第一試合決着
キイイイイイイイイィィィィン!
甲高い音と共に、ブリュンヒルデの身体から燐光が放たれ始めた。
『守護者の力!!』
ブリュンヒルデが、力ある言葉を発した瞬間、一際強く光が輝いた。
観客達が見守る中、ブリュンヒルデはその背に光の翼を背負い、鎧は光を纏っていた。
「ガアアアアアアアアアア!」
一方、カーシャの呪印は、今や、全身から赤い光を放ち、見開いたその目は、真っ赤に輝いていた。
その様は正に、鬼神のそれであった。
まるで、鬼神と女神の戦いが、二人の女闘士によって再現されたようであった。
「鬼神連撃!!!!」
カーシャが、呪印を発動させた時だけ使える秘技を繰り出した。
「百壁陣!!!!」
ブリュンヒルデもまた、秘技にてこれを迎え撃った。
ゴガガガガガガガガガガガガガガガ・・・・
金属と金属が激しくぶつかり合う音が鳴り響く、しかし、もはやその速さを目で追う事は、不可能となっていた。
カーシャは、軽い木の枝でも振り回すように、バトルアックスを振るった。
正に、旋風の二つ名そのものと言っていい攻撃であったが、ブリュンヒルデは、その全ての攻撃を受け止めていた。
守護の盾を操り、そこにまるで壁が存在するように、カーシャの攻撃が、届かないのだ。
限界が先に訪れたのは、カーシャであった。
鬼神の呪印は、短期決戦用の奥の手であった。
それゆえ、息を止め一心不乱に、バトルアックスを振り続ければならない。
「グハッ!」
カーシャが、息を吸い込んだその時である。
「盾の一撃!!!」
ブリュンヒルデが、反撃に転じた。
バキャアアアアアアァァァン!!
凄まじい音と共に、バトルアックスが砕け散った。
「何ィ!!?」
驚きの言葉を吐きながら、仰け反ったカーシャに、ブリュンヒルデの追撃が襲った。
ドン!という音がしてカーシャが宙に舞った。
神速で、懐に入ったブリュンヒルが、回し蹴りを喰らわせたのだ。
「ガハァッ!!!」
くの字に曲がり、飛んでゆくカーシャ、しかし、ブリュンヒルデは、まだ止まらない。
「業斬剣!!!」
ブリュンヒルデの、正義の剣が、カーシャを袈裟がけに斬り下ろした。
ズドン!という音と共に、武舞台に叩きつけられたカーシャは、土煙に包まれ、見えなくなった。
客席は静まりかえり、息を飲む音が聞こえた。
しかし、土煙が晴れると、カーシャは無傷で倒れていた。
鬼神の呪印は消え、完全に気絶した姿で、確認されたのだ。
『しょ、勝者!白銀の女騎士、ブリュンヒルデ殿!!』
勝者が宣言されると、闘技場に歓声が戻った。
ブリュンヒルデは、剣を掲げ観客に応えると、悠々と西門より、出ていった。
カーシャが、担架で運ばれ東門から出て行ったあとでも、歓声は鳴り止まなかった。
ブリュンヒルデ強し!なんか、女版主人公みたいだね。