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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
大闘技祭の章 序
65/211

炎の魔剣

「ではよいか?ジークフリートよ。」


 そこで、ジークルーネがヴィーを注意した。


「違うでしょう。ヴィー。ご主人様の事をどう呼ぶのか、キチンと教えたはずですが・・・。」

「うう・・・。」


 ヴィーは、口をへの字に曲げていたが、ジークフリートのほうを振り向くと、こう呼んだ。


ご主人(マスター)!!」


 その様子に、ジークルーネは満足そうに頷いた。

 ヴィーの方は、ほとんどヤケであるが、それでも説明を始めた。


「まず、我とマスターとの間には、すでに絆が出来ておる。それは、我が死を受け入れたあのとき発した言葉に起因するのだが。」


 ジークフリートは、ヴァルカンであったころのヴィーの言葉を思い出した。


「たしか、俺の名を魂に刻むと言っていたな。」

「そうだ。あの時、我はマスターに屈服した。それは我を僕として操れる力を手に入れたのと同義なのだ。つまり、どれほど離れていようが、マスターは、我を召喚することが出来るはずだ。鍵となる言葉(キーワード)を唱えることによって魔法は発動する。唱えよ、『我が元に来たれ、剣よ(グラム)!』」


 ジークフリートは頷くと、キーワードを唱えた。


『我が元に来たれ、剣よ(グラム)!』


 その瞬間、ヴィーは炎に包まれ消えた、と同時に、ジークフリートの眼前に、炎を(まと)ったグラムが現れた。

 グラムが宙に浮きながら、ヴィーの声を発した。


『マスター、恐れることは無い。我が炎は、マスターを傷つけることは決して無い。』


 ジークフリートは、その言葉を信じ、グラムを手に取った。

 すると、得も言われぬ感覚があった。

 まるで、自分の力が、跳ね上がったような気がしたのだ。


「気のせいか、力が上がった気がするが。」

『気のせいではない。我の力そのものをグラムが再現しているのだ。さらに、我は炎竜の二つ名を持つ古代竜(エンシェントドラゴン)であった。その炎に対する耐性も、火の属性の魔法を扱うことも出来る。マスターの思いのままに、我が力を使うことが可能だ。』


 ジークフリートは、試しに、グラムに念じて炎弾を作ってみた。


「ふむ。火炎弾(ファイヤボルト)の魔法ですね。」


 ジークルーネが、興味深そうに、呟いた。

 炎弾は、船から飛び出し、大河に落ちて小規模な爆発を起こした。


「なるほど、本当に炎の力が使える訳だ。これなら、神技(ゴッドアーツ)に手が届くかもしれんな。」


 神技とは、秘技を超える技である。

 これを習得できた剣士は、剣聖(ソードマスター)の称号を得ることが出来るのである。

 

「あの、雷帝ガルガンチュアに並ぶには、それしかない。城砦都市ヴィーグリーズに着くまでに、何とかモノにしないとな。しかし・・・。」


 ジークフリートは、疲れた表情で、船のマストを見た。

 そこには、ブリュンヒルデと、シュベルトライテが、まるで隠れるように立っているのだ。

 そして、時々こちらを覗くのである。


「ハイメとナターシャの婚約、というよりプロポーズが羨ましかったのでしょう。乙女の夢ですからね。」


 と、ジークルーネが溜息と共に()らした。

 グラムがクラスアップしました。宝剣から、炎の魔剣へ変りました。

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