第7話 商会設立
ついさっき1話の主人公の名前が間違っている事に気が付きました。ああ、恥ずかしい。
統一暦二八六四年七月八日
私、オルド・フォン・ビルマルクは現在、商会設立の手続きの為に行政府へと向かっていた。
私は昨日の、ヴァミリア様のお披露目パーティーの後に説明された計画の事が忘れられないでいた。最初に計画を話すと言われた時は、失礼ながら子供の戯言かと考えていた自分が恥ずかしくなるほどあの方はこの国を、そして世界を見ていらっしゃる。あの御年で神の御業かと思う様な魔法を使い、広い目を持って大公国と世界の未来を予想する素晴らしい頭脳で、あの堅物で有名なハイリヒ家の次期当主を既に引き入れてしまっている。その様なお方に仕えられて光栄だと思う反面、末恐ろしくも思えてくる。
……考え事をしていたらもう行政府に着いてしまったな。
「さて、商業省庁舎は、確か……あちらだったな。」
この行政府はあまり広くない為、殆ど迷う事無く商業省庁舎にたどり着いた。
私は迷わず窓口の受付要員の女性に話し掛ける。
「商会を設立したいのだが、宜しいかね?」
「はい。少々お待ちください。担当者を呼んでまいります。」
尋ねると彼女は業務的な対応をして席を外した。
数分で彼女は担当者を連れて戻ってきた。
「おや、オルド時期公爵殿ではありませんか。私、商会管理長のヒンス・フォン・ベースター男爵です。商会の設立と聞きましたが、間違いございませんか?」
「ああ、間違いない。」
「では、こちらへ。」
ベースター男爵はそう言うと奥へと案内する。
着いたのは小さな個室だった。
私が席に着くとベースター男爵は私の対面に座る。
ベースター男爵はまず世間話から始める。
「さて、商会の設立との事ですが、何か事業でも始められるので?」
「ああ、まぁ、私個人ではなく私の主が事業を起こそうとしていてね。」
「主?ああ、オルド様は昨日次期大公ヴァミリア様の側近貴族と為られていましたね。成程。では商会の最高責任者、商会長はヴァミリア様と言う事で宜しいでしょうか?」
「ああ、構わない。」
この商会はヴァミリア様が設立を計画したのだ。当然だな。
「分かりました。それから、商会の名称は既にお決まりで?」
「既にヴァミリア様より聞いている。ヴィルヴァリア商会だ。」
「ヴィルヴァリア商会、成程。大公家の次期当主様に相応しい商会名ですな。分かりました。これで設立を認可いたします。」
随分と早いな。
「これだけなのか?」
「ええ、こちらとしては商会の管理の為に商会名と責任者が分かって居れば問題ありませんので。」
「そうか。世話に為ったな。」
「いえ、そんな事は。あ、商会の許可証は本日中にヴァミリア様にお届けいたします。」
「了解した。」
私はそう言って行政府を後にした。
「よし、後は商会本部と為る物件を探さなければ。」
今日は忙しいな。しかも、まだ他に護衛隊として雇う人員の募集もしなければいけない。
ああ、忙しいがそれ以上にあの計画は私に素晴らしい刺激を与えてくださった。
是が非でも成功させなければ。
俺、ヴァミリア・フォン・ローゼンベルクはつい先ほどまで地獄を見ていた。
次期大公はお披露目が終わった翌日より母が教師と為り次期大公としての勉強が始まるのだが、まぁ最初なだけあってとても簡単な小学生レベルの数学や魔法の基礎についての勉強をしていたが俺があまりにも簡単に覚えてしまうので母が調子に乗り出し、最終的にこの世界で必要な数学の分を全て、休憩も与えられないまま六時間も勉強をさせられようやく終わった所だ。
まぁ、そんな事は先程届いた商会の許可証を見て吹き飛んだが。
この許可証が俺の、ぶっちゃけ趣味に限りなく近い大公国の為に為る計画の始まりなのだから。
さて、この許可証は昨日ついでに説明した週の初めに行う定例会まで大切に保管しておこう。
さぁ、来週の報告でオルドは上手くやってくれているかな?
ああ、楽しみだ。
これから少しずつ1話毎の文章量を増やして行こうと頑張ります。