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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
竜殺しの章
51/211

出陣の朝

 その夜、ミズガルズの貴族派の筆頭、ホグニ伯爵は、なぜ自分が死んだのかさえ分からぬまま、この世から消えた。

 そして、ウルザブルンの人々は見た。

 笑い声を上げながら、金色の粒子を纏った炎の竜を。

 それは、ホグニ伯爵が持ち込んだ金貨であった。


「金は、火の属性を持つ竜にとって、自身の魔力を高めることができるアイテムだからな!高位の竜ほど、その保有する金の量は増大するのだ。あのレベルの竜ならば、どれほどになるかな?」


 ジークフリートは、夜空を舞う竜を見ながら、ブリュンヒルデの話に、耳を傾けていた。


「先ほどの攻撃は、流星の吐息(メテオブレス)だな!エンシェントドラゴンの中でも、名のある竜しか使えぬ技だ。しかし、一度使うと、次の満月までは、使えぬほど消耗する技でもある。示威行為の意味もあったのだろうが、迂闊だったな。」

「唯一の懸念事項がなくなりましたね。姉上、この上は一刻も早く時の塔に乗り込み、火竜を倒してしまいましょう。」

「うむ!全ては明日の明朝だな!そうと決まれば、今日はさっさと就寝だ!主殿、行くぞ!」

「ええ!?」


 ジークフリートは、首根っこを掴まれ、町長であるナターシャに与えられた宿屋に戻っていった。

 ちなみに、男女別々である。

 興奮冷めやらぬジークフリートであったが、これでも、歴戦の戦士である。

 目を閉じると、すぐに眠りに落ちた。


 翌朝、三人は、船の上にいた。

 見送りは、ディートリヒ、アリシア、ハイメ、ナターシャの四人だけである。

 大勢の見送りは、竜に勘付かれる恐れがあったからだ。

 なおも心配そうにするディートリヒに、ジークフリート一行は、声をかけた。


「行ってくる。夜までには帰るから、心配しないでくれ。」

「大丈夫だ!フヴェルゲルミルの朝霧が、我らを隠してくれる!吉報を待つがよい!」

「油断は、禁物ですよ。姉上。」


 その普段と変わらぬ姿に、安心したのか、ようやく、


「お待ちしております。ジークフリート様。女神様方も、お気をつけて。」


 と言い、船の係留の綱を解いた。

 ディートリヒ達は、ジークフリート一行が、見えなくなるまで、手を振っていた。

 朝霧に包まれたフヴェルゲルミルの上で、一行が方角を把握出来たのは、オーディンの瞳のお陰である。

 導きの宝珠は、その能力を発揮し、火竜に発見されることなく、中心の島まで、到達することが出来たのであった。

 島に建てられた塔の巨大さに、ジークフリートは驚いた。

 なるほど、あの巨大な竜が住みつく訳である。

 塔に近づくにつれ、その入り口である門が、跡形もなく破壊されていることに気付いた。


「やはり、結界を貫かれていたようだな!しかし、結界は、未だ有効なようだ。主殿、グラムを(かざ)されるとよい。それで、結界は解かれるだろう。」

「よし!」


 パリイイイイイィィィィン!!


 ジークフリートが、グラムを翳すとガラスの割れるような音が響いた。


「さあ!竜退治の始まりだ!」


 ブリュンヒルデの声にジークフリートは頷くと、時の塔の門を潜った。

 

 時の塔到着!これからが竜退治本番です!

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