電撃戦
ジークフリート一行は、巨大な扉の前に、転移させられていた。
扉の前には、ここの守護者のものであろう、大きなゴーレムの残骸が残されていた。
「凄いな、どれほどの力をかければ、ここまでバラバラに破壊することが出来るんだ。」
「捕まれば、命は無いだろうな!速度で撹乱するしかないだろう!」
「問題は、どの程度ドラゴンが、回復しているかですね。」
三人は、それぞれの武器を取り出すと、ジークフリートは魔導装甲、ブリュンヒルデとシュベルトライテは神鎧甲を起動させた。
更に、ジークフリートは、魔神化し、完全な戦闘状態に移行した。
「準備は、万全だな!主殿!では行くか!」
ブリュンヒルデは、剣を振り上げると、大扉を切り裂いた。
この大扉は、守護者を倒したものを認識して開くものだったので、やむなく破壊する方法を採ったのだ。
これで、完全に気付かれた訳だが、臆することなく、三人は、女神の封石の間に飛び込んだ。
その瞬間、ジークフリートの視界一杯に炎が広がった。
炎竜ヴァルカンは、ジークフリート達が、部屋の外に居た時から、その存在を察知し炎の吐息を準備していたのだ。
だが、そのことを読んでいた者がいた。
ブリュンヒルデだ。
彼女は、二人の前へ出ると、盾を振り翳し、大地に叩きつけ叫んだ。
「守れ!守護の盾よ!」
盾に刻まれた刻印の術式が、ブリュンヒルデの言葉によって起動し、巨大な光の魔法陣となり、炎を阻んだ。
『ヌウ!小癪ナ真似ヲ!』
そのブリュンヒルデの影から、ジークフリートとシュベルトライテの二人は跳び出した。
二人は、左右に別れるとヴァルカンを挟撃した。
ヴァルカンは、人間の武器などに、自分の竜麟は、貫くことは出来ないと、たかを括っていた。
しかし、その思い上がりは、痛みをもって打ち砕かれた。
ジークフリートの剣も、シュベルトライテの双剣も、何の抵抗もなく、ヴァルカンの竜麟を切り裂いた。
『ギャアアアア!!オノレ!人間ゴトキガア!!』
ヴァルカンは、狂ったように暴れたが、二人は、風に舞うように躱してゆく。
そこへ、ブリュンヒルデが、突っ込んだ。
「神聖剣!!」
秘技が発動し、ブリュンヒルデの片手剣が虹を描いた。
ズバン!ズズゥン!!
その一撃は、ヴァルカンの翼を切り落とした。
ヴァルカンは、その痛みに、またしても絶叫した。
ヴァルカンさんフルボッコの巻!この三人が相手では無理もありません。