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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
始まりの章
5/211

死せる騎士

 城壁は、攻城兵器や魔法によってボロボロとなり、正門の大扉は、破城鎚などで、無残に破壊され廃墟となっていた。

 シグルドは、正門をくぐり街の中へと入って行った。

 街の中に入ったシグルドを不思議な感覚が襲った。何故かは分かないが、懐かしいと感じたのである。

 見たこともない町並み、建物は崩れ去り、雑草が生え完全な幽霊都市(ゴーストタウン)となったその風景を何故自分が懐かしと思うのか、シグルドには全く覚えがなかったのだ。

 しかし、その霧だらけの情景の中に、人の形を取る影のようなものが見え始めた。


(これは少し厄介だな・・・)


 シグルドがそう思ったのも無理はない。現れたのは、所謂(いわゆる)亡霊(ゴースト)と呼ばれるモンスターである。無念の想いを抱えて死んだ人間の想念が、形となりこの世に残り彷徨う存在である。

 物理攻撃が主体のシグルドでは、攻撃を通すことは不可能である。

 そのまま通り抜けるのが一番と考えたシグルドは、亡霊(ゴースト)達を刺激しないように行動を始めた。

 しかし、その行動はすぐに止められた。突如として、目の前に女の子の亡霊(ゴースト)が現れたのである。

 その女の子は、何故かシグルドにむかい花束を渡そうと差し出して来た。

 シグルドは迷ったが、その花束を受け取ることにした。

 花束に触れた瞬間であった。少女の霊は、花が咲いたような微笑みを浮かべ、光を発したかと思うと、その存在は消えて無くなっていた。

 シグルドの手の中には、枯れて、ドライフラワーとなった花束が残されていた。

 気付くと、シグルドの周囲は、亡霊(ゴースト)の群れに囲まれたいた。

 だが、その亡霊達も、シグルドに触れた瞬間、光となって消え失せるのだ。

 全ての亡霊(ゴースト)が消えた時、シグルドは自分が涙を流していることに気付いた。

 シグルドは、ここにいた記憶は無い。ミズガルズでの思い出が、シグルドにとっての第二の人生の始まりであった。

 なんとか、落ち着きを取り戻したシグルドは、この街がいかにして滅んだのか、昔読んだ文献の事を思い出した。

 この街の王、剣王ジグムントは、魔人族の女を妻に迎えたばかりに、ミズガルズの中央正教会から、異端とされ、周辺の国々より、攻め滅ぼされたのだ。

 いかに、剣において敵なしと言われた王でも、数の暴力には勝てず、忠勇無双の部下たちと共に、討ち死にしたと言うことだが、その後、占領もせず、各国が兵を退いたのには、訳があった。

 石畳の間から雑草の生えた、中央の大道りを進んでいくと、王城が見えてきた。

 そして・・・


「やはり、出たか・・・。」


 そう呟いたシグルドの先、城門の前に、二体のスケルトンが立ち塞がっていた。

 なおも進もうとするシグルドの行く手を、ガシャリ!とスケルトンの持つ槍が交錯し、防害した。


『何者か!』

『王の許可なく城に立ち入ることは、許されぬ!』


 ボロボロの、致命傷と思われる場所に、穴の開いた魔導装甲(マギアームス)を纏った二体のスケルトンからは、死者と思えぬほどの、鬼気が感じられた。 


「悪いが、城の中に用があってね。」


 そう言うと、シグルドは、鞘から剣を抜いた。


『愚かな!』

『我らと戦うというのか?僧侶でもない貴殿に我らが(はら)えると思われるか?』


 スケルトンの一体は臨戦態勢に入ったが、もう一方は再び直立し質問してきた。

 まるで生きた人間のままのような立ち振る舞いである。


「一人ずつでいいのか?なんなら、二人がかりでもいいぜ!」


 これには、臨戦態勢にあるスケルトンが答えた。


『我らは、誇り高きヴァルムンクの騎士、貴殿が一人であるのに、二人ががりなどありえぬ!』


 その言葉を聞いて、シグルドは認識を改めることにした。


(こいつら・・・いや、この二人は本物の騎士だ。)




 

 

 

ヒロインが出てこない。もう少しさきかな?

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