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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

肝試し

作者: 文章作成部

その廃病院には幽霊が住んでいると言われている。

使われなくなって五十年。

過疎化の影響でつぶれてしまったのだ。

私達は高校の友人二人とこの病院に肝試しに来ていた。

ネットでは、いつの間にか一人増えているとか出口が分からなくなったとか言われているが、残念ながら私はオカルトを信じてはいない。

今回私がこの肝試しに参加したのは、幽霊なんて存在しないと証明するためだ。

私が待ち合わせ場所の病院跡地に着くと、他の二人はとっくに来ていた。

時間通り十時に到着したとは言っても二人を待たせたことに変わりないので私は一応謝っておいた。

二人は笑って許してくれたが、代わりに先頭を歩くように言われてしまった。

幽霊を信じていないからと言っても、決して怖くないと言うわけではない。

私だって暗いのは怖いし、ましてやこんな不気味なところを先頭で歩くなんて御免だった。

けれどそんなことで言い合いになるのが嫌だった私は渋々その要求を承諾した。

二時間後。

ある程度院内を回ったけれど、それらしい事象が怒ることは結局なかった。

話し合いの結果、今日はもう解散することになった。

二人と一緒に病院を出て、そこで私たちは分かれた。

背後から友人二人の叫び声のようなものが聞こえたので振り返ると、二人とも私に手を振っていた。

私も一緒に振り返す。

結局さっきはなにを叫んでいたのかは聞き取れなかったけれど、多分私のことを呼んだのだろう。

家に帰って数時間が経った頃だった。

家の電話が鳴りだした。

いつものように母親が電話を取ると、しばらくして私に受話器を渡して来た。

相手は一緒に肝試しに行った友人の親だった。

どうやら友人が未だに家に帰っていないらしい。

私は既に解散していることだけを伝えて電話を切った。

するとまた電話が鳴った。

今度はもう一人の方の友人の親だった。

私はさっきと同じ説明をして自室に戻った。

翌朝学校に行くと、友人二人が学校に来なかった。

そして朝のホームルームで伝えられた事実に私は戦慄した。

二人は昨日の夜暴漢に襲われて亡くなっていたらしい。

それだけならきっと私はショックを受けただけだっただろう。

けれど問題はその死亡推定時刻だった。

午後九時四十分。

集合の時間よりもニ十分も早い時間だった。

きっとあれは二人の霊がお別れのあいさつに手を振ったのだろう。

私は少しだけど幽霊の存在を信じてみようと思ったのだ。












ふと窓の外を見てみると、そこには友人二人の首がぶら下がっていた。

『ナンデ、オマエダケ、イキテイル』

二人の唇はそう動いていた。

そしてもう一度、昨夜聞いた叫び声を思い出す。

『アシタムカエニイクカラ』

うん、きっと気のせいだ。

だって________幽霊なんて存在しないのだから………。

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