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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
大闘技祭の章 序
83/211

受け継いだ物

 リンドブルムの持つ斧槍(ハルバード)から発せられた雷光(らいこう)が収まると、斧槍の先端部分に、(いかずち)の刃が形成されていた。

 鎧皮犀(アーマードライノス)が、眼を(くら)まされている内に、リンドブルムは側面に回避し、攻撃を加えた。

 その一撃は、鎧皮犀の鎧皮(アーマースキン)を安々と切り裂いた。


「なんだ、あの武器は!?」

「主殿?」

「あの武器は、見たことがない。過去の対戦において使っていた斧槍(ハルバード)とは別物だ!」


 その疑問に答えたのは、フェルナンデスだった。


「あの武器こそ、姫様の御母君、ヒルデガルド様より受け継いだ雷鳴の斧槍(ガールブレイ)ですよ。十八歳の御誕生日に、ガルガンチュア様より、あの紅の鎧(ガーブルージュ)と共に授かったのですよ。」


 ゴライアスが、その言葉に続いた。


「今までの姫様とは、別人と思うことだな。事実、闘ってみた我等が、その強さを嫌というほど味あわされたからな。」

「あの電撃は、ヤバかったですね。受けることが出来ず、(かわ)すしかないのですから。」

「二度とごめんだな。」


 話を聞き、ジークフリートは武舞台(ステージ)上のリンドブルムを見た。

 確かに、自分と戦った時とは、鎧の意匠(いしょう)も違っていた。

 その動きも、洗練され昇華されていた。

 リンドブルムは、斧槍をまるで自分の一部の様に扱い、鎧皮犀を翻弄していた。

 他の出場者達も攻撃に加わるが、いずれもすべて弾き返されていた。

 しかし、彼女達も熟練の戦士である。

 自分達の攻撃が、鎧皮犀に効かないことが解ると、即座にリンドブルムの援護にまわることを(いと)わなかった。

 注意を逸らし、リンドブルムの攻撃に有利になるように、陣形を変えたりしていた。


「皆!次で決める!退いてくれ!」


 リンドブルムは叫ぶと、斧槍を振りかぶり、闘気を高めた。

 紅の鎧が輝き、斧槍の光刃が一回り大きくなった。


「主殿!あの鎧、ただの魔導装甲(マギアームス)ではないな!おそらく神鎧甲(モノケロス)だ!」


 ブリュンヒルデが、驚きを隠さずジークフリートに伝えた。


「神鎧甲は、お前達、戦乙女(ワルキューレ)にしか着られない物じゃなかったのか?」

「リンドブルムの母、ヒルデガルドとは、おそらくトール神に仕える戦乙女であったのではなかろうか。リンドブルム自身も、その血を受け継いでいるのだ。神鎧甲を着られたとしても、不思議ではない!」


 武舞台の鎧皮犀は、残った体力の全てを費やし、リンドブルムに突撃を開始した。

 しかし、リンドブルムには躱そうという気配は感じられない。

 

 ドドッドドッドドッドドッドドッ!!!!

「オオオオオオオオオオ!!!!」


 鎧皮犀の蹄の音が響き、リンドブルムの咆哮が轟いた。


雷神閃ライトニングスラッシュ!!!!」

 ズバアアアアアアアアン!!!


 まるで神鳴りのような轟音が響いたと同時に、リンドブルムは斧槍を振りぬいていた。

 そして、両断された鎧皮犀が、リンドブルムの左右を通り過ぎていった。


「「「「ウオーーーーーーーーーー!!!!」」」」


 リンドブルムの勝利に、またしても闘技場(コロッセオ)が揺れた。

 リンドブルムさん圧勝!これで、女子部門の四強が出揃いました。

 いよいよ、本選の開始となります。

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