神宝具
フォールクヴァング
大地母神フレイアの祀られたこの寺院は、女人の駆け込み寺として有名である。
仕えるものは全て、神官から僧兵まで女性であり、男子禁制で無いにしろ、男にとって、敷居が高いのは、間違いない場所であった。
「なあに、主殿には私が付いている。安心するがよい!」
ブリュンヒルデは、ドンと胸を叩いた。
大船に乗ったつもりでいろという視線を受け、ジークフリートは、逆に力が抜けてしまった。
(こうなったら、矢でも鉄砲でももってこいってんだ。それよりも・・・。)
ジークフリートは、ブリュンヒルデの装備を見た。
「ブリュンヒルデ、その腕輪は神宝具じゃないのか?」
「天空の瞳のことか、そうだぞ。オーディンの瞳と合わせて使うことのできる道具だ。それより主殿、私のことはヒルデと呼んでくれと言ったではないか!」
少し頬を膨らませ、上目使いで睨んでくるブリュンヒルデに狼狽えながら、ジークフリートは質問を続けた。
「すまん・・・ヒルデ!それでお前の鎧も特別なものなのか?」
若干躊躇いはあったが、愛称で呼ばれたブリュンヒルデは、喜んで答えた。
「神鎧甲のことか?確かに特別なものだな。我ら戦乙女にしか着用を許されぬ鎧だ。」
「収納は可能か?そのままだと、日常生活では目立って仕様がないぞ。」
なにせ、白銀の下地に、金色の縁取り、おそらく刻印であろうが、上から下までキラキラ輝いていた。
「大丈夫!収納は可能だ。普段着も指輪の中に入っているぞ!」
ジークフリートは、更に頭が痛くなった。
どこの世界に、指輪に、普段着を収納できる亜空間を付与することのできる錬金術師がいるのか、彼女の持つ神宝具の希少性に気がつかれたら、一体どんな騒動になるのか、想像もつかなかった。
「とにかく、人前では絶対に使わないでくれよ。ヒルデ!」
「任せてくれ!主殿!!」
ブリュンヒルデは、嬉しそうに微笑んだ。
更に更新・・・調子に乗りました。カラスです。
ゴールデンウイークの前に、飛ばして書きました。
ちなみに、モノケロスとはユニコーンのことです。