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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
第〇四章 試練の魔王と堕ちる者たち

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04-31 撲滅イベント その09

加筆・修正しました(2020/07/07)



 その後、リーダーや他のメンバーたちと合流してイベントポイントを稼ぎ始めた。

 決められていたのは最初だけだから、あとはやりたい放題なんだよな。


 相手もそれは同じで、至る所で戦闘を繰り返してきた。

 ……ただ唯一、どちらも例の場所は不可侵の領域として。


 向かってみれば、誰一人勝てない天使が君臨していた場所には誰も近づかない。

 だがしかし、天使が居なくなっていることに気づいたとある男がこう呟く。


「──なあ、アイツを誘わねぇか?」


 まあ、それこそが俺たちのリーダーである『タツオ』だ。

 普段から突拍子もないことを言う男だが、今回もそんなことを言い出した。


「俺、たしかアイツをこっちの陣営で見た気がするんだよ。えっと……そうだ、紅髪の美人さんといっしょに居た……ててて! 急に何すんだよ!」


 俺たちのパーティーは男2、女2。

 そして俺は、その中でもとても肩身が狭い思いをしている……目の前の光景が、いつも繰り広げられているからだ。


 移り気なリーダーに焼き餅を焼き、頬やわき腹を抓る。

 そんな光景がありふれているからこそ、俺たちは全員リア充グループに入れられた。


 ……いや、俺は違うんだけどな。

 だが、トップランカーたちと違ってあまり有名じゃないため、一括りにパーティー名を書かれてしまったんだろう。



 閑話休題(おれがちゅうさい)



 俺たちパーティーの会話は、リーダーがやらかして二人が揉め、それを俺が仲裁するところまでで一周だ。


 今回もそうして仲裁をしたことで、再び話はリーダーの意見を聞く段階に戻る。


「と、とにかく、やっぱり一人なら誘った方がいいだろう? 危ないし、何か事情があるかもしれないから助けようぜ」


「まあ、いいんじゃない? パーティー枠はまだ空いているわけだし……それに、女は居ないみたいだから」


「私もメイと同意見です。このままでは、少し危ういかもしれませんし……男性でしたら大丈夫だと思いますので」


 それぞれ回復職と攻撃系の魔法職であるメイとサツキ、二人はリーダーに聞こえない私情を呟きつつも、互いにあの男を受け入れることに了承した。


「──で、『カンタ』。お前はどうだ?」


「どうせダメって言っても、もう三対一の時点で勝ち目がねぇよ……ハァ。はいはい、分かりましたよ。俺も賛成、どうぞご自由に」


 そう答えねば、あとが詰まるわけだし。

 ここで何か揉めようと、どうせ明日(リアル)に響くだけなのだ。


 別にあの男が加わったところで、警戒しておけば困ることはない。

 メイとサツキは同意見のようだし、意見を合わせるべきだろう。


 ……なお、うちのリーダーは人を信じすぎる気があるので、頼りにはできない。

 それをカバーするのが俺の役割であり、逆に信じ続けるのがアイツの役割である。


「──よし、じゃあ行ってくるわ! お前らは少し離れててくれ……いきなり詰め寄ったら、警戒されるかもしれないからな」


「大丈夫なの? いきなり不意打ちとかされるかもしれないわよ」 


「大丈夫だって。それに、もしそうなっても治してくれるんだろう?」


「……もう、しょうがないわね」


 また、いつもの流れになりそうだ。

 不服そうなサツキが動く前に、リーダーとメイの間に割り込んで止めさせる。


「ほらほら、それくらいにしておけって。もし、アイツがリア充絶対殺すマンだったらどうするんだよ」


「……なんでそうなるんだ?」


「そういうのはいいんだよ。ほら、さっさと行った行った!」


「わーったよ……ったく、カンタはいつも変わらねぇな」


 そう言って、リーダーは俺たちから離れて男の下へ向かう。

 ここからは声が聞こえないが、その挙動を見れるぐらいに距離だ。


 声を掛けたリーダーの方を向き、会話が行われる。

 怒るわけでも武器を抜くわけでもなく、男はリーダー相手に淡々と何かを話していた。


「あっ、戻ってきました……あの方も付いてきていますね」


「本当にパーティーに入れるんだ」


「とはいえ、仮だしな。相手がどういうことができるのかは……まあ、アイツのことだから聞いてないか。あとで聞いて、どういう戦い方をするか考えよう」


 リーダーの嬉しそうな笑みを見て、そこまで警戒する必要はないと考える。

 アイツは勘で、人の善悪を嗅ぎ分けているみたいだし、それであの反応ならな。


 すぐに俺たちと合流したリーダーは、さっそく俺たちに男を紹介する。

 中肉中背、ゲームの中でもあるにも関わらず、その恰好はとても『普通』だ。


 そこはかとない違和感を覚えるが、そういうスタイルでやっているのだということに。

 逆に全身甲冑姿のランカーも居るらしいので、それと比べれば……まあ、納得だ。


「みんな、紹介するぜ! こいつは──」


「えっと……申し訳ありませんが、お断りを入れさせてもらいに来ました。タツオさん、本当に申し訳ありません」


「ああ、いいっていいって。ノゾムもノゾムで、言いたいことがあるんだろう? なーんか面白そうだし、こいつらにも教えてやりたかったんだよ」


「ありがとうございます……タツオさんにはご説明しましたが、もう一度。私はあの天使様に出会い、知ったのです。この争いを止める術を。──どうか貴方がたには、その見届け人となってもらいたい」


 何を言っているのかさっぱりだが、どうやらヤバい奴だったみたいだ。

 ……妙にリーダーが満足気なんだが、今のどこに反応しているんだろうか?


「なっ、面白そうだろう?」


「ちょ、お前こっち来い!」


「お、おい、急にどうしたんだよ!?」


「……いいから!」


 そんなリーダーを男──ノゾムから引き剥がし、少々話し合いに持ち込む。

 いつもはコイツ中心の二人も、男の発言に疑念が浮かんでいるようで止めない。


「なあ、なんでお前はアレを聞いて普通に接してるんだよ」


「うーん……なんでって言われても、なんとなくって言うしかないな。ほら、ビビビッてくるのがあるだろう?」


「あるだろう……って言われても、お前しか分かんねぇよ」


 チラリとノゾムの方を見ると、何やら遠い目をしながらぶつぶつと呟いている。

 アレがわざとじゃないなら、そうとうイカれてるなアイツ。


「……で、それじゃあどうするんだよ。俺はそのままでいいと思うんだが?」


「…………なら、しばらくはいっしょに行動しよう。そのやるべきこととやらを、見極めさせてもらおう」


「もし、お前的にアウトだったら?」


「GM……はさすがにアレだが、どっちのグループにも情報をリークすればいい。別に俺たちがどうこうする必要は無いしな」


 パーティーとして、ポイント稼ぎにも協力してもらいたいのもあるんだが。

 何かやらかすとして、その成果を分けてもらえれば好都合だ。


 リーダーには改めて彼の下へ向かってもらい、了承することを話してもらう。

 最初からアイツは肯定側だったし、受け入れてもらえるだろう。


 それから俺たちも向かい、一人ひとり挨拶していく。


「カンタだ。近接担当だ、少しの間だが仲よくしよう」


「ええ、よろしくお願いします」


 そうして、俺たちの臨時パーティーが結成されるのだった。



名前の由来が分かった人、作者と握手

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