偽善者と星の海 その16
評価者数、増えていました……ありがとうございます
ただ、平均値が変わっていないということは……あっ(察し)
「──“永劫回路”駆動開始」
久遠と擬似的な永久。
二つの回路を組み合わせた永劫の力は、時間を掛ければ掛けるほど魔力量を増幅する。
今回は膨大な量を持っていた魔力をすべて炉にくべると、さらに回路を循環しより高めていく。
「──“開封”魔力関連」
俺の関係者が持つありとあらゆるスキルを扱える──そんなチート能力を起動し、中から魔力に関わるスキルをすべて使用する。
魔力操作、魔力同化、魔力制圧、魔力激強などに加え、地脈回廊、光合成、自然回復・極など……元から桁違いだった魔力が高まると、底知れない量の魔力を生成しだす。
「──“異端種化・聖霊:九尾狐:聖骸”」
肉体に因子を注入し、より魔力を扱える種族の力を利用する。
自然の体現である聖霊、獣人の特異個体の一つである九尾、聖人の骸である聖骸。
「──“内外掌握”“森羅同一”」
高めた魔力をより扱いやすくなるよう、変質させた肉体を内部から改造していく。
体はさほど動かずともいい、体を巡る生命力を魔力へ変換できるように。
そして体を自然と同化させ、聖霊の因子がより活性化しやすいようにしておく。
ついでに、ほんのちょっとの光で光合成が行えるよう、肉体をさらに弄る。
「──“状態操作”“神域到達”」
状態異常を反転させる、という工程を踏まずに直接バフを乗せられるようになった。
それによって魔力系のバフだけでなく、思考を巡らせ精密な操作ができるようにする。
そして、限界突破の極みであるスキルを行使し──これまでのスキルの効果を何千倍にも高めておく。
「──“過剰溜込”」
仕上げに【忍耐】の能力で、通常では制御できない量の魔力を体に抑え込む。
現在、俺の魔力は眷属全員の魔力量を足そうと超えられない数値を叩きだしている。
それを少しずつ圧縮して精練し、再び還元して……魔力1が秘めた密度のようなものをより高いモノへ昇華させていく。
「……準備完了。あとはこれを……げふっ」
「ぬ、主様!?」
「……扉まで、運んでくれ」
「や、やりすぎじゃぞ主様。その量、暴発すればこの迷宮が崩壊してしまうではないか」
数値でしか魔力を判断していない……いやできない今の俺ではよく分からないが、ソウは溜まった魔力を警戒しているようだ。
だが、今はそれすらも使いこなして振るう必要があった……たぶん迷宮に魔力でポイントを供給するには、還元率を考慮したうえで注がなければならないし。
「主様、ほれ……扉じゃ」
「ありがとうな、ソウ。そうだった、どうせなら、最初から近くでやれば、よかったな。ソウは下がって、くれ──魔力全部、注ぐ、から……」
「う、うむ……健闘を祈る」
ソウの声援を受け、やる気になる。
一途な心や思われし者などのスキルの効果も働き、最大限の効率で魔力を籠めていく。
「い、くぞ──“万物献上”」
最大限の効率を以って、エネルギーの譲渡が行える【謙譲】の能力。
触れた扉に精製された俺が持つエネルギーのすべてを、丁寧かつ一気に注いでいく。
「う、うぉおおおおおおおおお!」
ゆっくりと籠めるのがよかったのかもしれないが、一度解き放った瞬間悟った……やばい、制御できないなこれ、と。
「ぬ、主様……本当に大丈夫じゃろうか?」
「…………テヘッ♪」
「ぬ、主様!?」
ソウのなかなかないリアクションにほっこりしながらも、体の中で暴れるエネルギーの流れを<千思万考>を以って、正しく掌から放出していく。
「時間を掛ければ掛けるほど、だんだん抜けると思ったのだが……考えたよりも、減っている量が少ないな。ヤバい、お前らが弄ったから効率が良すぎるんじゃないか?」
「主様よ、それは儂らのせいではないぞ。主様が、主様ゆえに強いのじゃ」
「……そうかな? まあいいや、魔力はともかくだんだん思考はくっきりはっきり、しかも会話もできるようになってきた。遅いが量もちゃんと減っているからだな。言っておくと、まだまだ注ぐ必要があるみたいだ」
「これだけの量を注いでも、この迷宮は満たされぬというのか……。いったい、どれだけの規模なんじゃろうか?」
さすがは神が築いた迷宮だな。
DPって、いちおう最大量が設定されているらしい……迷宮ごとに違いはあるが、この迷宮にも限界があるはずだ。
「速度を上げよっか……そいやっ!」
なぜだか分からないが、速度を上げた途端魔力が火花を起こし光が迸る。
それでも効率そのものは変わらないし、扉から魔力が漏れだしているわけでもないからそのまま少しずつ籠める量を増やしていく。
「イケる、イケるぞ……もっと速度を上げれば俺の限界も超えられる気がする!」
「主様、目の色が……」
「まあ、これだけハイになっているってことは、何かしらが『侵』ぐらいにはなっているのかもな! よっしゃあ、ラストスパートだ持ってけ泥棒!」
「これは……」
俺自身の想いにリンクして、さらに籠められる魔力の量と速度が増加する。
制御は体が勝手にやってくれるので、俺は籠めたいと意志を強く持つだけでいい。
そして、扉が光を放ち始める。
制限時間はまだあるはずだが……あと少しということかな?
ほとんど名前の響きだけですね
ルビとかもあればもっと良かったかもしれません
いずれ、スキルの説明をやるのも面白いかもしれません
p.s.
『01-01』王道・邪道、誰一人来ない……すみません、話が詰まりますのでお願いしています
誰のことか分かっていてもいなくても、正直意味が分からないということでもお願いします
ただ一つ言えるのは──どちらであろうと山田武クオリティでの分岐です(笑)
 





