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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
大闘技祭の章 序
71/211

城砦都市ヴィーグリーズ

「ヴィーグリーズが見えたぞー!」

 

 その日の朝は、見張りのその声から始まった。

 大闘技祭が開催されるその時期は、世界各地から腕自慢の男達や女達、そして、その腕自慢の者達を雇おうという富豪たちも集まってくるのだ。

 元々、ヴィーグリーズは少数の国家の総合体であったが、部族間の争いが絶えなかった。

 しかし、その争いを収めたのが、初代傭兵王であるデリングであった。

 それ以降、彼の功績を讃えて、ヴィーグリーズの人々は、腕を競い合う闘士達の闘いを彼が闘技場に据えた、女神の封石の神前に捧げる祭を始めたのだ。

 ヴィーグリーズの掟はただ一つである。

 それは、強者であれということ、である。

 ジークフリートは、そのことを嫌というほど知っていた。

 ディートリヒ達はすでに、接岸のための準備に入っていた。

 ヴィーグリーズは、フィンブリスルの大河から、直接街の中に入ることのできる巨大な水路と、港があるのであった。

 そして、都市に近づくにつれ、他の船の姿が見え始めた。

 この船団は、すべて商船である。

 一年に一度行われるこの大イベントのため、各地の豪商達も集まってくるのだ。

 流石に、大河の往き来に使う船は全て魔法帆船である。

 しかし、スキーズブラズニルの大きさは、他の船に比べても、一際目立っていた。

 自然と、注目されたのか、入港審査のための警備艇が、真っ先に飛んできた。

 ディートリヒは、慣れたもので、落ち着いて対処したものだった。

 ジークフリートは、今更ながら、ディートリヒの隊商(キャラバン)で培った手腕に感服した。


「大したものだな。俺には、ああいうことは出来ないからな。」

「人には、それぞれの役割がある。主殿には、主殿にしか出来ぬことがあるのだ。それを忘れなければよい。」


 入国は、実に簡単に許可された。

 ディートリヒが、商業ギルドの許可証を持っていたおかげである。

 それに、フヴェルゲルミルの鮮魚は有名である。

 船底の倉庫を見た入国審査員は、これはいいものですねと、一発で合格させたほどであった。

 こうして、ジークフリート一行は、城砦都市ヴィーグリーズへの入国を果たした。

 ディートリヒ達は、商品を捌いてから合流するということで、一時、別行動することになった。

 ジークフリート一行は、闘技祭に出場するため、闘技場(コロッセオ)に向けて歩き出した。

 街の中は、既に祭り一色であった。

 人だかりの中でも、ブリュンヒルデ達は目立っていたが、それにも増して、人々が熱狂しているものがあった。

 パレードである。

 傭兵王ガルガンチュア自身が、街中を山車(だし)に乗って、練り歩くのだ。


「凄いものだな!主殿!」

「ああ!あれがガルガンチュアだ!」


 人混みの所為で、やや怒鳴りがちに遣り取りをしていた一行の前に、大きな山車に乗った大男が通過していた。

 赤毛の髪と立派な(ひげ)が印象的であった。

 金色(きんいろ)魔導装甲(マギアームス)に身を包み、身の丈とほぼ同じくらいの、戦鎚(せんつい)を持った偉丈夫である。


「そして、あれが雷神の鎚、ニョルニルだ!」

 

 雷帝さん登場!ちなみにニョルニルとは、マイティーソーにも出てくるあれです。この話のニョルニルは、かなり長い握りの部分のあるウォーハンマーですが。

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