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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
竜殺しの章
56/211

竜の花嫁

 あれほどの猛威を振るった炎竜ヴァルカンも、ジークフリートと二人の戦乙女(ワルキューレ)の前に、満身創痍の状態であった。

 斬りつけられた傷跡からは、血液が流れ出し、ブリュンヒルデに切り落とされた翼は、もはや空も自在に飛ぶことは出来ない。

 しかし、それでもヴァルカンは立っていた。

 それは、古代竜(エンシェントドラゴン)としての誇りだった。


『グググ・・・マサカ愚劣ナ人間ドモニ、コノヨウナ強者ガイタトハ!シカシ!コノ炎竜ヴァルカン、我ガ花嫁ノ前デ無様ナ戦イハ出来ン!!』


 この言葉を聞いて、ジークフリートは驚いた。


「花嫁って、ジークルーネのことか?」


 その名を聞き、ヴァルカンの体が震えた。


『ソウカ!我ガ花嫁ノ名ハ、ジークルーネト言ウノカ!』


 その言葉と共に、ヴァルカンは突撃してきたが、明らかにその速度は半減していた。

 それゆえ、ジークフリートは、その攻撃を、余裕をもって躱し、質問をぶつけた。


「ドラゴンのお前が、なぜ戦乙女(ワルキューレ)の彼女を花嫁と呼ぶ?」


 その質問に、ヴァルカンは震える体を、意志の力で支えつつ、笑いながら答えた。


『可笑シナ事ヲ聞ク人間ダ、マアイイ聞カセテヤル。カツテ神魔ノ大戦ノ折、魔神族ノ側ニ付イタ、我ラ古代竜ノ軍団ノ前ニ立チ塞ガッタノガ彼女ダ!我ハソノ強サニ戦慄スルト同時ニ、強ク惹カレタノダ。ソシテ、ソノ魔力ノ痕跡ヲ追ッテ、我ハココニ辿リツイタ。渡サンゾ!我ガ花嫁ハ!』

「愚かな竜よ!そのままここで果てるがよい!!」


 吠えるヴァルカンに、止めを刺そうとしたブリュンヒルデを、ジークフリートが遮った。


「ヒルデ!俺に任せてくれ!」

「主殿!?」


 ジークフリートは、そう言うと魔導装甲(マギアームス)を完全に起動させた。

 金色(こんじき)の輝きがジークフリートを包む。


「我が名は、ジークフリート!お前に、死を与えるものだ!」


 金色の光の尾をひきながら、ヴァルカンの懐に、跳び込んだ。


(せめて、一撃で葬る!!)


 それは、ヴァルカンの想いに対するジークフリートの礼儀であった。


『グオオオオオオオ!!』


 対するヴァルカンもまた、全ての力を振り絞り、攻撃を繰り出した。


 ドドオン!!


 ヴァルカンの前足が、大地を穿つ。

 しかし、そこにジークフリートは居なかった。

 ヴァルカンは、頭上に気配を感じた。

 ジークフリートが、跳躍したのだ。

 そして、(グラム)を逆手に持ち替えると、秘技を発動させた。


刺突衝スティンガークラッシュ!!」


 ズドン!!!


 重い音が、鳴り響き、(グラム)はヴァルカンの眉間に、突き立った。

 流石のヴァルカンさんも、ここまで追い込まれては、逆転は無理でした。

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