偽善者と自己紹介 その35
夢現空間 居間
澱んだ穢れに関する解析は順調だ。
今では精神に働きかける性質を、どのような使い方であれば俺たちのためになるかということで悩んでいるらしい。
しかし、符に封じた『輪魂穢廻』に関してはまだまだ扱えないようだ。
採取した穢れと人形が宿す穢れでは、その秘めた悪徳の濃度が桁違いなんだとか。
天使は悪魔に、霊体は邪霊に、英霊は……これは言わない方がよさそうだ、
とにもかくにもマイナス方向へ存在を傾ける穢れは、現在も浄化方法を調査中である。
「──らしいんだよな。細かいことを説明されてもさっぱりなんだが、要するに危険物は未だに危険なままってことか?」
「そういうことだね。けど、あんまり気にしなくてもいいと思うよ。スーねぇの結界なんだから、触れても影響が無いように設定できるみたいだし」
「……けどさぁ、天使の眷属も多いから心配なんだよ。いかにも聖性のありそうな種族だしな、悪影響が出なきゃいいんだけど」
「メルスだってもともとは天使が種族だったのに、おかしなことを言うね」
今では[不明]というそれこそどんな種族にでもなれるチート種族ではあるが、一日限りで天使としてプレイしていた。
けど、それもすぐに天魔になったのであまり実感は無い……短期間だったからこそ、業値もゼロで進化できたんだろうな。
「ではでは、そろそろ始めましょうか……第三十五回クエッションターイム! 本日のゲストはこのお方──【純潔】の武具っ娘にして熾天使である……クーさんです!」
「久しぶりの武具っ娘だねー」
「……一気に終焉の島に居た方々をやりたいという、理由も無い事情によるものです。決して、忘れていたとかそういうことではありませんからね」
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「問01:あなたの名前は?」
「クーだよ。……そういえばさ、いっつもこの部分って一言言って終わりだよね。何か変化とかないの?」
「と言われてもな。あだ名を言おうにも、それはあとの質問でやるから特に言うことがないってのが実情だ。逆に訊くけど、何か言うべきことってあるのか?」
「うーん…………処『ピー』です!」
「問02:性別、出身地、生年月日は?」
「性別は女性で、出身地は終焉の島、生年月日は分からないね」
「問03:自分の身体特徴を描写してください」
「熾天使だから三対の羽、あとは白髪で金と赤のオッドアイかな……なんかさ、<大罪>系の武具っ娘より厨二臭くない? やっぱり、ウィッキー頼りだから?」
「……悪魔と違って、天使ってちゃんと人型だからな」
「問04:あなたの職業は?」
「【聖約王】、制約と誓約を設けてそれを達成したら強くなれる職業だね……ねえ、これはあのハンタ──」
「……この話は止めよう、なっ?」
「問05:自分の性格をできるだけ客観的に描写してください」
「うーん……悪戯好きで、正直者で嘘吐きかな? ベースがアレだからね」
「問06:あなたの趣味、特技は?」
「ゲームが一番だけど、【純潔】の天使として不純異性行為を取り締まるための悪戯も好きだよ」
「……不純異性行為?」
「メルスのやっていることは、ギリギリセウト……ぐらいだからね」
「問07:座右の銘は?」
「純潔たれ──どうせなら、ずっとそのままでいてくれる方が嬉しいんだけどな」
「問08:自分の長所・短所は?」
「長所はゲームが上手くて頭が回ること、短所はそれ以外はあんまり得意じゃないことかな? だから自分の得意なジャンルに引きずり込まないと、あんまり勝率低いし」
「問09:好き・嫌いなもの/ことは?」
「好きなものはゲーム、嫌いなものは……何かを破ることかな?」
「…………ダブルミーニングだな」
「問10:ストレスの解消法は?」
「ゲームをやること」
「問11:尊敬している人は?」
「世界中のゲーマーだね。誰かを楽しませたり、頂きを目指したり……みんなそれぞれ凄いところがある。だから尊敬できる……もちろんメルスが一番だけど」
「問12:何かこだわりがあるもの/ことがあるならどうぞ」
「……ゲームはやっぱり、一位を目指さないとダメだね。そうなるまで何度も練習を繰り返すし、何回だって挑戦するよ」
「問13:この世で一番大切なものは?」
「誓った約束を貫くこと」
「問14:あなたの信念は?」
「さっきと同じ。約束したなら、どんなことでも必ずやり遂げること」
「問15:癖があったら教えてください」
「うーん、ついからかうことが多いかな?」
「問16:ボケですか? ツッコミですか?」
「わざとボケることが多いよ」
「問17:一番嬉しかったことは?」
「受肉して、自分の手でゲームができるようになったことだね」
「問18:一番困ったことは?」
「メルスが破るか破らないか、かなり危ういことだね……気を付けてよ」
「……あっ、はい」
「問19:お酒、飲めますか? また、もし好きなお酒の銘柄があればそれもどうぞ」
「お酒は二十歳になってから……だしね。特別なことでもない限り、普段は飲まないよ」
「問20:自分を動物に例えると?」
「狼かな。狼って、一度に愛する相手は一匹だけなんだよ」
「問21:あだ名、もしくは『陰で自分はこう呼ばれてるらしい』というのがあればどうぞ」
「特に無いよ。まあ、眷属以外ならゲーマーとして知られているけどね」
「問22:自分の中で反省しなければならない行動があればどうぞ」
「無いね……むしろ、メルスにセウトになるような行動を反省してもらいたいよ」
「問23:あなたの野望、もしくは夢について一言」
「みんながゲームをできる知識を持って、そのうえで最強のゲーマーになることかな?」
「問24:自分の人生、どう思いますか?」
「そりゃあメルスのためのものだけど、まあゲーム普及にでも努めるよ」
「問25:戻ってやり直したい過去があればどうぞ」
「戻すほど生きてないし……特に無いね」
「問26:あと一週間で世界が無くなるとしたらどうしますか?」
「ゲームをずっとやってるかな?」
「問27:何か悩み事はありますか?」
「メルスにポーカーフェイスを教えても、全然上手くならないことだね。ねぇ、どうして全然上達しないの?」
「……こっちが知りたいんですけど?」
「問28:死にたいと思ったことはありますか?」
「無いよ」
「問29:生まれ変わるなら何に(どんな人に)なりたい?」
「ユニコーンになってみたいかな?」
「これ、さっき選ぶ奴だと思うけど」
「ユニコーンの生態なんて分からないのに、言えるわけないじゃないか」
「問30:理想の死に方があればどうぞ」
「誰かとの約束を守って……みたいな感じが燃えるよね」
「問31:何でもいいし誰にでもいいので、何か言いたいことがあればどうぞ」
「世界中のゲーマーのみんなー! クーはいつでも挑戦を受け付けているからねー!」
「問32:最後に何か一言」
「クーに勝てるような人なら……うん、認めてもいいかもね」
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「はい、カットー! ……なあクー、いったい何を認めるんだ?」
「何をって……ナニを?」
「…………ハァ、【純潔】ってさっき言ったばかりだよな」
「それじゃあ聖人なんて子孫が残せないじゃないか。ちゃんと節度を守って、ヤっているなら別に何も問題なんて無いよ」
そう言われても、弁えるモノもないし……今のままじゃ求められるモノに応えることしかできていない。
これも改善点の一つなんだろうか……こればかりは、どうしても分からないモノだ。
さぁさぁ、最後の試練を始めよう
赤き民たちが挑むは、燃え盛る焔の門
そこで待ち、立ち塞がり、先にあるものはいったい──『赤色の解放戦』篇開幕です!
p.s.
大学が始まってから、寝落ちすることが減ってきました
……日常のサイクルって、大切なんですね





