女性部門本選出場者決定
予想通りとはいえ、リンドブルムの勝利に沸いた闘技場にガルガンチュアの声が響いた。
「これにて、女性部門の本選出場者が決定した!出場者四名は次の通りである。」
ガルガンチュアに促され、闘技場内に、魔法で増幅されたアナウンスが響いた。
『第一予選勝者、白銀の女騎士ブリュンヒルデ殿!第二予選勝者、当闘技場筆頭女闘士、旋風のカーシャ!第三予選勝者、薔薇十字聖騎士団、第一師団長、エルルーン殿!第四予選勝者、我等がヴィーグリーズ第一王女にして、親衛隊隊長、紅の戦姫リンドブルム様!以上の四名となりました。』
そして、名前を呼ばれた四人が、武舞台に上がると、四人の前に四つの宝箱が用意された。
「それぞれが、コレと思う箱の前に立つがよい!」
ガルガンチュアの声と共に、四人がそれぞれ動き出した。
全員が箱の前に立つと、ガルガンチュアが箱を開けるよう命じた。
箱の中には、赤い色のマントと、白い色のマントが入っていた。
「マントを身に付けよ!同じ色のマントの者が対戦相手である!」
結果は、ブリュンヒルデとカーシャが白いマント、リンドブルムとエルルーンが赤いマントであった。
「よし!これで誰にも邪魔されることなくアンタと闘えるよ!覚悟しな!」
「アンタ、ではなくブリュンヒルデだカーシャよ!そして、望む所だと言っておこう!」
「ふむ。エルルーン殿か。これで三度目になるが、今年も更に強くなっているのだろうな。」
「ははは・・・。御手柔らかにお願いします。リンドブルム様。」
ブリュンヒルデとカーシャは火花を散らし、少し残念そうにリンドブルムが、エルルーンに声をかけ、エルルーンはほぼ負けが決定したことに、乾いた笑い声を出した。
「では!本日の予選はここまでとする!明日の本選に向け十分英気を養ってくれ!」
ガルガンチュアがそう宣言すると、闘技場の観客達は立ち上がり、皆が声を合わせて唱和した。
「「「「勇者に栄光あれ!!!!」」」」
そして、一人また一人と退席を始めた。
選手の控室に戻って来たブリュンヒルデに、ジークフリートは声をかけた。
「御苦労さん!とは言え想像道りの結果ではあったがな。エルルーン殿も、明日は頑張れよ!」
「はあ・・・。微力を尽くします。」
「今からそれでどうする!エルルーン、何事も成し遂げんとする意志がなければ、勝利を得ることなどできんぞ!」
「ブリュンヒルデ様・・・。分かりました。頑張ってみます!」
うむ、と頷くブリュンヒルデに、ジークフリートは目線で女神の封石を見つめながら質問した。
「ところで、あそこにいるのが、第四の女神か?」
「そうだ主殿!勇気を司る戦乙女、名はゲルヒルデという!見ての通り、槍の使い手で、オーディン神の第四女でもある。我らと母神は違うがな。」
褐色の肌に、短く切りそろえられた銀髪の上に兜を被り、そして碧色の鎧を纏った女神が、両の手で槍を持った形で封じられていた。
ようやく本選出場者決定です。
そして、ゲルヒルデの姿が、明らかになりました。
先は長そうです。