第8話 第1回定例会議
統一暦二八六四年七月一四日
まだ時刻は昼だ。
現在、俺と側近貴族は第一回目の定例会を行うために行政府の第二会議室に集まっていた。
「さて、皆忙しい中集まってくれてありがとう。これより、第一回定例会を開始する。ではオルド、商会について報告を。」
俺は開会の挨拶をすると直ぐにオルドに話を振った。
「はっ。報告いたします。私は七月八日、商会の設立を行い、倉庫付きの商会本部と為る物件を私の私費にて購入。その後、改修工事の依頼と傭兵向けに護衛隊の募集の呼び掛けを使用人に任せました。その間、私はロセア帝国向きに商隊を出す大きめの商会を回り、金属の売買契約を昨日まで行っておりました。それと、本部の改修は昨日終了いたしました。」
流石は次期公爵。優秀だ。
「それで、どれほど契約が結べたのだ?」
ここが重要だ。契約数が少ないとそれだけ計画に遅延が発生してしまう。
「はっ。今回契約を持ち掛けたのが五十六の商会で、全ての商会が契約を結びました。」
え?全て?
「なぁオルド、本当に全ての商会が契約を結んだのか?」
「はっ。やはり商会長が貴族、しかも次期大公と言う所に多大な安心感が有ったのでしょう。」
「そうか……分かった。それで?取引量はどれ位だ?」
「はっ。どの商会も帝国からの過剰な要求が有ったのでしょう。各商会でも可能ならば月に一トンほどの鉄を融通して欲しいそうです。そうであれば相場より少し高くても喜んで買うそうです。」
帝国では我が国の商人が流通に困るほどそんなに鉄が不足しているのか。
「分かった。では全商会に鉄を一トンずつ、計五十六トンの鉄を用意する。オルド、取引は明日からか?」
「はっ。明日、今回契約する商会の商会長がヴィルヴァリア商会の本部に集まる事になっております。」
そこまでしていたのか。もう彼が商会長で良いんじゃないだろうか?……いや、こんな事を言ったらきっと怒られるんだろうな。
「了解した。ではこれから商会本部の視察に行くか。」
ということで、現在俺達はヴィルヴァリア商会本部へと来ている。
本部の内装は綺麗に整っており調度品もしっかりとしている。何だか宝石店の様な煌びやかさだ。
「素晴らしい出来だな。」
「ヴァミリア様の為、改修は一流鍛冶職人達に任せました。」
……随分と金を掛けたな。
「私費でか?」
「もちろんです。」
俺の質問にさも当然のように答える。
「儲けが出たらきちんと補填するからな。」
「いえ!そんな事として頂かなくても……」
そういうオルドに「いいから。」と言い黙らせる。
「本部について何か問題点はあるか?」
俺の問いに側近貴族達は問題ないと言う。
「そうか。明日は俺も出席するからな。オルド、よろしく頼むぞ。」
「はっ。お任せください。」
これで俺達は視察を終了し解散した。
序盤は内政面の人物の出番が多くなってしまいますね。もっと多くのキャラを絡ませないと。