女性部門決勝開始
最後の予選で、ヴェオウルフが両断した一つ目巨人の死体が片付けられ、洗浄の魔法が掛けられた武舞台の上に、ジークフリート達予選を突破した闘士達が上がって来た。
そして、武舞台の上に八つの宝箱が並べられた。
ガルガンチュアは、闘士達が武舞台の上に上がったのを見計らい、声を張り上げた。
「よくぞ予選を勝ち上がった!では闘士諸君!コレと思う箱の前に立つがよい!」
ジークフリートは、横目でヴェオウルフを窺いながら、箱の前に立った。
(出来れば、ヴェオウルフの爺さんとはあまり関わりたくないが、闘うことになるだろうな、実際。)
老いたりとはいえ、その実力に些かの衰えも見せない戦いぶりを見せ付けられたばかりである。
よほどのことがない限り、ヴェオウルフがジークフリートの対戦相手となるのは明白だった。
(せめて、フェルナンデスかゴライアスと当たって、潰し合ってくれればいいんだがな。)
そう願いながら、ジークフリートは箱を開けた。
中には、黄色に塗られた斧が入っていた。
ジークフリートは、対戦相手となる自分と同じ武器を持つ者を探した。
すると、同じく黄色の斧を持ったゴライアスと目が合った。
ニヤリと笑うゴライアスに、同じく笑顔を見せつつ、ジークフリートは思った。
(やはり、試練の運命からは、逃れられんか。さて、他は?)
ガルガンチュアが立ち上がり、宣言した。
「それでは!男性部門の決勝トーナメントの組み合わせを発表する!」
その宣言に合わせ、闘技場の上空に、魔法で投影された映像が浮かび上がった。
(おいおい。試練にも程があるだろ。)
決勝のAブロックにヴェオウルフの名があった。
自分はBブロックであるが、ゴライアス、フェルナンデスの両名と当たる組み合わせである。
この強者三人を続けて倒さねば、ガルガンチュアに挑むことは出来ないのである。
そんなジークフリートの思惑を他所に、闘技祭は進んでいく。
「それでは!男性部門の予選はここまでとし、今日のメインイベントを開催しよう!女性部門の決勝戦である!」
「「「「ウオオオオオオオオオオオオオ!!!」」」」
観客達の歓声を聞きながら、ジークフリート達は退出した。
ヴェオウルフと話そうと思ったが、今はブリュンヒルデの事の方が優先であったジークフリートは、急いで西門まで走って行った。
その後ろ姿を眺めながら、ヴェオウルフは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
すでに、ブリュンヒルデとリンドブルムの入場は始まっていた。
『それでは、西門から白銀の女騎士、ブリュンヒルデ殿の入場です。』
入場したブリュンヒルデは、まだ神鎧甲を纏っていなかった。
ドレスで着飾り、剣を鞘に納めたままの姿で入って来たのだ。
観客達が不思議に思うなか、リンドブルムの入場が始まった。
『東門より、我等がヴィーグリーズの紅の戦姫、リンドブルム様の入場です!!』
東門より、リンドブルムが入って来た。
彼女もまた、赤いドレス姿のまま、武器も展開せずに入場してきた。
どうやら、戦いは既に始まっていたようだ。
互いの美しさを競うという戦いが。
遂に、ブリュンヒルデとリンドブルムの闘いが始まります。
そして、ジークフリートの試練の行方はどうなるのでしょうか?(笑)