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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
竜殺しの章
42/211

血風

「くそっ!こいつら、普通の野盗じゃないぞ!!」

 

 隊商(キャラバン)(リーダー)ディートリヒは、追い詰められていた。


(リーダー)!こいつら、魔導装甲(マギアームス)を使ってやがる!装備無し(スッピン)じゃ辛いぜ!!」


 護衛隊長のハイメが、声をかけてきたが、その声に余裕はなかった。

 盗賊が、魔導装甲を使うことなど、無いに等しいからだ。

 隊商の隊員たちも、その道でならした者達であるが、いかんせん戦力に差があり過ぎた。

 一人また一人と、賊の刃にかかるものが出てきた。


「あなた!このままじゃ!」


 馬車の上から、援護の弓射を続ける、妻のアリシアからの声を聞き、ディートリヒは、荷を捨てて撤退することを、覚悟したその時である。

 

 疾風が、駆け抜けた。

 気が付くと、盗賊の集団の中に、二人の乙女がいた。

 その身を鎧を纏い、背中合わせに立っている。

 突如として現れた、彼女達に、最初は驚いていた盗賊たちも、相手が女、しかも極上の美女と判った瞬間、下卑た薄笑いを浮かべた。


「おいおい!獲物が自分から、飛び込んできたぞ!」

「「ギャハハハハハハハハハハ!!!」」


 その中で、ブリュンヒルデは、シュベルトライテに話しかけた。


「下種どもに情けは無用だ!全て斬り捨てよ!」

「承知しました。姉上。」

「行くぞ!!」


 二人が、同時に地を蹴った。

 盗賊たちの笑い声が悲鳴に変わるには、さしたたる時間は掛からなかった。

 二人の往く所、血風が舞った。

 ブリュンヒルデが、片手剣(ゼファリス)を振り抜く度に、賊の首が宙を跳んだ。

 シュベルトライテは、双剣(シルドレイク)で敵の攻撃を一切受けることなく、風のようにすり抜けていく。

 通り過ぎた後には、急所を切り裂かれた者が、屍の山を築いていた。

 突如として、援軍に現れた二人の乙女達のその桁違いの強さに、驚きと戸惑いを見せていた隊商の隊員達も、今が、反撃の好機と捉えた。


「今だ!一気に押し戻せ!!」

「「オオーーーー!!」」


 形勢は、逆転した。

 ジークフリートが到着したのは、この時である。


「誰!?」


 馬車の者たちから、弓を向けられたが、両手を上げ敵意の無いことを示し、こう言った。


「助けに来た。まあ、もう大丈夫だろうがな。」

「あの二人は、あなたの仲間?」

「そういうことだな。」


 その言葉で、馬車の者達は、弓の射線からジークフリートを外した。

 すでに、盗賊は潰走し、隊商の者たちの勝鬨の声が聞こえてきた。


「流石の一言だな。」


 ジークフリートの、視線の先には、返り血の一滴も浴びず、当然の如く勝利を収めた二人の戦乙女(ワルキューレ)がいた。



 二人の活躍により、主人公出番なし!

 

 

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