予選突破
ズガアアアアアアアン!!
ジークフリートが立っていた場所が、ゼーリムニルの放った火球によって爆発した。
「おいおい!この世界には、銃火器なんて飛び道具は無いはずなんだがな!」
左右に避けながら、近づいて行くジークフリートであったが、再び金属音が響き、今度はその牙が巨大に変化した。
「うおっ!?」
接近した所に、ゼーリムニルの牙が振るわれた。
間一髪で、その攻撃を躱し、ジークフリートは一度離れることにした。
しかし、三度金属音が響いた。
ゴキキン!!!
その口が、大きく開かれ、光の粒子が集まって行く。
「おおい!まさか!!」
ジークフリートの予感は当たった。
キュドウウウウウ!!!
光の柱を思わせる、太い光線がゼーリムニルの口から放たれたのだ。
「こなくそっ!!」
ジークフリートは、その光線を炎の魔剣の刀身で受け止めた。
炎の魔剣で止められた光線は、二つに分れ結界にまで届いた。
光線が収まると、再びゼーリムニルが突進を始めた。
(なるほど、分かってきたぞ!こいつは敵に合わせて自分を強化していっているんだ!ならば、短期決戦を挑み、一撃で勝負を決めてやる!!)
「ヴィー!!次で決めるぞ!!」
『了解だ!ご主人!!』
黒獅子の鎧の刻印が、赤く光り輝く。
一気に魔導装甲の出力が最大限に引き上げられる。
ジークフリートもまた、ゼーリムニルに向かい、駆けだした。
ドウッ!ドウッ!
前面の砲身から、火球を吐き出しつつ、ゼーリムニルはジークフリートに突撃していく。
だが、その攻撃はかすりもしなかった。
正に疾風と化したジークフリートは、余裕をもって火球を全て躱して行った。
通常の攻撃が当たらないと分かったゼーリムニルは、その場に立ち止まった。
そしてまた、金属音を響かせ、口を大きく開けた。
「おせぇよ!!これで決まりだ!!!」
光線が発射される前に、ジークフリートはゼーリムニルの正面から、その背中に飛び上がった。
「刺突衝!!!」
秘技が発動し、炎の魔剣が深々とゼーリムニルに突き刺さった。
ギュオオオオン!!
ゼーリムニルが、ジークフリートを振り落とそうと、暴れ出そうとした。
「焼き尽せ!!!炎の魔剣よ!!!」
だが、一瞬早く、ジークフリートが魔剣の力を引き出した。
ドゴオオオオオオオオ!!!
ゼーリムニルの内部から発せられた、魔剣の炎は、砲身や眼、口などから火柱を上げた。
ジークフリートが、魔剣を引き抜き、跳び退るとゼーリムニルは、半ば熔解された状態になっていた。
こうなってしまっては、流石のゼーリムニルとはいえ、復活は不可能であった。
『勝者!!流浪の黒騎士、ジークフリート殿!!!』
「「「「ウオオオオオオオオオオオオオ!!!」」」」
勝者が宣言されると、観客達の歓声が轟いた。
その声に応えるように、ジークフリートは剣を天へと翳した。
ジークフリート予選突破です。
そして、次なる相手とは、誰になるのでしょうか?