バーサーカー
「そう悲観することは無いぞ、主殿。」
指輪が輝くと、ブリュンヒルデは、服装を変えていた。先ほどよりスカートの丈が長くなり、袖も手首まである落ち着いたものに変わっていた。
「私なら主殿の力を引き出せる。そして、使いこなせるようにしてみせるさ!」
「どうするつもりだ?」
「少々強引なやり方だが、私の殺気をぶつけて無理やり魔神の血を目覚めさせる。」
「大丈夫なのか?」
「いや!命がけだな!しかも、ほぼ意識を失うことになる。生存本能と戦闘能力のみで動く、正にバーサーカーとなるだろうな!!」
「駄目じゃないか!!!」
「そこからが、主殿の腕の見せ所だ!!なんとしても、正気を取り戻して自らの力を制御してみせてくれ!」
ブリュンヒルデは、自信満々である。
ジークフリートが、失敗するなど、欠片も思っていないのだ。
「それに、今にままでは、間違いなくシュベルトライテに勝つことは出来んぞ、それでもいいのか?」
ジークフリートは、自分に後がない事に気付かされた。
(確かに、今のままでは勝てない。最悪、殺される可能性もあるだろうな。)
ジークフリートは、覚悟を決めた。
「分かったよ。やってくれ!」
「それでこそだ!!」
そして、二人は街道の中央で、互いに、魔導装甲を起動し向かい合った。
「ではいくぞ!!!」
ブリュンヒルデの殺気が、ジークフリートを貫いた。
ジークフリートは、圧倒的な死が迫ってくる感覚に襲われた。
次の瞬間に感じたのは、死にたくないという強い意志であった。
そして、意識は闇の底に消えた。
「さあ!帰ってこい!主殿!!」
ブリュンヒルデは、剣を構えた。
そこには、精神が闘争本能のみになり魔神の血を発動させたジークフリートが立っていた。
狂戦士バーサーカー、魔神の血の力です。