第6話 資金調達について
もう一つのやらなければいけない事とは、ズバリ資金調達だ。
俺の計画の銃の製造は非常に資金がかかる。材料費が掛からないとは言え、鍛冶師への給与は当然発生する。更に製造する工場の用意や工具を揃えたりと。そして、この資金は本来国家予算を宛がう物だが俺はまだ次期大公でしか無く、今はまだ幼児と言ってもいい年齢だ。この世界では『まだ訳の分からない物』に予算が出る筈もない。
だが、俺は解決策を見つけた。
国家予算は出ない、ならば自分で稼げばいいのだと。
俺の能力は資源を大量に作る事が出来る為、これを売り捌けば殆ど何もせずに資金を生み出す事が出来る。そこで銃を製造する少し前に商会を設立し、金属などの貴重な物資を少し安くしてでも大量に売るのだ。
今はお隣のロセア帝国が戦時中なのだ。上手くいけば国家単位での取引としてたんまり売れるだろう。
更に、この商会の設立にはもう一つの目的が有る。
それはこの商会の護衛隊を組織する事だ。
護衛隊とはこの世界中の大、中規模商会が所有している商会保有の警備兵部隊の事で、主に商隊の護衛をする為の部隊だ。この護衛隊は多少大きい商会であればどこでも持って居て、他は伝手のある貴族から私兵を借りる事が出来る小さな商会だけだ。
俺はこの護衛隊に製造が終わった銃を配備して戦闘ノウハウを蓄積するつもりだ。予定では100名ほど集める積もりなので後に常備軍が組織されたら教導中隊として使えるだろう。
取りあえずはこの位だろうか。商会についての計画は俺も関わるが、基本はオルドに運営を一任して俺は銃の製造や次期大公としての勉強をしようと思う。
ん?どうやら他の側近貴族達の纏めの作業が終わった様だな。
「皆、作業は終わった様だな。では、今日はこれで終了とする。しかし明日からこの計画をスタートさせる。先ずはオルド、商会の件頼むぞ。」
俺はそう言ってオルドの方を見る。
「はっ。お任せください。ヴァミリア様の希望に全力で答えて見せましょう。」
「ふっ、頼もしいな。」
俺とオルドはニヤッと笑い合う。
そして、全員を見渡す。皆やる気に満ち溢れている、と言った感じが伝わってくる。この国はとてもいい国だ。権力者と為る次期上級貴族が、国の事を第一に考えて努力できるというのはとても珍しい。
「皆、俺の計画に賛同してくれてありがとう。俺はこれからの君たちの働きをこの国の発展、という形で返したいと思う。それでは解散。」
俺がそう言うと皆は希望に満ちた表情をしながら会議室を出て行き、俺もそれに続く。
さて、これから忙しくなりそうだな。
作者に商会などの経営知識は有りませんので、作中での商会の経営描写は少ないと思います。