四柱の魔王
黒龍太子ファーブニルが、進み出た。
「ダインヘイムは、落しました。テュ―ルの神殿に在りました大封印は、既に破壊しました。」
夜の女神ヘルが、その言葉に続いた。
「私の持つ、ミストルティンを持ってすれば、大封印の破壊など造作もない事でございます。」
そして、右の手に持つ槍をグルリと回した。
その言葉に、アングルボザは立ち上がり、ファーブニルに詰め寄った。
『よくやったぞ!!我が君の御霊の欠片は持ち帰ったか!?』
ファーブニルは、懐から御霊の欠片を取り出すと、跪き恭しく掲げた。
『おお!!正に我が君の御霊の欠片!!!』
アングルボザが、手をかざすと、御霊の欠片は、ファーブニルの手から浮かび上がり、アングルボザの手中に収まった。
アングルボザは、その欠片を両の手でかき抱くと、四人の子供達を賞賛した。
『流石は、戦においては、右に出るものはいないと言われるファーブニルだ。ヘルお前もよくやったぞ!!それに、フェンリル、ヨルムンガルドも戦功をたてたのであろう?』
その言葉に、フェンリルが答えた。
「俺は、兄貴の言う通り正面から戦いを挑んだだけだぜ!食いでの無い雑魚共ばかりだった。そのくせ獣人族を奴隷として扱うクズ共の町だ!存分に暴れてやったぜ!なあヨル!!」
今度は、ヨルムンガルドが言った。
『つまらん戦いだったことだけは確かだな・・・。』
ヨルムンガルドは、その巨体を揺らした。
ファーブニルが、その後に続いた。
「残る大封印は四つ!一つはフォールクヴァングのフレイヤの大神殿、そして、城砦都市ヴィーグリーズのトールの大神殿、光の王都ミズガルズのバルドルの大神殿、最後の一つは、ヴァルハラに存在するというオーディンの大神殿にございます。」
そこで四つの存在は肩を並べた。
「必ずや、全ての御霊の欠片を集め、我らが偉大なる父ロキを復活せしめ、この世に我らの王道楽土を築いてご覧にいれましょうぞ!!」
その言葉に、アングルボザは、満足そうに頷いた。
まだ、敵役のターンです。カラスです。
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