始めるか」


 コツンコツンと足音が木霊する広い空間。

 ゆっくりと水晶に近づいていくと、その大きさが想像以上の物だと理解する。


 一回りも二回りも俺を超えるその高さ――現実でこんな水晶、はたして造ることはできるのだろうか。



 恐る恐る水晶に触ると、いきなり目の前にボードが浮かぶ――


***********************************************************

転職 [全て表示]


戦士・魔法使い・僧侶・闘士・盗賊・放浪者・旅芸人・鍛冶士・木工士・裁縫士・耕作士・調合士・錬金士・【??】


***********************************************************


 グチャグチャしていて見辛いな。

 これも、あとで設定を変更しようか。


 ボードを見る限り、新しく増えたのは三つだろう。

 旅人の順当な系進化先である放浪者と派生である旅芸人……そして、謎の【??】。


「これは間違いなく、俺に【??】を押せと言っているんだよな。ああ、間違いない。物凄くなんとなくだけど」


 矛盾した言葉を零しながら、【??】を転職先にすると強く念じる。


 その瞬間、それは突然起きた――


  □   ◆   □   ◆   □


 ERROR 異常なコードによる介入

 $E&*#……???による上位アクセス

 以降の導きは???主導の元行われます


【??】が選択されました

これより“メルス”の業値(カルマ)を確認します

【??】→【色欲】強制解放 -100

【??】→【怠惰】強制解放 -100

【??】→【暴食】強制解放 -100

【??】→【憤怒】強制解放 -100

【??】→【強欲】強制解放 -100

【??】→【希望】強制解放 +100

【??】→【忍耐】強制解放 +100

【??】→【謙譲】強制解放 +100

【??】→【慈愛】強制解放 +100

【??】→【救恤】強制解放 +100

【??】→【節制】強制解放 +100

(優越LvMAX)→【傲慢】へ強制進化 -100

(羨望LvMAX)→【嫉妬】へ強制進化 -100


行動経験より――【純潔】を習得 +100


現在の業値0――中庸 ±0


(正なる心LvMAX)を確認

→(正なる心)を<正義>へ強制進化±0


<正義>の固有能力“善意は時に悪意となる”発動――【??】を全開放した状態での習得・業値0での固定となります


伝説(レジェンド)スキル<大罪(シン)>習得

傲慢(プライド)】【憤怒(ラース)】【暴食(グラトニー)】【怠惰(スロウス)】【色欲(ラスト)】【強欲(グリード)】【嫉妬(エンヴィー)】は<大罪>へ格納されます


伝説スキル<美徳(グローリフィ)>習得

謙譲(ヒュミリティ)】【慈愛(ベネボレンス)】【節制(テンペランス)】【希望(ホープ)】【純潔(チャスティティ)】【救恤(チャリティー)】【忍耐(パーティエンス)】は<美徳>へ格納されます


夢幻(ファンタジー)スキル{感情(エモーション)}習得

<大罪><美徳><正義(ジャスティス)>は{感情}へ格納されます


種族:天使・<正義>を確認

→固有種族:【天魔(フィンド)】へ強制進化

種族スキル:(天魔魔法)(天魔眼)(天魔翼生成)(思われし者)(一途な心)習得

(天使魔法)は(天魔魔法)へ統合されます

(天使翼生成)は(天魔翼生成)へ統合されます

(善なる心)は(一途な心)へ統合されます


固有職業:【??】を選択


業値:0を確認


固有職業:【大罪之魔王】シリーズ不可

固有職業:【美徳之勇者】シリーズ不可


→新たな職業の作成が選択されました

特殊固有職業の作成……成功しました


特殊固有職業【初心者(ノービス)】への転職を実行

職業スキル:(全武術適正・微)(全魔法適正・微)(全身体適正・微)(全技能適正・微)(初心者の可能性)を習得します


称号:『最速転職』『最速進化』『初めての伝説スキル』『初めての夢幻スキル』『大罪保有者』『美徳保有者』『正義保有者』『初めての固有種族』『初めての特殊固有職業』『天魔へ至りし者』を獲得しました


  ◆   □   ◆   □   ◆


「――え? あ、え……は?」


 いろいろなことが同時に起きた。


 体が淡く光ったり、遠くで何かをアナウンスする声があったた気もするが――それに気を配ることすらできない。


 気が滅入り過ぎて、思考が停止していた。


「……なんか、もう疲れた」


 この後俺は考えるのを止め、呆然と立ち尽くした。


「どうして、こうなった」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
アンケートのお礼ですかね?これ。アンケートのお礼に当たりそうなのが特に思い浮かばない…
[一言] いやぁ、だんだんバグってきましたねぇ笑 あ、あと大罪系統は英語派なんですね 自分はラテン語派です(どうでもいい笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ