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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
大闘技祭の章 破
92/211

男性部門開戦

『決りましたーーー!決勝戦に進出したのは、我らが紅の戦姫、リンドブルム王女です!!』


 闘技場(コロッセオ)に響くアナウンスも、興奮気味である。

 正に、完勝の内容であった。

 今日一番の盛り上がりを見せるヴィーグリーズの民達を他所(よそ)に、エルルーンは立ち上がれず、担架で運び出されていた。

 東門から出て来たエルルーンに、ブリュンヒルデが駆け寄り、治療の魔法をかけた。


「『傷つきし肉の器に、癒しを与えよ!回復(ヒール)!!』」


 しかし、エルルーンの様子に、変化は無かった。


「これは、状態異常(バットステータス)か?」

「はい。おそらく、は、麻痺(パラライズ)の状態、だと、思います。」


 途切れ途切れに答えるエルルーンの表情は、悔しさに沈んでいた。


「その程度で済むとは、流石、薔薇十字騎士団の団長ですね。」


 エルルーンに、言葉をかけてきたのは、フェルナンデスであった。


「俺があの一撃を受けた時は、全身に大火傷を負ったがな。」


 フェルナンデスに続き、ゴライアスもエルルーンを讃えていた。

 どうやら、このエルルーンも、ここヴィーグリーズでは、人気者であるらしいことが、鈍いジークフリートにも理解出来てきた。

 そういえば、エルルーンもまた、二十歳という、この世界では行き遅れの部類に入ってしまう女性であるが、その凛とした(たたず)まいと、薔薇十字聖騎士団の団長として、常に誇りを持って戦うその姿は、とても美しいものであると、ジークフリートは今更ながら気付いたのだった。

 傍に、ブリュンヒルデという規格外の女性がいては、仕方のない事だと思うが。


「なるほどね。」

「何がなるほどなのだ?主殿。」

「いや。エルルーンは人気者だなと思ってな。」

「ここヴィーグリーズでは、気高く強い戦士であるほどに、尊敬と好意を向けられるからな。」


 ジークフリートとブリュンヒルデの会話に割って入ったのは、リンドブルムであった。

 彼女と共に来たらしい僧侶達が、エルルーンの麻痺状態を回復させていた。


「これで、心おきなくお前と闘える!ブリュンヒルデ!決勝で待っているぞ!」

「戦いの前に挨拶とは、そなたも酔狂よなリンドブルム!こちらも、手心は加えぬと言っておく!全力で行くぞ!」


 フッと、リンドブルムは微笑むと、手を差し出した。

 その手を握り返し、ブリュンヒルデもまた微笑んだ。

 手を放し、去ろうとするリンドブルムに、ブリュンヒルデが呼びかけた。


「だが、主殿の正妻の座は渡さんぞ!リンドブルム!」

「違うと言ってるだろ!絶対に勝って吠え面かかせてやるからな!」


 先程までの遣り取りが、台無しである。

 ともあれ、女性部門決勝は、紅の戦姫、リンドブルムと、白銀の女騎士、ブリュンヒルデの二人が当たることとなったのである。


『続いて、男性部門第一予選を始めます。』


 アナウンスが響き、予選に出場する闘士達が南門へ集まり始めた。


「よし!行ってくるか!」


 ジークフリートは、気合いを入れ、南門へ駆けて行った。

 その後ろ姿を見送り、ブリュンヒルデはポツリと(つぶや)いた。


「・・・これより伝説が始まるか。見届けさせてもらうぞ。主殿。」

 エルルーンさん、ヴィーグリーズでは意外と人気者でした。

 そして、始まるジークフリートの戦い。まずは予選ですが、一波乱ありそうです。

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