一日目終了
闘技場から出て来たジークフリートと、ブリュンヒルデをディートリヒ達と、シュベルトライテとジークルーネが迎えた。
「お疲れさまでした、ブリュンヒルデ様。明日はいよいよ本選ですね。」
「うむ!今から楽しみでしかたないぞ!」
楽しくて仕方ない様子で、ブリュンヒルデが答えた。
「ご主人様の予選は女性部門の後ですから、明後日ということになりますね。」
この後の予定の書かれた文字盤を見て、ジークルーネがジークフリートに尋ねた。
「そうだな。でもヒルデの応援のほうが先だ。」
ジークフリートは、ブリュンヒルデに向きなおると、リンドブルムのことについて聞いた。
「ヒルデ、リンドブルムのやつになんでそこまで構うんだ?」
「それは、主殿には言う訳にはいかないな!まあ、任せておいてくれ!悪いようにはせん!」
ブリュンヒルデがそう言う以上、彼女には何か見所があるのだろう。
そう思い、ジークフリートは、それ以上の追求を止めた。
シュベルトライテとジークルーネは、顔を見合わせ苦笑した。
「しかし、凄い人混みだな。いったい何事だ?」
「賭博場が、開かれたんだろ。優勝すると思う選手に、金を賭けるんだよ。賭け率は、過去の実績から決るらしいから、ヒルデに賭けるとかなり儲かるんじゃないか?」
ジークフリートのその言葉に、ディートリヒが申し訳なさそうに言った。
「実は、既にブリュンヒルデ様に賭けました。しかも、今回の儲けの全部を・・・。」
「おま!!!!」
ジークフリートは、ディートリヒのその言葉に、呆れを通り越して絶句した。
「うむ!期待しておくがよい!」
「はい!ブリュンヒルデ様!」
ハハハと笑い合う二人を他所に、ジークフリートはアリシアに注意した。
「アリシア、いいのか?全額とかないだろ普通。」
その言葉に、アリシアはニコリと微笑みながら答えた。
「実は、私も賛成しました。勝てる可能性のほうが高いですからね。それに、今後の活動資金も必要ですから。」
「ええ~。(汗)」
ディートリヒ夫妻の思い切ったその行動に、ジークフリートは、これでいいのかと、頭を抱えたくなったが、既に事はなされた後である。
もうどうとでもなれと、流れに任せることにした。
大事の前の小事である。
自分の成すべきことは、ガルガンチュアに闘いを挑み、勝つことなのだ。
しかし、それでも言わずにはいられなかった。
「俺の時は、賭けるのは止めておいてくれよ!」
こうして、大闘技祭の一日目は、過ぎていった。
大闘技祭の章、長くなりそうなので、三部にわけます。
序、破、急の三部で行きます。エヴァに習ってではありませんが(笑)