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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
神々の世界の章
203/211

勇者の証

 グラズヘイムの主、フリッグ。

 主神オーディン神の妻であり、戦乙女(ワルキューレ)達の母。

 金色の玉座の上で、ジークフリートを迎えた女神のその姿は、ブリュンヒルデ達の姉といってもよいほど若々しい。

 実際、ブリュンヒルデや、ヤールンサクサから話を聞いていなければ、勘違いしていたに違いない。


「このような姿で申し訳ありません。勇者殿。早速ですが、貴方には勇者の証たる魔導巨神(デウス・エクスマキナ)を授けようと思います」


 フリッグのその言葉に、ジークフリートは一瞬、何を言われたか理解できなかった。


「あの・・・今何と・・・?」


 ジークフリートの問いに、いち早く答えたのは、ブリュンヒルデであった。


「ああ、主殿。お母様は、あの黄金の玉座、フリスズキャールブに座って、全ての世界を見守っているのだ。そして、このヴァルハラ神殿に招くに相応しい英霊の魂を見出して、配下の戦乙女(ワルキューレ)に回収させるわけだ。それ故に、軽々しくフリスズキャールブから立ち上がることが出来ないんだよ」

「そっちじゃなくて!!」


 少々的外れな答えにツッコミを入れたジークフリートに、悪戯っ子のような笑みを浮かべたブリュンヒルデが、舌を出しつつ言葉を続けた。


「冗談だよ!主殿。・・・そう!勇者の証とは、即ち魔導巨神(デウス・エクスマキナ)のことだ!」


 ジークフリートの脳裏には、虹の橋(ビフレスト)の番人、ヘイムダルの巨大な姿が思い出された。


「あの巨神を、俺に与えてくれるというのか?一体何故だ!?」

「それについては、私が答えましょう」


 ジークフリートは、自らの質問に答えたフリッグに向き直った。


「確かに、貴方の試練は、未だ半ば。しかし、勇者としての資格は、ヘイムダルに勝利したことで既に会得しています。そして、これから後、貴方の前に立ちはだかるのは、ヨトゥンヘイムの魔神族、そして、霜の巨人族でしょう。魔導巨神(デウス・エクスマキナ)はその戦いための鎧。身体的な差を埋め、尚且つ勝利するためには、絶対に必要なものです。どうか、受け取ってほしい」


 そう言うと、フリッグはヤールンサクサに向き直った。


「ヤールンサクサ、貴女は勇者殿を、魔導巨神(デウス・エクスマキナ)の格納庫まで案内してあげてください」

「承知した!では、フェンサリルの鍵を渡してもらおう」


 ヤールンサクサの言葉に、フリッグは頷くと、右の手を軽く振るった。すると、ヤールンサクサの目の前に、金色の鍵が出現した。


「あれが、魔導巨神(デウス・エクスマキナ)の格納庫のある離宮、フェンサリルの鍵だ。ここ天界の至宝、魔導巨神(デウス・エクスマキナ)の管理は、戦乙女(ワルキューレ)でも最高位の女神にしか扱えないものなのだ」


 ジークフリートの横に立つブリュンヒルデがそう補足してくるが、正直それがどんなに凄いことなのか、理解が追い付かない。


「さ!行こうか、勇者殿!」


 ヤールンサクサはそう言うと、玉座の間の横にある扉へと向かった。


「では、また後程・・・」


 フリッグのその言葉に、ジークフリートは一礼すると、ヤールンサクサの後を追っていった。

 ジークフリート達が扉の向こうへ消え、少し時がたった頃、フリッグの玉座の間に、再び来客があった。それは、フリッグが呼び出した存在であった。


『フリッグ様、お召しにより参上(つかまつ)りました』


 扉の向こうから響く、深みのある声に、フリッグは答えた。


「お入りなさい」


 フリッグの承認を得て、黄金の扉が開く。扉の向こうから現れたのは、白銀の魔導装甲(マギアームス)を纏った長身の不死の兵士(エインヘリヤル)であった。

 不死の兵士(エインヘリヤル)は、玉座に座るフリッグの前に跪くと、兜を脱いで一礼し、名乗りを上げた。


『ヴァルムンクが王、ジグムント参りました。して、何用でありましょうや?』


 

 遂に、ジグムント王との再会迫る!

 そして、魔導巨神(デウス・エクスマキナ)との邂逅!

 それは、新たな戦いの始まりとなります!

 以下次回!!


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