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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
竜殺しの章
49/211

悪党

 ジークフリート一行が、竜退治の一件を、町長のナターシャ以下ウルザブルンの住人たちから一任されたころ、ウルザブルンより、少し離れた場所にある、フォーバルという場所に、大勢の兵が集結していた。

 このフォーバルという所は、貴族達の避暑地であり、治外法権が許された場所でもある。

 しかし、季節は冬である。

 よほどの用がない限り、これほどの者が集まるはずの無いのである。

 その中にある、かがり火の焚かれた華美な邸宅の一つから、男の怒鳴り声が聞こえた。


「なに!失敗しただと!!」

「申し訳ありません!公爵様!でも、あいつら、めっぽう強い用心棒がいるみたいで・・・。」

「俺達も、命からがら逃げて来たんでさ!」


 この、傭兵達に怒鳴っている男こそ、ホグニ公爵であった。

 ミズガルズの王家の血筋にあたり、貴族派の筆頭でもあるこの男は、欲しいものは何でも手に入れて来た。

 特に、女である。

 ディートリヒの妻であるアリシアに、横恋慕し、傭兵を雇い隊商を皆殺しにして、(さら)うつもりだったのだ。

 後は、野盗に襲われたことにして、全てを煙に巻くつもりであったが、その計画は、ブリュンヒルデ達に、いとも容易く、打ち砕かれてしまったのだ。

 ホグニ公爵は、嘆息すると、傭兵達の後ろにいた私兵たちに、目配せした。


「ギャアアアア!!」

「な、何をす・・・グハァ!!」


 私兵たちが、傭兵たちを始末する様を、ホグニ公爵は、冷めた瞳で見ていた。


「やはり、傭兵など使うのではなかった。金と装備を無駄にしただけだったな・・・。おい!外の者たちに、出撃の準備を急がせろ!!」


 私兵たちは頷き、傭兵の死体を引きずって出ていった。


「くくく・・・待っていろよアリシア!必ずお前を私のモノにしてやるぞ!!」


 ここまで来たのは、浚った後、すぐに、アリシアを自分のモノにするためであった。

 傭兵たちが、失敗するとは思わなかったため、すでに我慢の限界であったのだ。

 そこで、五百の私兵をもって、街を強襲することにしたのだった。

 ウルザブルンの命運は、まさに風前の灯であった。


 ジークフリート一行が居なければ、であるが。


 しかし、その戦支度ともいえる様を、ジッと眺めている者がいた。

 時の塔の頂上、にそれはいた。

 千里先を見通す竜眼、いかなる武器も弾く竜麟、そして、千里を一夜にして駆ける翼。

 時の塔に、住み着いたという火竜(レッドドラゴン)、その名は”炎竜ヴァルカン”と言った。


『愚昧ナル人間ドモヨ!我ト闘ウコトガ、ドレホド愚カナコトカ、身ヲ持ッテ知ルガイイ!!』


 その軍勢が、自分に対して用意されたものだと思い込んだヴァルカンは、猛り狂って、飛び立った。




 

 次回、勘違い野郎ども激突です。

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