目的地
朝食は、ジークフリートが作った。
嬉々として準備するブリュンヒルデを見ていて気付いたのであるが、手元が覚束ないうえ、毒を含む雑草を鍋に放り込んだ時点で、ジークフリートはブリュンヒルデに問いただした。
食事を作ったことはあるのかと、それにブリュンヒルデは、満面の笑みで答えた。
「無い!!」
文武両道に優れた彼女にも、苦手とする分野があると知り、逆にホッとしたのはジークフリートだけの秘密。
「いずれ料理も覚え、主殿をうならせて見せる!!」
食事を終えた後の第一声である。
ブリュンヒルデは、不屈の闘志を持っていた。
別の意味で、うならされそうだが。
ともあれ、ジークフリートは、宝珠の示す方向に中りをつける為、地図を開いた。
地図を横から覗き込んだブリュンヒルデは、怪訝な顔をして尋ねた。
「主殿、なんだこの落書きは?」
「何って、一般的な地図だぞ?」
この時代の地図は、旅人が用いる、街道のみが大まかに描かれた地図である。
詳しい地形などを書き込めば、それは、敵国に有利な情報を与えてしまうからだ。
ジークフリートも、この世界で初めて地図を購入した時は、驚いたものである。
もっとも、ミズガルズの王宮にあった地図は、かなり細かく描かれたものであったが、戦略上の機密と言われ、ジークフリートでも見たことは、あまり無いのである。
「これが地図なものか。地図と言うのは・・・。」
そう言うと、ガントレットに嵌っている腕輪を擦った。
「こうゆう物だ。」
その言葉と共に、目の前に地図が浮かんだ。
「立体映像かよ!!」
まるで上空写真のような地図が現れ、ご丁寧に凹凸まで付いていた。
宝珠は、その一点を光で示した。
その様な機能があったことにも、驚いたが。
次の目的地は・・・。
「フォールクヴァングじゃねーか!!」
「何か問題でもあるのか?」
ジークフリートは、大声で叫んだ。
「地上最大の尼寺だよ!!!」
調子に乗って二話更新!第二の試練いかなりますやら。




