姉妹
再び封石が元の姿に戻り、大聖堂を包んでいた光は収まった。
「おお!」
「なんと、麗しい!」
薔薇十字聖騎士団の団員達は、口々にシュベルトライテを讃えていた。
ブリュンヒルデは腕を組み、うむうむなどと頷いていたが。
「そうだ。俺が君を封印から解いた。」
「ほう・・・。」
シュベルトライテは、興味深そうに、ジークフリートを見やった。
と、そこへ声を掛けた者がいた。
「ライテ!!久方ぶりだな!!」
ブリュンヒルデは、そう言いながら、シュベルトライテに抱きついた。
「あ、姉上?すでに、封印から解かれて御出ででしたか。」
「うむ!本当に久しぶりだ。会いたかったぞ!」
と言いながら、頬ずりまでしているブリュンヒルデに、シュベルトライテはたじたじである。
こうした姿は、本当に普通の姉妹のようである。
「と、とにかく!私の主となるためには、私に認められねばならないということも知っていますか?」
シュベルトライテは、ブリュンヒルデを引き剥がし、ジークフリートに尋ねた。
いけずじゃのうなどと言っているブリュンヒルデをよそに、ジークフリートは、ゆっくりと首を縦に振った。
「勿論だ。そのために、ここにくるまでに、ヒルデに散々しごかれたからな。」
よく生きていたものだと、ジークフリートは思い返してゾッとした。
「なるほど・・・覚悟は十分できているようですね。」
シュベルトライテは、刀の切っ先を突きつけてきた。
「私の試練は、これです。私に勝つことができたのなら、貴方を主と認めましょう。」
ブリュンヒルデの予想と、全く同じである。
ジークフリートは、今更ながら、ブリュンヒルデには、敵わないと思った。
「分かったよ。ただここではエイル猊下や皆に迷惑が掛かる。どこかいい場所はないか?エルルーン殿。」
全員の目が、エルルーンに向いた。
いきなり話を振られたエルルーンは、少しではあるが、気押されながら答えた。
「私達の使っている練兵場なら、十分な広さがありますが・・・。」
「そこで構わない。では行こうか。」
シュベルトライテを促し、大聖堂から移動しようとしたジークフリートに、ブリュンヒルデが声を掛けた。
「主殿、私とエイルは話がある。練兵場には、主殿とライテで行ってくれ。立会人は、この者どもに任せる。」
と言って、騎士団の団員達を示し、エルルーン達にこう言った。
「そなたたちも、至高の武というものを、一度は目にしておくべきだろ?」
その言葉に、薔薇十字聖騎士団の乙女たちは、一気に盛り上がった。
第二の試練そして、ヒルデとエイルの話とは・・・。カラスです。
ゴールデンウィーク、皆さんどこかにお出かけですか?