闘う訳
「次は、私の予選ブロックですね。行って参ります。」
そう言って、エルルーンは武舞台の方へ歩いて行った。
入れ替わりで、カーシャが闘士の控え室に入って来た。
周囲にいた女闘士達が、近づいて行き、その強さを讃えていた。
「流石は、旋風のカーシャ。アタシらじゃ、まだまだ役不足だったよ。」
「最後の一撃は凄かったです!この闘技場の筆頭闘士の名は伊達ではないですね!」
「よしてくれ。アタイだってまだ未熟者さ。姫様には、まだ一度も勝たせてもらってないからね。」
そこまで言った所で、カーシャはブリュンヒルデに気付いた。
フフンと鼻で笑い、ブリュンヒルデの元まで来ると、バトルアックスを突きつけて宣言した。
「今度はアンタの番だよ!姫様と戦うのはこのアタイなんだからね!」
「期待しておこう!こちらも手は抜かん!正々堂々行かせてもらおう!」
そこには、闘いの中で生きる者の共感があった。
互いに笑い合うと、カーシャはクルリと向きを変え去って行こうとした。
そこへ、声かけた者がいた。
「カーシャ!見ていたぞ!」
「ひ、姫様!?」
それは、リンドブルム姫であった。
ゴライアスとフェルナンデスを共に従え、カーシャの戦勝を祝いに来たらしい。
「姫様、このような所まで、もったいないです。」
「何を他人行儀な。私とお前の仲ではないか!」
親しげに話す二人を不思議そうに見ていたジークフリート達に、フェルナンデスが、語りかけて来た。
「カーシャ殿は、姫様の御母君、ヒルデガルド様に見出された闘士です。幼いころから、まるで姉妹のように、分け隔てなく育てられたお二人は、今でも、ああして姫様は、カーシャ殿に気安く話しかけられるのですが。」
ゴライアスが、フェルナンデスに続き、話しかけて来た。
「ヒルデガルド様が亡くなり、カーシャ殿は自分こそが、姫様を守る闘士となるのだと奮起したのだが、姫様はその上を行ってしまわれた。それ以来、カーシャ殿は、闘技場に入り、自らを常に高めているということだ。」
「姫様に勝つまでは、以前のように軽々しく話しかけないと、自分を戒めているのですよ。私達二人も、ヒルデガルド様に見出された者として、同じ思いです。故に、貴方に負ける訳には、いきませんね。」
そして、二人の護衛は、ジークフリートを睨みつけて来た。
ジークフリートは、やれやれと溜息をついた。
「「「「ウオーーーーーーーーーー!!!!」」」」
闘技場より歓声が上がり、控室を揺るがせた。
「どうやら、勝者が決ったようだな。」
ジークフリートが、武舞台を見ると、巨大な獅子の骸の上で剣を掲げるエルルーンの姿があった。
残す予選は、後一つリンドブルムの出場する予選第四ブロックのみである。
エルルーン「私の出番がーーーーー!!(泣)」
作者「ほんとすまんエルルーン、書く余裕無かったわ(汗)」




