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ラグナロクブレイカー  作者: 闇夜野 カラス
神々の世界の章
202/211

英霊の集う城

「ヴィーザル!?あんた死んだはずじゃ?」


 取り乱す様子を見せるジークフリートに苦笑しながら、ヴィーザルが答えた。


『左様です。故に私はここにいる訳ですが・・・』


 得心がいかないジークフリートに、ブリュンヒルデが追い打ちをかける。


「そうだぞ!主殿!ここはヴァルハラの宮!死せる英霊達の集う場所だ!ヴィーザルがいるのは当然のことだ!」


 胸を張り答えるブリュンヒルデに、ジークフリートは詰め寄った。


「じゃあ!ここには、父、ジグムント王がいるのか!?」

「そういうことだな!だが、今はまず、母上に会い、勇者の資格を会得するのが先決だ!ジグムントには、後で会うといい」


 何でもないことのように言うブリュンヒルデであったが、ジークフリートにとっては非常識以外の何ものでもなかった。

 そして、もう一人、その事実に取り乱した者がいた。


「まさか・・・母上!私の母、ヒルデガルドもここにいるのでは!?」


 ヤールンサクサに縋る様なめでみるリンドブルムであったが、その予想に対して、ヤールンサクサは首を横に振る。


「残念だけど、貴女の想像しているような状態では存在していない」


 その答えに、落ち込むリンドブルムであったが、ヤールンサクサの返答には含む所があることに気付いた。


「母上・・・それはどういうことなのですか?」


 リンドブルムの質問に、ヤールンサクサは考えるそぶりを見せた。そして、リンドブルムが最も聞きたいであろう答えを聞かせた。


「ヒルデガルドの魂は、確かにここにある。しかし、不死の兵士(エインヘリヤル)のように、機神(マキナ)の肉体は持っていないということだ。言葉で説明するのは、難しいというところだな」

「??・・・」


 理解できないという顔をするリンドブルムであったが、ヤールンサクサは、そこで説明を打ち切ると、ヴァルハラ宮の中へ入っていった。


「では行こうか?主殿!」

『ジークフリート王子、王にはいずれ会えましょう。どうか、ご壮健で!』

「ああ・・・ありがとう。では、またな」


 釈然としない気持ちを抱えつつ、ジークフリートとリンドブルムは、ヤールンサクサの後を追い、グラズヘイムの王城、ヴァルハラ神殿へと足を踏み入れた。

 おそらく、この場所へ、生きた人間として入城する初めての存在となったのは、この二人であろう。

 そんなことにも気付かず。二人は歩を進める。

 城内は、中央の大きな通路を挟み、天井を支える大きな柱が左右にズラッと並んでおり、巨人であろうと通れそうな広さである。

 その何もかもが規格外のその光景に圧倒されつつ、ジークフリートとリンドブルムは緊張しつつヤールンサクサとブリュンヒルデ達に挟まれて進んで行く。

 物珍しそうに、キョロキョロと周りを見回しているのは、ヴィーのみである。


「これは凄いのう!中までも全てオリハルコンで建てられておる。流石神の城というだけはあるのう」


 観光気分のヴィーの声が、ジークフリート達以外、誰もいない通路に、やけに大きく響く。

 そして、丁度通路の中間に差し掛かってきた時、それは現れた。

 魔法陣に囲まれた、大きな紫の光を放つ水晶(クリスタル)の巨石である。

 ジークフリートは、その光に何故か邪悪なものを感じた。

 何故かは、自分でも判らない。しかし、本能が告げていた。


(これは、危険なモノだ。存在してはならないモノだ!)


 まるで、(かたき)のように水晶(クリスタル)を睨み付けるジークフリートに対し、その様子を観察していたヤールンサクサが口を開いた。


「これが、ヴァルハラ神殿がオリハルコンで造られている理由の一つ。破壊神ロキの魂の欠片を封じた大封印の一つさ。最悪、地上全ての大封印が破れたとしても、ここにこれがある限り、ロキの復活は有り得ないってことさ」


 破壊神ロキ、その名に戦慄を覚えつつ、ジークフリートは先へと進む。

 通路の最奥の扉へと辿り着く一行、扉の前にたったヤールンサクサが手を翳すと、扉のルーン文字が輝き、部屋の中にいる女性の、透き通る様な声が聞こえた。


何方(どなた)でしょうか?』

「フリッグ!ヤールンサクサだ!貴女の娘達と、予言の勇者を案内してきた。入ってもよろしいか」

『!!』


 扉の向こうから、動揺が伝わってくる。いや、待ちわびていたものが、遂にやってきたことへの歓喜というべきか。

 重厚なオリハルコンの扉は、音もたてずに開いていった。

 その部屋の奥、中央の玉座の上に、美しき女神が座っていた。


「よくぞ来られた。勇者殿。私が、このグラズヘイムの主、フリッグです」


 女神は、柔らかな微笑みを浮かべて、ジークフリートを迎えた。

 ブリュンヒルデ達のかーちゃん登場!

 そして、いよいよ勇者の証を、ジークフリートは手に入れることが出来るのでしょうか?

 以下次回!!

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