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【更新不定期化】AllFreeOnline~才能は凡人な最強プレイヤーが、VRMMOで偽善者を自称します~  作者: 山田 武
偽善者と三つの旅路 十五月目

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偽善者と魔剣道中 その19



 幾百の時を紡いできた。

 何十、何百もの使い手が現れた。


 しかし、自身を振るいに値する担い手が、ソレに現れることはない。


(ダメだ、ダメだダメだダメだ……!)


 担い手であった『あの者』と同じ道を志すこと、それが必要な条件だった。

 膨大な魔力も優れた剣術も、懲罰に長けることも必要としない──ただそれを目指す、ソレは新たな担い手を探していた。


(またハズレか……)


 自身を握った次なる所有者は、過剰に膨れた我欲に溺れた男だった。

 己の力も制御できず、精神を根深く侵蝕されている……そんな男だ。


 だが彼は、最後に良い働きをした──新たな使い手を見出してくれたのである。

 故にその者と契約した、ある程度行っていることに協力した──偽善に力を貸した。


(そして、それは間違いではなかった!)


 彼──メルスは約束を果たした。

 決して人を殺めず、魔物ですら温情の余地があれば見逃す寛大さ。


 それは『あの者』と同じ、生き様だった。

 偽善を謳おうが構わない、ソレにとって目指すべきは過程ではなく結果である。


(この者であれば……いずれ、担い手の過去すらも暴いてくれよう)


 ソレ──黒鍵魔剣は求める。

 自身を生みだし、ある目的と根源を遺して逝った担い手のすべてを知ることを。


 すべてを暴く力を持った魔剣は、ただ一つだけ──生みの親を知りたいだけだった。


  □   ◆   □   ◆   □


 夢現空間 居間


「──とまあ、そんなことがあったんだよ」


「ふーん、メルスも大変だったんだねー」


「魔剣で斬って叩くだけで気絶するから、敵自体はどうとでもなるんだけどさ。やっぱりこう、少しやりすぎた気がしてさ」


「それはいつも通りだと思うけど……うっ、またババなの?」



 今回あったことを、アリィとババ抜きをしながら話してみた。

 どうせ二人でやっていることなので、いちいち顔を取り繕う(ポーカーフェイスの)必要もない。


 ただ暇潰しとして、おコタで温まりながらゲームをしているだけだ。



「けどさ、その魔剣を使う必要あったの?」


「ん? どういうことだ、アリィ?」


「神剣あるよね?」


「……いや、偽善者としての使命だよ」



 あらゆる武具を模倣できる『模宝玉(ギー)』。

 だがその欠点は、その武具が持つ意思までコピーすることはできないということだ。

 また、意思を持つ武具は真似できないということで……つまりは偽善対象である。


 なので救った。

 契約者の居ない魔剣(■■■■)の契約者となり、かつての担い手について情報を集める。

 これは最初に言われたことであり、また再び頼まれたアイツとの契約だ。



「ただまあ、大変そうではあるがな」


「どんなところが? ……ババを引いてよ」


「そもそも大陸を渡ったかどうか、それが微妙らしいからな。もしかしたら、別大陸の生まれなのかもしれなくてさ……それって、いつになったら情報の欠片を掴めるんだよ」


「そうなんだ……ねぇ、早く引いてよ」



 ため息を吐いてアリィの出すカードを引き抜く──もちろんジョーカー(ババ)は出ない。

 クーなしでも、ある程度カードゲームのテクニックを磨いた今なら戦えるのだ。



「まあ、幸いにして長い時間がある。あと、別大陸派遣組に新情報として流してある。運が良ければ、見つかるんじゃないか?」


「運がよければ、ねぇ……」


「あっ」


「その台詞(セリフ)は勝負師にとって禁句(NG)よ」



 せっかくあと一回引けば勝利、という場面でアリィの別人格たるアリスが現れる。

 巧みに札を操り、二分の一という確率の中俺にジョーカーを押しつけてきた。



「だから運に頼らず、派遣して探しているんでしょう? それに、もしかしたらの可能性まで考えて──」


「そんなつもりはないんだけどな」


「つもりはなくても、実際にそうなっているわ。もちろん、勝手に深読みしている眷属の仕業だけれどね」



 無知で無智で無恥な俺の代わりに、眷属たちはさまざまなことをやってくれている。

 そう、例えるならダメな社長を支える経営陣のように……うわっ、容易に思い浮かぶ。



「アリス的に、その魔剣の持ち主って嫌な予感しかしないわよ。うん、アリィも訊いててなんとなく思った。絶対悪人の家だよね」


「それっぽいけどな」



 ジョーカーを押しつけ合いながら、魔剣の初代担い手の実家について話し合う。


 ヒントが少なく、もっともそれっぽいのは寒い場所ということ。

 いちおう、大陸の中には極寒の地もあったとアマルから報告を受けたが……寒い場所ならたいていの地に一つは存在するだろう。


 あとはそれ以上に本質を表す──尋問の能力を持つ魔剣を生みだせた環境だ。

 表側の存在が、そう易々とそんな力を持つ魔剣を創りだせるとは思わない。



「間違いなく、裏側の奴らの生まれだな。だが一口にそうと言っても、幅が広すぎてどうしようもないのが現状なんだよ」


「ふーん、まあ見つかるわよ。──それはそうと、ババ抜きはアリスの勝ちね」


「……ハァ、負けました」


「やったぁ! 約束通り、アリィは美味しいケーキがプレゼントされるぅ!」



 アリィとアリスのチェンジに文句を付けることは無い。

 大人しく“空間収納(ボックス)”からケーキを一切れ出して、アリィに差しだす。



「ちゃんとアリスと分けろよ」


「はーい。ふふっ、感謝するわ。たまに分けてくれないもの」


「ヲイ……」


「だって、美味しいんだもん」



 結局、アリィはちゃんとアリスにも食べさせていた……本当に少しだけだったけどな。




これで三つめの道中は終了です

自己紹介を挟み……どうしようかな、といった感じです


p.s.

カクヨム云々の話をしましたが……コンテストって、一つしか登録できないんですね

なんだか「なろう」でネット小説大賞と別のナニカが被った時を彷彿させます

……落ちた作品は、さっさと解放してほしいです

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