朝の稽古
さて、遥か北方の地で魔神の一族が動き出した頃、ジークフリートとブリュンヒルデは、イチャついていた。
「グハァ!!」
とは言え、かなり方向性の違うイチャつき方だが・・・。
「主殿、獅子の鎧とグラムに振り回されておるぞ!もっと繊細に!指先まで気を配れ!!」
そう言って、ブリュンヒルデは再び斬りかかった。
ジークフリートは、急いで体勢を立て直し、迎え撃った。
朝も明けぬうちに、日課であった鍛錬を始めたジークフリートにブリュンヒルデが、相手をしてやると言い、手合わせを始めたのであるが、ブリュンヒルデは魔導装甲も着けろと言いだした。
最初は渋っていたジークフリートも、彼女の実力を量る良い機会だと思った。
しかし、その思惑は直ぐに木端微塵に砕かれた。
黒獅子の魔導装甲とグラムの取り扱いに、身体が慣れていないのもそうであるが、ブリュンヒルデが単純に強いのである。
ジークフリートは、何回目になるか分からないほど、地面に叩きつけられることとなったのである。
(手も足も出ないぞ!!夢でも見ているのか俺は!!)
ブリュンヒルデは、息一つ乱してはいない。
片や、自分はもう土まみれである。
ジグムント王との死闘に、勝利しただけに、その衝撃は大きかった。
「さて!朝の運動はここまでにしよう!『汚れを祓い、洗い清めよ!!』」
ブリュンヒルデが、ルーン言語を唱えると、ジークフリートの身体についた汚れが綺麗になくなった。
更に、
「『傷つきし肉の器に、癒しを与えよ!!』」
今度は、身体の痛みが無くなった。
「古代魔法まで使えるのか・・・。」
「さて!朝食にしようではないか。主殿!」
グウの音も出なくなったジークフリートだった。
主人公サイドに戻りました。次なる試練はどこでしょうか?