表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
始まりの章
7/211

決闘

 二人は同時に大地を蹴った。


 ガッッキイイイイィィィン!!

  

 二人が交錯すると、凄まじい音が響き渡った。

 そのままの勢いで、再び二人が離れる。


(浅い・・・)


 シグルドは、そう手応えに感じていた。


『・・・槍の穂先を、叩き落とし、その上一撃入れるとはな。』


 向きなおりながら、ヴィーザルは感心していた。

 ヴィーザルの魔導装甲(マギアームス)には、シグルドが付けたであろう亀裂が、脇腹に刻まれていた。

 しかし、それはやはり、決定打とはならなかった。


『やはり、貴公には無理か・・・。』


 ヴィーザルは、残念そうに首を振った。

 ところが、シグルドは落胆することもなく、むしろ嬉しそうにこう言った。


「そちらは、全力を出していない。なのに決着が付いたらつまらんだろう?」


 ヴィーザルは、先程の一撃が様子見であったことを看破されたことにも驚かず、淡々とこう答えた。


『それは其方(そちら)もではないのかな?』


 その返答を聞いてシグルドは歓喜に震えた。ここまでの相手に出会えることはそうそうない。戦うことこそが、今のジークフリートにとっての喜びであった。


「なるほど・・・確かに出し惜しみは良くないな!」


 そういった瞬間、シグルドの全身から闘気が溢れ出した。

 と同時に、魔導装甲(マギアームス)に刻まれた刻印が赤く輝きだした。

 この現象は、人間の生体エネルギーが魔道装甲(マギアームス)に行き渡り、その性能を完全に引き出すことを意味する。

 生身では引き出すことの出来ない領域まで、その力は増していく。

 そして、その限界性能は、装者の闘気の総量に比例するのだ。

 全身の刻印が輝き、シグルドの発する闘気が収束する。全ての力を込めた一撃を放つ為である。

 その様子に、ヴィーザルもまた、その一撃に応える為、鬼気を立ち昇らせ始める。


『全く持って、その通りだな!』


 そう言うと、ヴィーザルの魔導装甲(マギアームス)の刻印も輝きだした。

 こちらは、鬼気そのものに触発されたような紫光(しこう)の輝きである。

 シグルドはアンデッドの類が、生体エネルギーも無しに、魔導装甲(マギアームス)を起動させたことに驚かされたが、それは彼にとって些細なことだった。

 目の前の相手は、全神経を集中させるに値する相手である。

 それに今度は相手も全力だ。ほんの少しの油断が死に繋がるということを、シグルドはその経験によって知っていた。

 相手の挙動を見逃すような愚は犯さない。瞬きもせずシグルドはその時を待った。そして、


『ウオオオオオオ!!!』


 咆哮を上げ、ヴィーザルが、まるで砲弾のように跳んできた。

 その穂先が、音速を越えて、シグルドに襲いかかる。

 だが、その(きざ)しを読んでいたシグルドも既に剣を振るっていた。

 閃光と化した剣が、槍と交叉した瞬間、

 

 ッッシャッキイイイイイイィィィン!!!

 

 金属を切り裂いた音が鳴り響き、二人は互いにすれ違い、その動きを止めた。

 そして、辺りは、再び廃墟の静寂を取り戻した。

 

 決着がつきました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ