04-18 撲滅イベント前哨戦 その10
加筆・修正しました(2020/04/07)
俺が使ったのは『天魔創糸』という、完全オリジナルの糸を用いた一撃必殺だ。
予め仕込んでおいた糸が、彼らの首を掻っ切ったというシンプルなやり方である。
魔力も精気力も注ぎやすい、ゆえに双方の力を籠めて一気に首を落とせた。
もともと創るとき、神気まで織り交ぜた神器級の代物だしな。
その結果、フェニに渡した指輪のように神の加護を授かっていた。
……祝福ではないのは、あくまで自分のために創ったからかな?
お蔭さまで射程は無限、一度付着させたらかなりの力を籠めないと俺以外には解除できない……なんてチートグッズになったが。
それ以上の欲張りはいけないアルよ。
閑話休題
「──完敗だ。結局俺たちは、お前に掠り傷の一つも与えられなかった」
挨拶に向かうと、彼らは全員やや落ち込んだムードに染まっていた。
欲張っていたし、結局一番の目玉だった品は手に入らなかったからだろうか?
アイテムは提供するし、魔法も……まあ、グーとレンがほぼ確定させている習得方法を教えてあげるのもいいかもしれない。
それに、一回戦の最中に耳にしたことがあるんだが……どうやら、なんとなく俺が誰なのか察しが付いているみたいなんだよな。
──おっと、ナックルが見ている。
「とにかくだ。負けは負け、クランから引き抜きをしたいなら好きに──」
「いや、要らないです。そもそも、最初から引き抜く気なんてさらさら無かったからな」
「はあ? じゃあ、なんで戦ったんだ?」
「……俺が、『模倣者』だからだな」
静寂が場を支配する。
このことを知っていたのはユウだけ、あとアルカがなんとなく怪しんでいたな。
彼女の固有スキルである【思考詠唱】を多用していたので、すでに核心に至っていたのかこの後の反応にはついてこなかった。
驚愕と動揺、それらが彼らの中で渦巻いているのが表情から見て取れた。
いちおうだが、『模倣者』って有名らしくパチモンが出たこともあるみたいだし。
「偽物……じゃ、ないんだろうな。むしろ、偽物がこれだけ強いなら、本物がどんだけ強いか分かんなくなる」
「はっ、嬉しいことを言ってくれるな。そうだ、俺が本物だ。嘘偽りはこの態度だけ、ちなみにクランはリーダー志望だ」
「本当に何をしに来たんだか……よければこのクランのトップの座が空いているが?」
「要らん。そこの俺を絶対殺すガールまで付いてくるだろう? 自分でクランを作って、そこで目指せハーレムライフだ」
軽いボケをかましたつもりだが、あまりよい評価はもらえないようで……ドン引きする女性陣、そして一部の男性陣。
「一部の奴らは分かってくれるようだな。理解してもらいたいわけじゃない、あと現実では弁えているからそういうスタンスだって考えればいいさ。リーダーも、認めてくれているみたいだからな」
「……おい、やめろ。俺は妻帯者なんだ、もしそんな誤報が漏れたらどうしてくれる!」
「知らん知らん。それよりもだ、何か忘れていないか? ──報酬とか、な?」
ドン引きから一転、反応を示すこの場に居る者たち。
彼らは俺とのゲームに半分だけ勝ち、その報酬を得る権利がある。
それは高品質の武具の数々。
すべて俺のお手製という問題はあるが……まあ、隠してあるのでバレないだろう。
「ユウたちもご苦労様……あれ、二人はドン引きしてないんだな?」
「ふんっ! 最初からドン引きしているんだから、今さら関係ないわよ!」
「あはは、僕はアルカから話を聞いていたから。それに、師匠がどんな人かは実力には関係ないもんね」
「……人をさらっと人格者じゃないって言いやがったな。まあ、さっき言ったとおりだからやっぱりクランの件は無しで。少なくとも俺には、弟子ポジションとか仇敵と書いてライバルキャラと読む奴は必要としていない」
もちろん、この台詞に反応するツインテールが一人いたが、そこは隣の僕っ娘が押さえてくれていた。
「ああそうだ、リーダーさん」
「ナックルで構わないぞ」
「なら、そうしよう。ナックル、俺と取引をしてくれないか?」
「取引だと?」
そう、取引である。
ここまで見せたのだ、少しぐらい提示したことになるだろう。
「クランには入らない……が、食客扱いしてほしいんだよ」
「そりゃあ構わないが……なんでだ?」
「さっきのはあくまで理想だからな。ちょうどいい縁もできたし、仮初でいいから置いておいてくれ……何かするつもりはないけど」
無知のままクランを……というわけにもいかなくなったので、[ヘルプ]機能を参考に情報を集めておいた。
クランに入るだけであやかれる恩恵、なんとなくそれを欲したわけだ。
クランでしか受けられない依頼、確認されることの無くなる身分。
……まあ、主に後者なのだが、眷属二人の勧誘も未だに進んでいないようなので、自分の盾となる存在を用意しておきたかった。
「なあ……やっぱり、トップとして君臨してくれないか?」
「普通譲るか? 正直に言うが、だんだんバカに見えてきた」
「そう言わないでくれ。俺だって……俺だってな、好きでやってるんじゃない。こんな話も──リーダーも!」
「ええ……急にそんなことを言われてもな」
話を聞く必要もなく、周りの奴らが説明してくれた。
要するに、某『風』のリーダー決めみたいなやりかたをしたみたいだ。
で、うんざりしたみたいでこちらに押し付けてきたと──もちろん、断りました!
縦読みの方やルビが読めなかった方は、『風』の上に山を載せた漢字をイメージしてください
当時の作者(最新話としてこの話を投稿していた頃)は知りませんでした
自分の喜んでいることは、無意味だったと
日別ランキングが5〇位に入っても、足跡を残すことなくすぐに下落していくことを





