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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と還る理 十七月目

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偽善者と緻密魔法陣 後篇



「……あれ、どうしたの?」



 アンデッドの魂魄──そして塵を集めたのち、少女たちと合流したのだが……何やら視線が冷たいものとなっていた。

 まあ、一部はいつも通り蔑みの視線なんだけど、そこは気にしないでおく。



「メル、なんですかアレ」


「どれ、のことか分からないよ。答えっぽい候補を挙げるなら──超絶複雑な魔法陣、最上級属性魔法、禁書級魔法のどれかかな?」


「禁書級~? 本当、異常だね~」



 禁書魔法は要するに、禁書級と呼ばれる魔法を一つのジャンルとして纏めたものだ。

 禁書としてこの世界にまだ残っている、危険だが使いようがある魔法たちである。


 ……ついでに言っておけば、その上位互換とも呼べる禁忌魔法はこの世界にいっさいの術式に関する情報が残っていない。

 世界(システム)が一度発動した魔法の術式を保存し、禁忌魔法として登録しているのだ。



「あははっ、プーチにも魔法陣を今度教えてあげようか? 作れるようになれば、みんながその術式を使えるようになるし……転移魔法を常備しておくのも大切だよね?」


「……考えとく~」


「うん、そうしてね!」



 嫌っている相手であろうと、ちゃんと向き合うことができているのだ。

 それだけこのパーティーを大切にしているということで……うん、()きかな()きかな。



「ところでますたー、さっきの中でどれが正解だったのかな?」


「いえ、全部訊きたかったのでもう少し情報の開示を要求します」


「……と、言われてもなー。そこまで上手く説明できないよ?」



 眷属から教わった通りの説明しかできないので、話を聞き終えた少女たちもやはり首を傾げていた。

 なぜなら、完全版の話は俺も記憶しているだけで理解はしていないからな。



「──要するに、その場に対応した魔法をカスタマイズして魔法陣として投影しているんだよ。相手が複数なら、対個人用の魔法を複数発射できるようにしたり……とかね」



 実際に二枚の魔法陣を掌に浮かべ、そこから三つの魔力で出来た球を生みだす。

 片方はただ無属性の魔力を弾にする、という術式だが……もう片方は、無属性・球状・掌の座標に合わせて浮遊などの術式が組み込まれているぞ。



「魔法陣だから、手に直接刻む……のは女の子には酷な話だったね。その上に手袋でも付けて魔法陣を刻んでおけば、すぐに回復魔法が使えるようになるし」


「でもメル、魔法陣には回数制限があるじゃないですか」


「転移の魔法陣が世界のあちこちにバラ撒かれて、それが残っているのはなんで? 技術さえちゃんとあれば、恒久的に使える魔法陣だって作れるよ」


「そういえば、魔法陣も生産でしたね」



 少女たちの共通見解において──俺が行う生産は何でも異常な品質、と決まっているんだとか。

 まあ、料理やアイテムをさんざん振る舞っているからしょうがないけど。



「それにしても……レベル四、全滅だね。もう少し手加減すればよかったかな?」


「時間が経てばまた元に戻っていますよ……仕組みは不思議ですけど」


「ゲームなら再湧き(リポップ)、の一言で纏められるけど……本当、なんでかしら?」


「まあまあ、細かいことはそういうことを調べている人たちに任せようよ」



 シガンの疑問にコパンがそう答え、少女たちは何やら準備を始める。

 すでに魔核などの回収は終わっている、なのでやることはないはずなのだが……。



「では、メル──次に行きますよ」


「……本気?」


「本気も本気、頼もしい助っ人が私たちにはいるじゃない」


「……勇気と蛮勇は違うよ」



 えっ、俺のはどっちでもないさ。

 俺にとって偽善とははるか上位に存在する価値観なんだからさ。



「それでも、やりたいと思ったときにやらないと……それが冒険者です」


「いろいろとツッコみたいけど……私はますたーの従順な僕だからね。最低限、ますたーたちに貢献できるように頑張るよ」


「メルが居れば、百人力……というより、メルが居ればほとんどのことはどうにかなります。わたしたちの護衛、お願いしますね」


「はーい」



 まあ、それぐらいならどうにかなる……のかな?

 ああでも、先に言っておいた方がいいかもしれないことがあった。



「ますたー。もしますたーたちが死んじゃうと思ったら、こっちで強制転移させるから。死に戻りできるって認識自体、本当はしない方がいいんだから」


「そうなんですか? それは、もちろんしない方がいいと思いますけど」


「私が会ったことのある人に、現実でも苦痛が残る魔剣を持っている人が居たんだよ。だから、この世界でも何も影響が無いなんてことはない……シガンなら、分かるよね?」


「…………そうね、お願いしましょう」



 固有(ユニーク)スキルによる『侵蝕』を経験しているシガンだけが、それを自覚している。

 少しずつ自分が変えられていき、それに自分自身なんの違和感も持たない感覚。


 それに気づいた時、彼女は何を思ったか。

 少なくともその状態にあるときならば、違和感などまったく感じなかっただろう。



「と、いうわけでますたーたちが危ないと感じたら、たとえHPが満タンだったとしても強制的にギルドハウスに帰ってもらうから。レベル五は中に入らないと私でも把握できない場所だから、念には念を入れるよ」



 だがまあ実際、そう長くは居られないだろうな……俺がメルのままできるサポートなんて、たかが知れているからな。




そして次回より、レベル5の層へ……

そこで待ち構えるものとはいかに!?


p.s.

修正話──更新しました

ついに明かされる【怠惰】の能力……手ではありませんよ

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