次なる試合
興奮冷めやらぬ武舞台より下がって来たブリュンヒルデを迎えた闘士達の視線は、様々な思惑が入り乱れていたが、そんな人々を差し置いてブリュンヒルデに話しかけた者がいた。
「流石ですね。ブリュンヒルデ様。」
「おお!そなたはエルルーンではないか!」
そう、それはかつて立ち寄ったフォールクヴァングで出会った薔薇十字聖騎士団団長エルルーンであった。
「エイル猊下の使いで、皆さんを追って参りました。ちなみに、私も出場しています。薔薇十字聖騎士団を代表してですが。」
「なるほどな。」
闘士達は、ブリュンヒルデがかのフォールクヴァングの騎士団の団長と知己であることを知り、その実力が本物であることを理解したようだった。
「「「「ウオーーーーーーーーーー!!!!」」」」
闘技場から、歓声が聞こえて来た。
「次の試合が始まったようですね。」
「そのようだな。」
「見に行かれますか?」
「そうしよう!」
二人は、連れだって歩き出した。
闘技場の下層は、闘士達が武舞台を見ることのできる鉄格子で区切られた窓がいたる所にあった。
ジークフリートも其処にいた。
「主殿!」
「ヒルデか。先程の闘いは流石だったな。」
「お久しぶりです。ジークフリート様。」
「エルルーン殿か!?なぜここに?」
「それは、何れ話しましょう。今は試合を見届けましょうか。」
三人は武舞台に視線を向けた。
そこには、先程ブリュンヒルデに絡んできたカーシャという女戦士がいた。
相手は、銀色の体毛の巨大な熊であった。
「銀牙熊だな。しかも相当な上位種だ。」
ジークフリートが、誰に言うでもなく呟いた。
武舞台には、カーシャの他にも女闘士達もいたが、やはり突出した実力者は、彼女一人のようだった。
しかも、ブリュンヒルデを意識してか、常に銀牙熊の正面に立ちはだかっているのだった。
『グオオオオオオオ!!!!』
銀牙熊がカーシャに突撃した。
その剛椀が振るわれるが、カーシャはその腕を跳んで躱すと、銀牙熊の頭部を蹴って更に上空へ舞い上がった。
銀牙熊は、追撃しようと空に視線を上げたが、そこには、太陽を背に宙に舞うカーシャがいた。
太陽の眩しさに、銀牙熊が眼を逸らしたその瞬間、カーシャはバトルアックスと共に、回転しながら落ちて来た。
「頭蓋砕き!!」
ズカッ!!ドドオオオオン!!
秘技が発動し、その一撃は、銀牙熊の脳天に決った。
その勢いは止まらず、銀牙熊は武舞台の床に縫い止められた。
正に、必殺の一撃である。
「「「「うおーーーーーーーーーーーー!!!!」」」」
血飛沫を舞上げながら、バトルアックスを引き抜いたカーシャに、観客達の歓声が浴びせられた。
その歓声に、送られながらカーシャは堂々と退場していった。
エルルーンさん再登場!カーシャさんも、かなり強いです!闘技祭編長くなりそうです。