譲り受けた鎧
目の前の死霊騎士達の、騎士としての姿勢に感じ入ったシグルドは、素直に謝罪した。
「異国の騎士に失礼した。許されよ。」
そう言って、ゆっくりと一礼した。
『ほう・・・貴公も騎士か?』
「元、だがな・・・。」
『そうか・・・。』
「では!始めるか!」
そう言って、シグルドは魔導装甲を起動させた。
剣の柄頭に付けられた宝玉が光を放ち、シグルドの全身を呪文を象った光が覆っていく、そして光が鎧の形に収束する。
光が消えると、魔導装甲に身を包んだシグルドが立っていた。
その装着時間は、正に瞬きをする間程の時間である。
その姿を見た死霊騎士達に、動揺が走った。
『!!?』
死霊騎士達は、その姿を見て動揺しているようだったが、構うことなくシグルドは名乗りを挙げる。
「元ミズガルズ親衛騎士団団長シグルド!」
『・・・ヴァルムンク近衛騎士団衛士ヴィーザル!』
『同じくアルベリヒだ。立会人を務めさせていただくが、一つ聞きたいことがある、よろしいか?』
シグルドは、怪訝に思ったが答えることにした。
「なにか?」
『貴公のその鎧は、誰かに譲り受けたものか?それとも戦場でうばったものか?』
随分と、不思議な問いかけである。まるで鎧の持ち主が誰なのか、知っているような口ぶりだ。
「養父から譲り受けたものだ。もう死んじまったがな。」
『養父の名は?』
今度はヴィーザルと名乗った死霊騎士が真剣な雰囲気で聞いてきた。
「おかしなことを聞くな・・・別に構わないが、ただの鍛冶屋の親父で、名はレギンと言う」
その名を聞くと、死霊騎士達は同時に天を仰いだ。
『その名前・・・そうか・・・あの方は務めを果たしたのだな・・・。』
『そうであるとするならば、この者こそが!』
『・・・だからこそ確かめねばならない!私に敗れるようでは、この奥にいる御方には到底及ばぬ!』
「あーそろそろいいか?」
突然白熱して口論を始めた死霊騎士達に、シグルドは水を注した。
『・・・そうであったな。』
言われて死霊騎士達も、仕切りなおすことにした。
正門の前は、広場になっている。
そこで、シグルドとヴィーザルは互いに、構えあった。
シグルドは正眼に構え、ヴィーザルは刺突の構えで腰を落とした。
アルベリヒと名乗った死霊騎士が右手を挙げて宣言した。
『いざ!尋常に勝負!!!』
そして、その右手が振り下ろされると同時に、二人は決闘を開始した。
やっと決闘シーンに突入できる。文章かくのって難しいですね。
騎士の名前を変えました。